更に半年が過ぎました
更に半年が過ぎました。
文字も読めるようになり、体が小さいから拙いながらも書くことも出来る様になった。
文字の法則性を見つけるのに三ヶ月もかかった。日本語で最初考えたのがいけなかった。アルファベットベースで考えたら驚くほどスルスル文字が読めるようになりメイドのカレンがその吸収力に目を見張るほどだった。
「坊っちゃんは本当に手が掛かりませんね。そのくらいの年の子は読んでみせればこれなんて読むのと何度も質問がくるものです。それが一度教えればそれを吟味し逆にこちらに質問してくるほど。その秀才ぶりは本当にあの親にしてこの子ありと思わんばかりです」
「………おや?」
やっと念願の親の話題だ。ここぞとばかりに畳み掛けようとする。
「かあさまのこと?」
「ええ、奥様もそうですが坊ちゃんの旦那様もそれはそれは素晴らしい方でした」
言ってカレンはハッとした。
「そう言えば奥様に頼まれものをしていました。坊っちゃんもそろそろ休憩をされた方がいいですよ」
そういうとそそくさと立ち去ってしまった。
「子供を1人で置いてくなよ。………少しはっきりしたな、明らかな過去形。やはり父親は………。まあいいか、そのうちはっきりするでしょ。」
分からないものは諦めて目先のことを優先した。
「この半年我慢した。そろそろ魔導書を探そう」
そういうと立ち上がり目的の物を探しに本棚の方に向かった。