優翔 L-30
7月7日、七夕。
違和感。そう表現するしかない感覚だった。
目が覚めて、朝食を食べて、家を出る。いつもと同じ朝。そういつもと同じだ。
でもこの同じが、どうにもなんだか身体に馴染まない。
――暑さで頭がやられてるのか。
夏の日差しのせいに出来るのならそれでいいんだが。
「おーーーーーーはようございまーーーーす!」
「おう、おはよ」
「……どしたん?」
「いや、わかんね」
「ふーん」
さすがの梶も僕の様子がおかしい事に気付く。意外とこういう時に深追いしてこないのがこいつの良い所だ。
落ち着こうと僕は自分の席に座った。
――かしいしずかです。よろしくお願いします。
「は?」
唐突に頭の中に音声と映像が流れた。教壇の前で挨拶する、髪の短い女の子だった。
――なんだ、今の。
自分の意識を無視して流れた頭の中の残像が、果たして妄想なのか記憶なのか、はたまたそれ以外の何かなのか全く意味は分からない。
ただ、意味は分からないが、意味のあるものだとどこかで確信している自分がいた。
がらっと教室の前の扉が開いた。
――え。
僕は今相当間抜けな顔をしているだろう。
「おはよう。今日は皆に新しいメンバーの紹介だ」
藤林の横には、制服姿の女の子が一人立っていた。
「じゃあまずは自己紹介してくれるか」
――嘘だろおい。
ついに自分は超能力にでも目覚めたというのか。
――かしい、しずか。
「香椎静華です。よろしくお願いします」




