会話4.お買い物
「オウカー、お肉コーナーこっちだよー? そっちはお菓子コーナーだよー」
「いや、今日発売の食玩があったのを思い出して……」
「別に買わないのに?」
「見るだけでいいんだよ。大人になって自分で稼げるようになったら買うんだから」
「バイトしないの?」
「うちの高校、今どきバイト禁止じゃん……」
「そう言えばそうだっけ。あれ? でも許可申請出して通れば良かったような?」
「俺がバイトしたいところは却下された」
「えー? どこさ?」
「アンゴさん所の居酒屋。あそこなら知り合い多いし、家から近いし、時給良いし」
「それ、却下されたの学校からだけ? アンゴ叔父さんにもダメって言われたんじゃないの?」
「……実はその通り。『高校生は健全にファミレスでバイトしろ』って言われた」
「じゃあ、ファミレスでバイトすりゃいいじゃない。そこなら許可も出るでしょ」
「アンゴさん所の方が時給良いんだよ……知り合い多いから気が楽だし……」
「でも、お小遣い貰ってるからやりくりできるんじゃないの? オウカ、そんなに無駄使いしないじゃない」
「いや、その……やっぱり自分で稼いだ金の方がありがたみ無い?」
「ありがたみって、別に誰かへのプレゼントでもあるまいし」
「……」
「あれ……? もしかして図星? なになに? 好きな子でもできたの?」
「別に好きな子ができたわけじゃねーよ」
「じゃあなんで?」
「……」
「答えてよー。知りたいなー?」
「……アスカ、前にうちで料理してた時にハンドミキサー欲しいって言ってたろ……だから……」
「……!!」
「なんか言えよ」
「えっとその……私の為だったんだ……ありがと……」
「……いつも料理作ってもらって、感謝してるんだよこっちは」
「別に無理にバイトしたお金じゃなくても、私はオウカからのプレゼントなら何でも嬉しいよ」
「だから言いたくなかったんだよ……」
「アハハ。じゃあ、今日はプレゼント貰う前だけど……お礼にモモ肉のシチューにするねー」