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真優 5-1

「いってらっしゃい」


 見慣れた背中を新鮮な気持ちで見直せば、息子の背中がこんなにもたくましく頼もしく育っている事に素直に驚く。

 今年から優翔は高校生になった。ちょっと前までは言葉も喋らない赤ちゃんだったのにという、自分も親から言われてきたセリフを心の中で感慨深く呟いた。


「んーーーーーーーーー」

 

 ぐーっと伸びをする。息子の成長は嬉しいが、それだけの年月が経ったという事は、つまり自分自身も相応の歳を重ねたという事でもある。いつまでも若いと思っていた感覚は身体の衰えという抗いがたい現実に容赦なくはたき落とされる。

 

――私もすっかりおばさんになっちゃったな。


年老いた事に切なさを感じるが、重ねた歳と皺の数が今ある全てを証明している。私達という家族が、ここまでしっかり生きてこられたという事を。


『生きているという事、まずその事に感謝しなさい』


 母の言葉が今の私をつくった。大袈裟に感謝するわけでもないが、母の教えがあって私はいつでもまずその事に感謝しながら毎日を過ごしている。そう思うだけで、たいていの事がなんてことないものだと思う事が出来、何より楽しく思えた。


「ふう」


 朝の家事を済ませ一息ついた。

 今日はジムの日だ。さすがにこのまま何もしないままでは身体は衰え朽ちていくだけだ。毎日こなしている家事もこなせなくなってしまうかもしれない。そんな未来を想像はしたくなかったが、ここにきて歳相応の危機感のようなものが芽生え始めていた。

 

 小休憩を済ませた所で、私は支度を始めた。

 今日もいい汗をかきにいこう。そう意気込んで家を出ようとした。


「ん?」


 ポストに何かが投函されていた。


――回覧板?


つい先日もこの近辺で何者かに車に傷をつけられたといった迷惑行為があったという知らせが回ってきた所なのだが、また何かあったのだろうか。

 今から出ないといけない為、後で読もうとその時しっかりとは内容に目を通さなかった。ただちらっと見た限りでは、先日の凶行は続いているといった具合の内容だったように思う。治安の良い地域だったので、こういった知らせが続いた事に驚きを隠せない。


 まあそれはともかく、今は体力と身体についた余分な贅肉を落とす事の方が先決だ。


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