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エピローグ
これで、私が17歳のこの夏に経験した不思議な物語はおしまい。
きっと、私と同じくらいの歳の子なら、こんな体験をしている人は大勢居るのに
違いない。
でも、皆その事を忘れてしまうんだ、いつか。
私だって、もう少し大人になったなら、この夏の出来事も空想の産物だったと、
振り返る日がやって来るのかもしれない。
そもそも、茉菜が本当に居たことを示す物は、どこにも存在しないのだから。
でも、証拠とは言えないかもしれないけど、茉菜が私の為に残してくれたものが
一つだけある。
昔から、思った事がすぐ言葉や態度に出て、幾つものしくじりを重ねてきた。
けれども、最近は少しだけ考えてから、思いを行動に移せるようになっている。
彼女の言葉を借りるなら、茉菜のが伝染ったという事になるのだろう。
だから、茉菜は今も私の胸の中にいる。
―おわり―




