悲劇の、
【12】
「失礼しまーす…」
「あ、先生おらんやん」
華は気を使ってくれて
保健室に連れてきてくれた
そこに先生はいなかった
「あ、美倉サン。」
「!?」
ベッドのカーテンの向こう側から声がした。
そこには
「亮輔…」
「深井くん?」
同じクラスの
[深井亮輔]
俊哉と仲がよく
クールな男の子だ
「何しとんねん亮輔」
「寝に来たんだよ」
深井くんはゆっくりと立ち上がり、私の前に立つ。
「俺。美倉サンに話あるんだ」
「?」
すると、先程までニコリと笑顔だった表情が一変して
「……!」
睨むような目線
「アンタ…最低だな」
「え…」
「…なんて事言うんや!!」
「本当の事言っただけだ」
「…………」
―そうか
―俊哉が傷つくことで
―また違う誰かを
―傷つけていたんだ
「ごめん…なさい…」
「奈乃香!アンタが謝ることちゃうで!!」
私も原因の一つだから
「悲劇のヒロインかよ…ハッ、笑えるな。」
「テメェ…」
悲劇のヒロイン…か
「私にピッタリ…」
「お似合いですよ?」
不思議な会話のなか
私は本当に
何も報われない悲劇のヒロインになったようだった
「じゃぁ、ごゆっくり」
「まてや!!」
華は出ていった深井くんを追いかけて行った。
その扉を眺めるしかできない私は、…
悲劇の姫は
今日何度目かの
涙を
小さく
流すのでした
【next】
何この、GU☆DA☆GU☆DA
今度はきちんと整理してきます…(-_-;)
Sana