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静華 L-50

 おかしな理由はだいたい分かってきた。

 この世界はどこかかがぶっ壊れてしまっているらしい。馬鹿の一つ覚えみたいに7月7日をループしている。

 困ったものだ。気付いた時には7月7日が終わり、気付かぬうちにまた7月7日が始まっている。訳が分からない。

 今は何回目なんだ。全てを記憶しているわけではないから苦ではないが、それでも延々と一日を繰り返している事を知ってしまうと、さっさとそこから抜け出したいと思うのが正直なところだ。


『どうしてそんな事をするの』


 頭の中、と言うより身体の中から鳴っているようなこの声もだんだんとはっきり聞き取れるようになってきた。

 大人の女性の声だ。どうも私の中にもう一人見知らぬ人間が入り込んでいるらしい。しかも勝手に入り込んできて私に向かって説教のような言葉を垂れ流してくるのでうざったらしい事この上ない。


「燃えちまえよ、お前も」


 だがこちらの声は向こうには聞こえていないらしい。

 早くこの世界から抜け出したい。

 ちらっと隣の席を見る。藍田という男子が座っている。


 ――燃やせ燃やせ燃やせ燃やせ。


 見ているだけで自分の中で燃え盛るような怒りが身を焦がしていく。


“親には感謝しかねぇけどな”


 今回の世界でこいつはまだその言葉を口に出していない。だがこいつは確かに私の前でその言葉を口にした。


 ――燃やしちまえ燃やしちまえ燃やしちまえ。


 私は結局、こいつを何度殺しているのだろうか。


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