第四十二話 支え合う力
カロッゾから許可を受けたリリィは、早速離れ……ではなく、そのすぐ側、庭の一角に陣取っていた。
冬の寒空の下、焚火で暖を取りながら、リリィは真剣な表情で離れの壁を見つめている。
「お嬢様、本当にやるのですか?」
そんなリリィへと、カミラが心配そうに声をかけた。
無理はするなと釘を刺されたが、それで本当に無理をしなくなるような性格なら、リリィも最初からこんな提案はしていない。そのため、カロッゾからの命でカミラがリリィのサポート役兼監視役として派遣されたのだ。
いざという時は殴ってでも止めてくれという異例の許可が降りているあたり、リリィも大概信用がない。
「はい、もちろんです」
だからこそ、リリィは目一杯深呼吸し、冷たい空気で昂る心を落ち着けながら、精神を集中させていく。
失敗しないために……そして、自分は以前とは違うのだと、カミラ達に示すために。
「ただ、集中していると自分の状態に気付けないかもしれませんから、その時は言ってください」
そう言って、リリィは懐から、一体の木彫り人形を取り出す。
この二日間、患者達を励ますために幾度となく使用され、その有用性を証明してきた《念話》の魔道具だ。
今回、リリィが離れの中に魔力を放出するにあたって懸念だったことの一つは、患者の傍で魔力を消耗したことで体力が落ち、ベラ熱に感染してしまうこと。
それを防ぐために、《念話》の“対となる魔道具へ魔力を転送する”という特性を活かし、離れの外から魔力を送るという手段を取ることにした。
かなり効率は落ちるのだが、リリィにとっては誤差でしかない。それよりも、自身の安全に少しは気を配っておくべきだということで、リリィ自身が考えた方法だった。
「……分かりました。お嬢様や皆さんに、精霊の導きがあらんことを」
「ありがとうございます!」
教育係という立場上、やはりカミラとしてはリリィを最優先に考えてしまうが、他の人々を案ずる気持ちがないわけではない。
祈りの言葉からカミラの気持ちを汲み取ったリリィは、オウガによく似たその魔道具へと掌を添え、魔力を注ぎ込む。
「…………」
ボウッ、と魔道具が光り出し、込められた魔力がその魔法によって室内に設置された魔道具から溢れ出す。
本来なら密接した相手に取り付き、お互いの意志疎通を図る力を持ったその魔力は、放出されるなりすぐに大気に溶けて消えていく。
しかしそれは、単に魔法の効果を失ったというだけで、今も変わらずそこにあるはずだ。
「カミラさん、魔道具問題ありません!」
「分かりました、ステラさんは引き続きチェックをお願いします」
「は、はい!」
そんな魔力の変化の過程は、離れの外にいるリリィからは正確に知ることは出来ない。そのため、中で看病していたステラから、問題なく作動していることを知らされる。
しかし、リリィはその言葉を耳に入れながらも、一瞬たりとも魔道具から目を逸らさなかった。
(もっと……もっと……)
魔力濃度は、基本的には高ければ高いほどいいと言われている。
とはいえ、あまりにも多すぎる魔力は人の体にどんな影響があるか分からないし、そうでなくともこの魔道具自体が耐えられない。
多すぎず、少なすぎず。一定の出力で魔力を放出し続ける。
今までのリリィであれば、そんな細かな制御を長時間維持出来ず、途中で魔道具を破損させてしまっていたところだが……今は違う。
(魔力そのものを抑えるんじゃなくて、一度放出した魔力を制御することに意識を集中させる……!)
この半年間続けてきた訓練に、ルルーシュからのアドバイスが加わったことにより、リリィはある程度、魔力の制御が利くようになっていた。
その手法は、直接魔道具へと魔力を注ぎ込むのではなく、本能のまま周囲に解き放った魔力から、必要な分だけを切り取って利用するという非効率極まりないやり方だったが、無尽蔵に等しい魔力量を持つリリィにとっては都合が良い。
これならば、感染のリスクを抑えながら、離れの中を魔力で満たすという試みも成し遂げられるはずだ。
(大丈夫、これならまだ、出し続けられる)
問題は、いつまでこれを持続できるのかどうかだ。
単純な魔力量の話で言うのなら、いつまででも出し続けられる手応えはある。
しかし、魔力の放出はそれだけで体に負担をかけ、疲労を蓄積させていく作業だ。リリィとて生きているのだから休息なしには立ち行かず、いつかは必ず限界が来る。
(後は……私が倒れるまでに、ルルーシュ君が間に合うかどうかですね)
話し合いを終えた後、ルルーシュはユリウス一人を連れて、カタリナの使っていた部屋へと向かっていった。
何やら思いつめた表情をしていたのが気がかりだが、今この時に至っては、リリィに出来るのは信じることのみだ。
(……信じてます、ルルーシュ君)
僅か五歳の子供にかけるには、あまりにも重い信頼。
そんなことはリリィ自身分かっているのだが、それでも彼に対しては、家族にするのと同じように、自然と信じることが出来るのだ。
まるで、ずっと前から知り合いだったかのように――
(……ふふ、考え過ぎですね)
頭を過ぎった考えを振り払い、リリィは改めて意識を集中させる。
ルルーシュのことは信頼している。それに、万が一何かあったとしても、その傍らにはユリウスだっているのだ。
生まれつき魔力量が少ないルルーシュの魔力タンクとしての役割を期待されて同行しているだけだが、あれでとても頼りになる兄だというのは他ならぬリリィがよく知っているので、心配せずとも大丈夫だろう。
今はそれよりも、彼らが薬を作ってくれるまでの間、患者達の命を繋ぎ止めることが大切だ。
(みんな……お願い、頑張って……!)
祈りを込めて、願いを込めて、リリィは魔力を注ぎ続ける。
こんな、声も届かない場所でただ祈ったところで何も変わらないと分かってはいても、それでも全員の無事を祈り続けた。
その頃、離れの中では、少しばかり不可思議な現象が起こり始めていた。
リリィが魔力濃度を高めていくのに合わせて、そこにいる人々にリリィの“声”が聞こえ始めたのだ。
「リリさま……? うん、がんばる……」
初めは、メアの漏らしたそんな呟きだった。
幼い少女が病の淵に仲の良い人の幻覚を見た……初めは誰もがそう思ったのだが。
「リリ様や……こんな爺のためにすまんのお……」
「お嬢ちゃんか……ああ、とびっきり美味い果物、また持ってきてやるよ……」
村の老人が、ランターン商会の従業員が、次々とその場にいないはずの人物に向け、声をかける。
異様な光景……のはずだったが、その場にいる誰も、それを気味が悪いなどとは思わなかった。
『ステラさん、お母様の濡れタオルが温くなってます、取り換えてあげてください』
「は、はい! ただ今!」
なぜなら病人だけでなく、未だ健康体なはずのステラを始め、看病に来た人達もまた、リリィの声が聞こえるようになっていたからだ。
しかも、どういうわけか全員に対して適切な指示をくれるため、かなり助かっている。
頭に響く声に促され、寝室からこちらの離れに移されたカタリナの元へ向かうと……。
「《念話》の魔法は一対一の通話が基本……それなのにこれだけの規模と範囲で発生しているのは……いえ、そもそもこれは《念話》じゃない……? この魔法は通話するだけで相手の状態は分からないはず……じゃあこれは一体……」
そこには、虚空に向かって指を立て、何やら書き込むような仕草を見せながら、据わった目付きでリリィが起こしている現象を紐解こうとしている賢者の姿があった。
「お、奥様、お体に障りますから落ち着いてください!」
先程タオルを替えたばかりなのにおかしいと思えば、まさかこんなことになっていようとは。
ただでさえベラ熱で朦朧としているはずなのに、その上で人よりも無駄に回る頭をフル稼働させれば、それは余計熱も上がるだろう。
魔導士などという研究職に就いている人間は、皆多かれ少なかれ知的好奇心が強いのが基本なのは分かるが、今は流石に自重して欲しいところだ。
「いやよ、ちゃんと考えておかないと、後で色々と活用できそうな現象だし……」
「お、奥様……」
頑固に頭を振るカタリナを前に、どう諌めるべきかとステラは戸惑う。
そこへ、すかさずリリィの声が福音のように響いた。
『お母様、ちゃんと休んでくれないと一週間口利きませんから』
「ステラ、おやすみなさい」
「あ、はい」
リリィ自身も耐えきれるか怪しい切り札によって、あっさりとカタリナは目を閉じた。
なんだか釈然としないものを感じるステラだが、手間が省けたのは確かなので文句はない。
それに、こんな苦しい状況にも拘わらず、普段通りの平常運転で親子の会話を交わす二人によって、離れの中に漂いつつあった重苦しい雰囲気が幾らか和らいだのも確かだ。
(アースランド家の方々は、本当にお優しいですね)
眠りに落ちたカタリナのタオルを交換しながら、ステラは思う。
末端とはいえ貴族の身でありながら、特別扱いを良しとせず、こうして村人や商会の人々と同じ待遇で治療を受け、その最中も周りのために無茶をする。中々出来ることではない。
彼女をここへ運び込んだ当初は、薬師の脱落に皆不安そうな顔をしていたのだが、結果的にはそれで正解だったのだろう。
(私も、頑張らなければ!)
誰よりも率先して動く主人達の頑張りを見て、ステラもまた気合を入れ直すと、他の患者の元へ急ぐのだった。
「もう少し、頑張って……ルルーシュ君が、きっと薬を持ってきてくれますから……!」
魔道具を腕に抱きながら、リリィはただひたすらにそう呟く。
魔力を流し始めてから、なぜか中の様子が手に取るように感じられるようになったが、そのせいで患者達の苦しみも、声をかけるだけで僅かにでも安心して貰えることも分かってしまう。
こんなことで、少しでも力になれるのなら。そんな想いで声をかけ続け、既に魔力を流し始めて数時間が経過していた。
「お嬢様、そろそろ休憩にしませんか?」
そんな時にカミラから声をかけられ、リリィは苦い表情で顔を上げる。
制止されたら素直に止めると約束はしてたのだが、今その言葉に素直に頷くのは難しかった。
「でも、今手を離すわけにも……魔力はまだありますし……」
実際、魔力だけを見ればまだまだ余裕はある。
これだけ長い間魔力を流し続けていて、とても信じられない話だが、その通りなのだから仕方ない。
カミラの目から見ても、今のリリィには魔力欠乏の初期症状すら見られないので、それを理由に休ませるのは無理だろうと、最初から分かってはいたのだが。
「しかし、食事も摂られないのでは体がもちません。……どうしてもと言うのであれば、そのままで結構ですので、とにかく食べてください。私が食べさせて差し上げますので」
「えっ、カミラさんがですか?」
思わぬ申し出に、リリィは目を瞬かせる。
魔力を制御するには、やはり手を介して注ぐのが一番安定するので、このままだと両手は使えない。
なので、その申し出は大変ありがたいのだが……どういうわけか離れの中と“声”が繋がっている状況で、曲がりなりにも健康体である自分が食べさせて貰うというのは、少々の気恥ずかしさを覚えないでもない。
まあ、患者達のことを思えば、そんなことを気にしている場合でもないのだが。
「はい、もちろん、お嬢様がご自分で食べられるのでしたら、それでも構いませんが」
「いえ、その……お願いしてもいいですか?」
なので、ここは素直に好意に甘えるべきと結論付けたリリィは、ぺこりと頭を下げてお願いする。
承知しましたと答えたカミラは、早速持ち込んだスープをスプーンで掬い上げ、軽く息を吹きかけると、リリィの口元へ運んでいった。
「お嬢様、どうぞ」
「あーん」
開いた口から、トマトベースの温かなスープが注ぎ込まれ、冷え込んだリリィの体を内側から温める。
それほど凝った味ではないが、疲れた体にニンニクの風味が染み渡り、元気が湧いて来るような気がした。
「美味しいです」
「それは良かったです。では、もう一度」
「あー……ん」
魔力を注ぐ作業を続けながら、餌を与えられる雛鳥のようにスープを飲んでいく。
雛鳥と違うのは、どうしても意識の大半を作業に注がなければならない都合上、時折スープを零してしまうことだろうか。
その度に、カミラがハンカチで優しく口元を拭い、邪魔しないように注意を払いながら、献身的に世話を焼いてくれる。
「こうしていると、私がアースランド家にやって来たばかりの頃を思い出します」
「カミラさんが来たばかりの頃ですか?」
ふと、昔を懐かしむように呟かれた言葉に、リリィもまた少しだけ過去に思いを馳せた。
過去とは言っても、ほんの三年ほど前のことなのだが、それだけで随分と時間が経ったように感じられる。
カミラも同じ想いなのか、リリィの世話を続けながら、その目は遥か遠い情景を思い出すかのように細められていた。
「覚えていらっしゃいますか? あの頃はお嬢様も随分と体が弱く、よく風邪を引いておられました」
「そうですね……カミラさんも、その頃は私が咳込むだけで、凄くおろおろしてましたよね。ちょうど、今のステラさんみたいに」
「流石に、彼女ほどどんくさかった覚えはありません」
「酷くないですか!?」という声が離れから聞こえたような気もするが、二人は敢えて聞き流す。
それよりも、と、カミラはリリィに語りかけた。
「お嬢様は、あの頃からずっとお変わりありません。人一番寂しがり屋でありながら、人一番他人に気を使う、難儀な性格な持ち主で」
「……そんなことないです」
魔力の制御に集中するフリをしながら、リリィは赤くなった顔を見られないように頭を下げる。
あの頃は、ようやく自分の感情にも整理が付き始めたばかりの頃で、少しでも早く親離れしようと躍起になって、ちょっとしたことでも自分でやりたいと無理をしては、余計に迷惑をかけることを繰り返していた気がする。
今も大して変わらないと言われると、少しだけ微妙な気分になるリリィだった。
「そんなことあります。今でこそ、多少は周りを頼っていただけるようになりましたが……まだ足りません。もう少し、ご自分を労わって、私達を頼ってください」
「そう言って貰えると、嬉しいですけど……でも、これは私にしか出来ませんから」
離れ全体を魔力で満たし、それを維持する。
それほどの魔力量を持っているのは、リリィを置いて他にはいない。唯一それが出来る可能性があったカタリナも、今は病に臥せっている。
だからこれは、自分の役目だと。そう続けようとしたリリィだったが、その言葉はカミラが口元に近づけたコップによって中断された。
飲めということだろうかと軽く口に含み、その独特の味わいに首を傾げる。
「……? これ、お母様が買ったっていうユリ茶、ですか? 少し味が違いますけど」
「ルルーシュ様が、このお茶を使う疲労回復薬のレシピを教えてくださいましたので、試してみました」
「ルルーシュ君が?」
「はい。リリアナ様はどうせ何を言っても無茶をするだろうから、せめてこれを飲ませてあげて欲しい、と」
カミラだけでなく、薬作りで大変なはずのルルーシュにまで心配されていたと知り、流石に気まずくなったリリィはそっぽを向く。
そんなリリィの頭を、カミラはそっと撫でた。
「お嬢様が、皆様の力になりたいと願うのと同じように、皆様も……私も、お嬢様の力になりたいと願っております。それを忘れないでください」
「……はい、覚えておきます」
みんなの力になりたいと思うのは変わらないが、みんなに心配をかけるのは本意ではない。
そう改めて心に刻んでいると、ふとカミラが顔を上げ、明後日の方を向いて笑みを浮かべる。
「ほら、早速来られましたよ。お嬢様を大切に想っていらっしゃるお方が」
「へ?」
「リリィ! すまない、遅くなった!」
駆け寄って来る足音を聞いて顔を上げれば、そこには珍しく息を切らせて駆け寄って来るカロッゾの姿があった。
滅多に見せない疲れた様子に、一体何があったのかと目を丸くするが、その顔に浮かんでいるのは喜びの色だ。
益々分からないと首を傾げるリリィの頭を、カロッゾはくしゃりと労わるように撫で回す。
「ここまでよく頑張ってくれたな。もう十分だ、今日のところは休め」
「え!? いや、でも、患者の皆さんが……」
「大丈夫だ、それについては、ひとまず夜明けまでの分は目途が立った」
「へ?」
目途が立ったとは、一体何の事か。
訳が分からず首を傾げるリリィだったが、それを尋ねるよりも早く、新たな人物がやって来る。
「大将、急ぎ過ぎですぜ。こちとら魔道具抱えてるんですから、少しは気を使ってくだせえ」
「ああ、すまん。リリィに早く知らせてやりたくてな。では、早速運び入れてくれ」
「了解でさあ」
肩に、何やら大きな魔水晶を抱えたクルトアイズは、その後ろ続く同じような物を抱えた男達を促し、離れの中に入っていく。
頭の上に疑問符を浮かべたままそれを見送ったリリィは、一体どういうことかと改めてカロッゾに視線を向ける。
「あれは、カタリナが作った獣避けの魔道具だ。リリィも見たことはあるだろう?」
「それはまあ、はい」
「あの魔道具には、溜め込んだ魔力を使って獣が嫌がる波長を発する効果があるんだが、今回はそれを少し弄ってな、一定時間、ただ魔力を放出し続けるように改良した。それに加えて……」
説明を続けながら、カロッゾは離れの傍に予備の物と思しき剣を突き立てる。
同じように、離れの四隅にそれぞれ一本ずつ剣を突き立てていくと、それらを繋ぐように一瞬で魔法陣が形成されていく。
『《魔力封鎖》』
魔法名のみの単一詠唱によって、離れが結界に隔離された。
問題なく魔法が発動したことを確認したカロッゾは一つ頷くと、剣の柄を握ったままリリィの方へ振り返る。
「この魔法で、魔力が外に漏れださないように封鎖すれば、かなり長い時間、魔力濃度を維持できるだろう。人は問題なく出入りできるし、この結界の維持はクルトアイズも出来るから、お互いに交代しながらやれば、バテル達が戻ってくるまではどうにでもなる」
「で、でも……お父様とクルトアイズさんが結界の維持に掛かり切りになるのなら、獣避けの魔道具は誰が……?」
「それに関しては、手の空いている村人達が魔力を提供してくれた。流石に、リリィのように一人で全て賄えるような魔力量の持ち主はいないが、村人総出となれば離れを魔力で満たすくらいは問題なく出来る。魔道具を弄るには半日もかかってしまったが、魔力が集まるのは本当にすぐだったよ」
やはり、カタリナがいないとダメだな、俺は。
などと言って肩を竦めてみせるカロッゾに、リリィはなんと答えるべきか迷い、視線を彷徨わせる。
しかし、その視線がふとカミラに向き、先ほど言われた言葉を思い出すと、言うべき言葉は一つしか思いつかなかった。
「お父様」
「うん? どうした、リリィ」
「患者の皆さん、絶対に助けましょうね。……みんなで!」
そう言って笑顔を見せるリリィに、カロッゾもまた「当然だ」と笑みを浮かべる。
その後、ルルーシュもさほど時間を置くことなく全員分の薬を携えて離れを訪れ、患者達の症状は小康状態を取り戻す。
こうして、アースランドの人々は、波乱の一日をどうにか乗り切ることに成功したのだった。
寒空の下で体力消耗するのと、感染症の患者の隔離部屋で体力消耗するのと、どっちがマシか。
……うーん、どっちもアウトですね!(コラ




