周囲34.出会いの話
クヌーンさんからリクエストいただいた話と偶然にも重なっております。
さて、ご期待に応えられている者になっておりますでしょうか……。
「鳥谷部先輩と花野木先輩、仲良いよなぁあの二人」
「たぶん、まだ付き合うちょらんけどね。少のうともうちが追っかけとる直前までは付き合うちょらざったはず」
「付き合ってない……。まぁ、俺等もそうだけど。時間の問題かなぁ？」
「どーやろねぇ。幼馴染ってなんやかんやでそこから一歩踏み出すの難しそうなのかな？」
「そう言えばさ、なんで日紫喜って鳥谷部先輩の事が好きだったんだ？」
「……それ聞いてしまう？ ええが？ 好きな子が昔好きやった男の子の話しても？」
「日紫喜の事は何でも知りたい。鳥谷部先輩が好きだったところを見習って、更に好きになってもらうことができるしな」
「別に伊達山は、そのままで十分素敵やけんど」
「ねぇ、デレてからの日紫喜の破壊力凄すぎない？ 俺の心臓持たないんだけど？ 誘い受け？」
「んー……うちってちっこいやない？ そのせいで変なヤツに襲われそうになったことあるんちやね」
「……は？」
「怖い声出さんでよ。なんて言うか……変なとこに連れ込まれそうになったが。そこを助けてくれたのが鳥谷部先輩なんや。『こんなちっちゃい子を襲うなんて恥ずかしくないのか!! このロリコン共が!!』って、もう相手はボッコボコ」
「誰だマジで……俺もボコボコにしてぇ……」
「もういないから。噂だけだけど退学プラス逮捕になったよ」
「……怖かったろ、日紫喜」
「怖かったけんど、それ以上に鳥谷部先輩に凄いドキドキしたぜよ。見ず知らずのうちの為に身体を張って助けてくれて。それで好きになって……」
「ストーカーになったと」
「人聞き悪いけどそがな感じ。いや、ストーカーやないけど」
「……ごめん、嫌な記憶思い出させた？ 肝心な時になんもできなかったんだな俺……」
「何言いゆーが？ 伊達山にも感謝しちゅーがぜよ。男の人は怖うないって、伊達山のおかげで思えたんやき」
「そうなのか？」
「うん。身体を助けてくれたのは鳥谷部先輩やけんど、気持ちは伊達山が助けてくれたき」
「そっか、それならよかった」
「今にして思えば、鳥谷部先輩にドキドキしたのはつり橋効果やったのかもね」
「なぁ、日紫喜」
「ん？ なーに？」
「これからは俺が日紫喜を絶対に守るから。身体も、心も、どっちも」
「ありがと……やけんど、うちも伊達山を守るきさ。二人で一緒にゆっくり歩こうね」
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