周囲3.目撃する二人
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「タピオカって初めて飲んだけど、けっこう美味いな」
「へぇ、津江月って初タピだったの? 初めてがボクと一緒とは光栄に思いたまえよ」
「いや、俺が光栄に思うんかい。賭けに負けて奢ったの俺なんだから感謝しろよ風波見」
「あははは、トランプでボクに勝つのは10年早いよぉ」
「クソッ……再戦では覚えてろよこの野郎。10年後に再戦だ!」
「10年待つのかい……ふふっ……いいよ、いつでも。おや、あそこにいるのはアスカ達じゃない?」
「え?! 花野木さん!? どこどこ?!」
「……あそこだよ。鳥谷部君も一緒だね。二人でタピオカデートかな?」
「な……なんだって……?」
「そこまでショックを受けることなくない……? あの二人、いつも一緒なんだし」
「くそ、羨まし……ってあれ? タピオカ屋とは全然違う方向行くぞ?」
「だねぇ。あれは……ラーメン屋の方に向かってるね。最近できた、ガッツリ系の新しいお店だ。」
「鳥谷部のやつ、花野木さん付き合わせてラーメンかよ……。もっとこう、お洒落な所に連れてってやれば良いのに」
「ふむ? どういうこと?」
「いやほら、花野木さんでお淑やかで優しいし、なんていうの……清楚系? だからイタリアンとかカフェとか、お洒落なの似合いそうじゃん」
「オシャレねぇ……それがアスカの好みとは限らないだろう。カフェはともかく、高校生で行けるのはファミレスくらいだよ」
「まーな。これは俺の勝手な理想ってのは分かってるよ」
「ほうほう?」
「そう、理想だよ、あくまで俺の理想。押し付ける気はねぇけど、そう思うのは自由だろ。別に違ったからって、失望したり幻滅したりはしねえよ」
「津江月にしては随分とまぁ詩的というか、良いことを言うんじゃないかな? そういうのボク……」
「ちくしょー! 鳥谷部ー! ふられちまえー!! 羨ましいぞー!!」
「……今ので台無しだよ」
「あーもー……腹立ってきた。バーガーくわねぇ?」
「タピオカの後にかい?」
「いーだろ。あ、用事あるとか?」
「いや、付き合うよ。奢りかい?」
「付き合わせるし……バーガー一個ならな。よっしゃ、行くぞー!!」
「……これだって、デートだと思うんだけどね?」
「ん? 風波見、なんか言ったか?」
「いーや、なにも言ってないよ」