表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
4/8

東京スカイスクレイパーⅡ

第四話です。

新キャラの登場とこれからのストーリーが進む回となってます。

是非楽しんで読んでくださるとありがたいです!!



「ってなわけでだぁ!おめえがこれから数日の間、この俺! 葵龍二様の弟子! そう!弟子となるわけだ。

いいか弟子だ。弟子って言うのはこぉー師匠をいたわり、師匠を尊敬し、師匠の手となり目となる! そうして師匠 のいうことを忠実かつ迅速にこなすもんだ!」

「どちらかっつうと……召使じゃないっすかね。それ」

俺はビルでこのリーゼントの男と二人きりにさせられていた。

陸の奴はそうそうに帰ってしまった。メアリーさんも夫が待っているとか言って帰ってしまわれた。

そしてこの目の前の男は、俺を正座させて延々と師匠論を熱弁しているのだが……。

「長かった!長かったぜ!! 晴嵐には陸が!清五郎には松がいるからよぉ!

長かった!やっと俺にも弟子ができるんだぜ!!頑張りますよ狩羅さん!俺ぁきっとこいつを最強にして最高の弟子に仕立て上げてやるぜ!」

あらぬ方向を見て涙を流している。このリーゼントの人、晴嵐の同期か。

なるほど、他の連中は弟子とも呼べる後輩がいるのに自分にはいないから拗ねてたのか。

「えっと、し、師匠。具体的に俺はどうしたらいいんすか?」

「そうだな! よし、ここで俺と喧嘩だ!!」

ふんぞり返るように胸を張る目の前の男。

「ここって、ビルの中であって……能力は使えるんすか?」

「あぁ、一応な。ただ、俺は使わない。使うとこのビル崩壊するからな!」

「ほ、崩壊……」

こいつも赤野みたいなパワー系なのか。

「まぁ、喧嘩の方が俺も分かり易くて助かる!」

「とりあえずてめぇの基礎能力を見させてもらうぜ。この葵龍二さまがなぁ」

俺はいつもの喧嘩をする構えに入る。

龍二のおっさんも同じく構えに入る。

(こいつ……素人じゃねぇ。こっちでの実践経験か?

 いや、陸のそれとは違う。これは……喧嘩の実践!)

「もたもたしてるとぶん殴るぞおらぁ!」

その瞬間、一気に詰められた距離から放たれる重い拳が俺の顔面に思いっきりヒットした。

俺は思わず後退してしまう。鼻を触れると鼻血が出てきた。

「構えが本格的だったんで、ちょっと本気出したが、なんか考え事してたなぁ?狩羅さんが言っていた。考え事は動きながらやれってなぁ!まっ、俺ははなから考えるのはめんどくせえがよぉ!」

第二打が来る。俺は奴の拳を掌で受け止める。なんて重い拳。けれど現実離れしていない。

赤野のような能力での拳の強さじゃない本当の強さだ。

「いいねぇ!俺も考えるのは苦手なタイプだ!!」

俺は思わず笑みをこぼして龍二のおっさんに殴りかかった。

おっさんはその拳を避けて、俺の腹部に拳を放つ。俺は思いっきり腹に力を入れる。もろに喰らわなかったことが救いかってほどこいつの拳は重かった。俺は奴の腕を掴んでそのままその腕を引っ張るようにして

奴の胸部に俺の膝を思いっきりぶつけてやる。おっさんの苦痛の表情が見えた。

「いいねぇ!その威勢がねぇと使いもんになんねぇ!!」

瞬間、おっさんは俺の上げていないほうの足を絡めた。途端に宙に浮く俺の地面に叩きつけられる。

その後、寝転んである身体をまるでサッカーボールを蹴るように奴は腹部に蹴りを入れた。

さらなる痛みを与えた後、奴は俺の背中を思いっきり踏みつける。

「まぁ、こんなところか。基礎戦闘力はそこそこ高めってとこだな。

 てめぇ喧嘩慣れしている傾向がちらちらと見える。瞳以上だ。こっち来る前からやってた口だな?」

ニヤリと龍二のおっさんは笑った。一撃しか入れることのできなかった俺への当てつけかと思った。

「あんたの方こそ、能力を使わずにこの身の動き、それにその身体付き、とてもゲームだけやってましたって人には見えねぇぞ」

「あぁ? そうだなぁー俺もちゃんと自己紹介していなかったな。まっ、親睦の喧嘩をした後は自己紹介だよな」

「はぁ!? 親睦」

「あぁ、そうだ。これから修行するんだ。あいさつの喧嘩はいるだろ?」

「今のは修行となんの意味もないのか?」

「意味ないこたぁねぇよ。一応この俺がお前の基礎戦闘力を見たんだ。一応」

「一応っつったな。しかも二回!」

くっそぉ、この俺のこの腹部の痛みはただの無駄だったっていいてぇのか。このおっさんは。

「そんな怒んなよ。お前にとっちゃうれしい経験だと思うぞ。じゃ、自己紹介だ。さっきも名前は言ったが俺は葵龍二。数年前までお前らがいた高校に通っていて、卒業後蛇道組本部で雑務やらせてもらってる。雑務っつっても町で暴れてるヤンキー集団をちょっくらボコって静かにさせてただけだがよぉ。これが恥ずかしいもんで、こっちは仕事でやってるっつうのに、ガキども俺のことをこう呼ぶんだっぜ?「喧嘩屋龍二」なんてよぉ。最近じゃあゴロツキどもも静かになってきたんで、マジもんの雑務ばっかやってる。こう見えても収入もあるそこそこの社会人だ。まっ、こんなとこか? 俺が紹介出来るつうところは」

長々と龍二のおっさんは話した言葉に俺は呆然とした。

「お前が、お前があの伝説の喧嘩屋龍二か!?」

「おっ、知ってたか。そうそう、喧嘩屋と喧嘩して短時間で一発当てることが出来たんだ。誇っていいぜ」

奴が喧嘩屋龍二だと気づいた瞬間。急に奴がバカな奴じゃなくてかっこいい奴に見えてしまった。

「あ、ありがとうございます!ほ、誇りにするっす!」

「おいおい、急に態度改めんなよ」

「い、いえ!さっきまでの無礼許してください」

「はいはい。さて、じゃあおめえの自己紹介も聞かせてもらおうか」

「う、うっす! 神崎玲央!今年で17になるっす。龍二さんの言う通り、俺もあっちで喧嘩に明け暮れていました。晴嵐に誘われてここに来ました。えっと……こ、ここに来るまで喧嘩は無敗でした!!」

基本的なプロフィール以外に何を言えばいいかわからず思わず武勇伝のように語ってしまった。

「ほぉ、なら瞳や陸と同い年ってわけか。いいねぇ、同い年。俺と晴嵐も同い年だ。俺にもさん付けで呼ぶなら晴嵐のこともちゃんと晴嵐さんって呼べ。いいか、上下関係ってのは大事だ。特に晴嵐はお前が思っている以上にすげえ奴だ。このビルは奴が取り仕切っている」

「あ、あいつが!?」

「あの人が!だっ!」

「う、うっす」

龍二さんに怒鳴られて俺は思わず萎縮する。

「さて、俺が陸に頼まれたのは『全力のお前を簡単に渡り歩ける男』として俺が呼び出されたからだ。お前の能力の仮説も、一応メアリーさんから聞いた狩羅さんが推測していたし、ちょっくら試すか。玲央、お前。そのアバラあたりの痛み消えたらでいいから今度は能力ありの所で闘うぞ。俺が試合登録しとくから、身体休めとけ」

そういうと龍二さんは去っていってしまった。

俺は近くにあるベンチに座って龍二さんに思いっきり蹴られた腹部を押さえる。まだ痛みが残っている。



「あれれぇ? ここ誰もいないと思ったのになぁ?」

誰かの声がした。そいつの方を見る。知らない男だった。

「えっと……隣座っていい?」

黒髪の短い、パーマも何もしてないだろうなって髪の男は少しわざとらしく悩んだ後、俺に聞く。

俺が承諾すると、すぐに奴は隣に座ってきた。

「見ていたよぉー。君が闘った二回とも。凄かったね」

「そりゃどうも」

どっちも負け戦で戦績0なんだけどな……。

「なんか不服そうな顔だね。でも、実際凄いよ。辰巳陸と言えばこのビルの長にしてリムバレットのリーダーである明知晴嵐の弟子なんだからね。それに赤野瞳も元伝説の集団メルヘニクスのメンバーだった。昔から大物の二人と、あそこまで闘えるだけ君は十分センスがあるよ」

「随分お喋りなんだな。お前」

「うん。僕はお喋り大好きだからね。君みたいな入りたての子を見ると、ここでの情報を自慢話のように語りたくなるのさ」

「ふぅーん。じゃあ聞かせてくれよ、ちょうど時間潰しをしたかったところだ。お前、名前は?」

「野上映司って言うんだ。よろしく」

男は微笑んで俺に手を差し出した。俺は少し戸惑いながら奴と握手した。

「えっと、まずはここの組織図から説明しようかな。このビルには大きく二つの組織がある。一つは『リムバレット』これは五年前にこのビルを仕切っていたヘラクレスって人を倒した今のボス明知晴嵐が作った組織。そのメンバー全員がこのビルでは英雄視されるほどの実力者ばかり。実は赤野瞳も現在はリムバレットの末端組織にいることになっているみたいだよ」

「へぇー、あの赤野が末端ねぇ……」

このリムバレットって連中とは一度闘ってみたい。そのためには赤野とも闘えるようにならないと。

「それともう一つは『蛇』現当主は葵龍二って男」

「龍二さんが!?」

「えっ、知っているの」

「し、知っているも何も俺はさっきその人の弟子になったんだよ」

「へぇー。やっぱり恵まれているよ君は最初の相手にボスの弟子辰巳陸。二人目に生きる伝説赤野瞳。そして二大勢力のボスの弟子に抜擢されている。僕も君と闘う日が楽しみになってきたかな♪」

野上優しい笑みを浮かべる。こいつの目には強い奴と闘いたいっていう好奇心を感じた。

「それでね? 『蛇』は元々蛇道狩羅って男が取り仕切っていたんだ。彼は現実の方でのお仕事が多くなったから今は彼の部下だった葵龍二がボスをやっている。一応だけどね」

「一応?」

「あぁ、どうやら狩羅の娘が来てからは、娘の指示で動くことも増えたみたい。わがまま娘らしくってね」

なんて笑いながら言う野上。なんとなくちみっこい少女にあたふたしている龍二さんを想像するとちょっと笑ってしまった。

「以上、この二つの組織がこのビルでの基本情報だよ」

少し満足したように、目の前の男は両手を思いっきり合わせる。

「さて、ねぇ!玲央って呼んでもいいかい?僕のことも映司でかまわないから」

その目はキラキラと輝いていた。あまり友達のいない俺としても、ここまで正直に言われると嫌な気分はしない。

「あぁ!いいぜ。俺はまだ弱いが、これからどんどん強くなってやるから、その時にはお前をブッ飛ばしてやるからな!映司」

俺は奴に軽く拳を出す。奴もニコリと笑いながら俺の拳に自身の拳をコツンとぶつけた。

「それでね。追加で話すと、赤野さんは凄いんだよ。メルヘニクスって言うのは今も消滅はしていないけれど、ずっと前からあった最強チームでそこにも属していたんだ。そして五年前、そのメルヘニクスとリムバレットの衝突の時、赤野さんはリムバレット側として闘った。二つの伝説のチームに所属してきた伝説なんだ」

「へぇー。あの女こっちでも伝説なのか。なんか。もう伝説オブ伝説だな」

「最近はちょっとおとなしいらしいけれどね。そこまで詳しくは、他に教えてほしいことは?」

「今のうちに超えたい壁の情報は多く知っておきたい。リムバレッドと蛇のメンバー構成とか」




「蛇のことならこの私が教えてあげるよ!失礼マン!!」

俺と映司は二人その甲高い声の方を見た。

目の前には、瞳との闘いの前にぶつかったちみっこがいた。

「よっ。ちみっこ!」

「ちみっこじゃない!」

「ま、まずいよ玲央くん」

隣で慌てている映司。俺は首をきょとんとさせた。

「こ、この子がね。元『蛇』のボスで蛇道組頭領蛇道狩羅の娘……蛇道有紗だ」

「はぁっ!?」

俺はちみっこを二度見した。

さっき俺が想像した。龍二さんがあたふたしている幼女って言うのはこいつのことなのか?

「失礼マンは、私が成敗してあげるから!覚えておくことね!!その時に、『蛇』のメンバーを全員紹介してあげる。たっぷりとその身体にね!!」

興奮した口調で一方的に話す有紗。

「今のって、玲央くん。蛇のメンバーに決闘を挑まれたんじゃない。しかも集団戦!」

「はぁ!? ここ集団戦なんかも出来るのか」

「うん。人数設定は色々だけど三体三の順番戦から集団対集団のサバイバルマッチまで

 いろいろ趣向をこらした闘いができるよ」

「失礼マンの君と、その隣のおまえもまとめてやっつけてやる!」

「ちょっと待ってなんで僕も!!」

俺はちょっとニヤリと笑って映司の肩を叩いた。映司は少し涙目で俺の方を見る。

「あしたはお父さんも来てバレちゃうから。明後日、君を三体三でブッ飛ばしてあげる。かくごしといてよね」

そういって少女は歩き去っていった。

すれ違うように飲み物を持った龍二さんが入ってきて「龍二も参加だからね!」と言って有紗は去った。

なんのことかわかっていない龍二は俺たちの元へ来る。

隣でショックを受けている英司と去る有紗の姿を交互に見る龍二さん。

「何があった?」

「さっきの子に喧嘩売られました」

「はぁっ!?有紗ちゃんにか!」

「うっす」

「はぁ……困ったな。いつだ?」

「明後日っす」

「これまた早い。明日を控えたのは定例会があるからか。とにかく、玲央。明後日の決戦がミッションだ。今のうちに有紗ちゃんや他の連中と闘えるように修行するぞ。一刻も猶予はねぇ!」


そうして俺は連れられるように、龍二さんと一緒に戦闘場所に移動した。



今回は新キャラ野上映司と蛇道有紗の登場です。

新世代のキャラクターもどんどん増えて、これから本題に入っていきます!


ですので、楽しんでくださる方はこの続きも是非お楽しみください♪♪

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ