会話104.帰り道
「今日の夕飯は久しぶりにグラタンにしようかな」
「いいな、グラタン。鶏肉? 豚肉? ホタテとか?」
「んー。個人的に一番好きなチキンだね。安いし。ホタテは高い。余ったら明日の朝はドリアにしよう」
「それ最高だな。アスカのグラタン美味いから大好きだ」
「グラたんって言うとなんか可愛いよね」
「話の変化球についてけないんですが」
「私もオーたんって呼んでみようかな? 私はオウカにアスたんって呼ばれるの。可愛くない?」
「名前呼びより長くなってるじゃねぇか。あと、正直な話、男が言うにはちょっと抵抗感がある」
「清楚な女の子でも、時にはそんなわかりやすいイチャイチャを求めてるのよ。オウカなら安心だし」
「清楚な女の子……? どこにいるんだそんな女の子は? 見当たらないな」
「目の前! 目の前にいる!! ちくしょう、グラタンにこっそりタバスコ仕込んでやる」
「ごめんなさい、勘弁してください。タバスコ苦手なのです。謝ります」
「まぁ、やらないけどね。せめてじゃあ手を繋ぐことをご所望します」
「別にそれくらいなら良いけど。アスカ、今日ほんとにどした? 疲れてるか? 夕飯無理しなくてもいいぞ?」
「いや、別になんも……」
「嘘吐くなよ、なんかあったんだろ?」
「……分かる?」
「バレバレ」
「えっと……そのねぇ……お姉ちゃんなんだけど……」
「あぁ、来週帰ってくるよな。それがどした?」
「オウカ、お姉ちゃんに告白されたら付き合う?」
「付き合わないけど」
「即答?! え?! 躊躇いなし?! お姉ちゃん美人って言ってたじゃん?!」
「いや、だってアトリさん年下趣味じゃ無いだろ。前にガキっぽいの嫌って」
「どうしよう、お姉ちゃんを知らないところでフラれさせてしまった」
「なんだ、そんなこと心配してたのかよ。安心しろよ。付き合うなら……」
「付き合うなら?」
「……いや、なんでもねぇ。忘れろ」
「気になるんだけど? ねーねー」
「いいから、忘れろ。ほら、手ー繋いで帰るんだろ?」
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