自分に、
【15】-奈side-
「…ハァハァ…」
最悪だ…
考え事していたら遅刻…
何だかクラスが騒がしい…
深井くんと…華?
「知っとけよ。『ご褒美だよ』?…明らかに俺達を見下してるぜ。コイツ。」
「もう黙れやお前!」
「うっせーなぁ…ブタ峯」
「ああ!?もういっぺん言ってみい!!」
「ブタ峯ブタ峯ブタ峯。どうだ?満足か?」
「頼むから死んでくれ」
「やだ。」
「大体、気に入らんねん!!今日だって奈乃香が来てへんのお前のせぇやろ!!」
―――
私の名前がでた瞬間。
クラスがざわついた
やはりまだ
完全にはおさまっていなかった…か…
クラス全員が俊哉を見る
――――イヤダ
反射的に廊下を走った
屋上に逃げた。
―――――バタンッ
屋上のドアを閉める
「ハァッ…」
静かに風が吹いている
とても心地よい
心地よい…ハズなのに…
「あれ…?」
ポロポロと涙が零れる
泣きたいなんて
思ってないのに
何故涙が零れる?
最近泣いてばかりだから
涙腺が壊れたんだ
そう自分に思い込ませ
涙の理由から逃げた
怖かったからだ
その時
「なんで泣いてるの?」
「え?」
ニヤリと笑う彼は
やっぱり暖かくて
安心した。
―――なんで?カノン。
【next】
Sana