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願う言葉

 生まれて来なければ良かった。

 生まれてきた、ただそれだけのせいでこんなにも辛い思いをする。

 身体は痣だらけだ。だがどれも服の下に隠れて周りには分からない。

 もし世界の真ん中で傷だらけの身体をさらけ出せば、何かが変わるだろうか。誰か私を助けてくれるだろうか。

でも、期待や希望を持つ気力はもうどん底に近かった。


 今日は七夕だ。

 だが知るか。短冊に書いた願いが叶うなら、この世はもっと幸せなはずだろう。

 私には欠片の幸せもない。


 ――なんでなんでどうして私だけ。


 殴られ、蹴られ、焼かれ。勝手に産んで、勝手に痛めつけて。

 私の命ってなんなの。


 ――せめて少しだけ。もう少しだけでも。


 視界が揺らいだ。涙が込みあがってきて、途端にどうしようもなくなった。

 初めてじゃない。こうなる事は何度もある。でも、いつまで経ってもこの感覚には慣れない。

こんな気持ちになりたくない。涙を流す度にそう思うのに、身体は言う事を聞いてはくれない。こんなに悲しくて辛い思い、もうしたくないのに。


 ――幸せにしてよ。


 私は手に取った紙に何度も何度も書き殴った。

 幸せ幸せ幸せ幸せ幸せ幸せ。


「ちょっとは幸せにしてよ!!」


 何度も叫んできた。何度も何度も。

 普通でいいのに。普通で十分なのに。それすら私にはないなんて。

 もうとっくに諦めていたと思っていたのに、心の片隅で捨て去る事の出来ない希望が私の事を痛めつけた。

 

「……なんでみんな、当たり前に幸せなの……」


 自分の中の嚙み合っていた歯車がギィギィと不快な音を立ててズレていく。

 幸せになれないなら、周りの不幸がもっと増えればいいじゃないか。そうすれば、私の不幸は少しでも薄らぐだろうか。


 あの人達もそうだ。自分達が不幸だから、私も不幸にしようとするんだ。

 自分と一緒なんだって、それできっと安心しようとしてるんだ。


 ――そうだ。きっとそうだ。


 だったら、答えは簡単だ。


“汚ねえものはな、燃やすのが一番なんだよ”


 その通りにしてやればいい。あんた達を。


 ――燃やしちゃえばいいんだ。



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