静華 L-20
――なにか、おかしい。
「お前んとこって家族ほんと仲いいよねーなんでそんな平和なわけ? 俺なんて口開くだけでうるせえ黙れクソガキっておかんもおとんも兄貴も妹ちゃんも言うわけよ。ひどくない? 味方ゼロの四面楚歌なんだけどぉ」
「まあ、仕方なくね」
「えぇ何!? ゆうちゃんでも俺の事見放しちゃう系!? 俺独りぼっちでこの世界生きるなんて無理! 無理無理無理ぃ!!」
「うるせえ黙れクソガキ」
「ああーマイファミリーが残像のように頭の中に」
――いっつもうるさいな、こいつらは。
うるさい方が確か梶で、静かな方が藍田、だったか。
だが何故私はこんな事を思ったかが問題だ。
何故いつもこいつらがうるさいと私は知ってるんだ。
初めてじゃない。デジャブのようだが、それとはまたどこか違う。
なんだこれは。何度も何度も経験してきている事を、記憶をリセットされまた同じ道を歩かされているような不可思議な感覚。
だが、何度も踏んだ事で出来た轍がこの道は初めてではない事を私に教えようとしてくれている。
――何のこの世界。
しかし残された記憶は僅かで断片的で、全てを繋げるには遠く及ばない。
「家族で仲悪いなんて考えられないけどな」
耳がぴくっと震えた。
「親には感謝しかねぇけどな」
どくっ。どくっ。どくっ。
心臓が急速に脈打った。一気に血流が頭に昇っていくのが分かる。
――へえー。
私はちらっと声の方を見た。うっすらだが自慢気に笑顔を浮かべた藍田の顔があった。
藍田が私の方に気付き、はっとなり表情を正した。
何? そんなに怖い顔してた、私。
――幸せなんだねー。
“汚ねえものはな、燃やすのが一番なんだよ”
一切の汚れを知らない幸せな笑顔。
――燃やしてやりたい。
お前にだって、燃やさないといけない所があるはずだ。
『やめて』
後たまに聞こえるこの声は何?




