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prologue
小さい手だ。
どうやら俺は生まれ変わったらしい。それはいい。問題は何故俺が俺の記憶を持って生まれ変わったかだ。
事実、俺は一つも有り難みを感じていない。
詰まるところの前世の俺は全くの屑ニートだった。そこそこ有名な大学を卒業して就職に失敗した。最初はまだ次がある。そう思えた。だがそれが続くと……。
段々と家から出る回数も少なくなりあっという間に引きこもった。
親に頑張れと言われるたびに罵声を浴びせ野球をやって鍛えていた身体はいつの間にかブクブクになり、気持ちだけがこんなはずじゃなかったと、訳の分からないプライドだけが前に出ていつも何かにあたり散らす屑の出来上がりだ。
また、失敗するんじゃないかと思うと………
怖い。
赤ん坊で産まれたことに感謝だな………
眠くなってきた。