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神様のボートの上で  作者: shiori


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第十五話「もう一度同じ空の下で」2

 私の心配をよそに、数日後、裁判は棄却され、進藤礼二は証拠不十分により釈放されることが確実となった。


 赤月さんは記事を書くことで警察の捜査不十分さを訴え続けていくそうだけど、進藤礼二の釈放がどう影響するかは未知数なところだと話していた。

 葛飾と白糸医師の関係、世論の興味を引けば、もう一波乱起こせるかもしれないけど、なかなか上手く状況は進んでいないというのが赤月さんの話しだった。



 私と礼二さんは留置所から釈放される柚季さんを迎えに行くために出かけた。


「ちづるはどうしたんですか? 一緒に来てないですけど」


「あいつは先に出かけると言っていたよ」


「そうなんですか」


 ちづるの行動はいつも予測ができない。神出鬼没だし、いつどこで見られているかわからない。

 そういうところは猫の姿を最大限に活用しているともいえる。本当に何を考えるているかわからないし、ちょっと心配でもある。また何かよからぬことを考えてなければいいけど。


 柚季さんが出てくるのを待とうと思っていたところ、柚季さんの姿を発見した。もちろん、外見は進藤礼二であるけども。



「柚季さん! こっちですよ~!!」



 私は嬉しくなって思わず手をブンブン振って大きな声で呼びかけていた。そしてすぐにあっと気づいた。


「おいおい、周りに不審に思われたらどうするんだ・・・」


「す、すみません・・・、つい・・・」


 今の柚季さんは進藤礼二の姿だ、これは私たちだけが知っていることなのだ。


 柚季さんがこちらに気付いたようで向かってくる。

 表情からはあまりどんな心境なのかは読み取れない、元々柚季さんは無表情だから喜怒哀楽が読みづらいのだ。

 私の方に向かって真っすぐ柚季さんが向かってくる。その目は私のことを捉えてずっと放さない。


「えつ・・・? 柚季さん?」


 無表情に真っ直ぐ迫ってくる柚季さんは私に回避する間も与えず、いきなり私のおでこに自分のおでこを当てようと迫って来た。


「(ぶつかる・・・!!!)」


 そう思った時にはもう遅かった。私は訳も分からないまま、ぶつかった衝撃と一緒に頭がグルグルと回るような衝撃を受け、その場に倒れた。

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