東京スカイスクレイパーⅡ 三話
三話です。なんとか一定のペースで書けてるので自分の中で安心しています♪♪
この調子でとりあえず一章までは定期的に書けるといいなと考えておりますので
よかったら今後も読んでください♪♪
スカイスクレイパーから抜け出ると、最初に入ったゲームセンターにいた。
あたりはゲームから流れてくる雑音に包まれている。誰も俺を不審がらない。俺はそのままゲームセンターを出た。
携帯をみるとメールが届いていた。「以降はこのURLからも入場できます」とだけ書かれており、その下にはなんだかよくわからねえ文字の羅列が並んでいた。
「なんか嘘くせえなぁ……今度からもゲーセンから入るか?」
しかし、それもなんか面倒だなと感じ、次入るときに、騙されたと思って携帯から入ってみることにする。
とにかく、今日は家に帰るか。結構遅くなっちまったし、母ちゃんにどやされる。
俺は月が綺麗な満月を写す夜に家へと向かった。
「玲央!起きなさい玲央!!」
大きな声が嫌で布団にもぐると布団ごとひっぺりはがされた。
俺は眠たい目をこすりながら仕方なく起き上がる。
「親父は?」
「もうとっくに働きに言った」
そういうと母ちゃんはリビングのほうへ向かってパンと目玉焼きを焼き始める。
俺は仕方なく制服に着替える。高校入学二年目となると新鮮味も何もない服だ。と思った。
着替え終えると母ちゃんが朝食を完成させていたので俺はそれを食べる。
「あんた、昨日もなんかしたんじゃないでしょうね?」
「なんもしてねぇよこっちからは」
「売られた喧嘩買うのは結構だけど、ほどほどにね」
「なんだよ。止めないのかよ、いつもはぐちぐちうるせえくせに」
「いや、昨日のあんたはちょっと楽しそうだったからね。嫌な顔してやる喧嘩ほど意味のないもんないでしょ」
そういって母ちゃんは朝食のパンをかじった。
俺は飯を全て食って、それを牛乳で流し込み、鞄を持って学校に向かった。
教室での休み時間、俺はトイレに向かう。その途中すれ違った男の気配に見覚えがあり
俺は思わずそいつを目で追ってしまった。すると、向こうも同じだったようでこちらを見ていた。
俺と男の目線が合う。俺は男を見て驚いてしまう。向こうも同じだった。
「お、お前、辰巳陸!」
「おんなじ学校だったんだね。玲央くん」
奴は昨日と同じように優しそうな笑みを浮かべる。俺はそれに腹が立った。
「てめぇもメアリーさんに治してもらった口か?」
「え? あぁ、うん。そうだよ」
「ちっ、てめぇ……絶対にいつかぶっ殺してやるからな!!」
俺の言葉を聞いた生徒達が奴のほうを見てぼそぼそと話し始めた。
「ちょ、そんなこと言わないでよ。ちょ、ちょっとこっちきて」
慌てた奴は俺の手を掴み、引っぱるようにその群衆から逃げた。
掴んだこいつの腕はやはり、他の不良ども以上に力があった。
「はぁ、やめてよ。僕が変な噂ついたらどうするのさぁ」
屋上へ通じる扉前まで奴は俺を引っぱった。
弱そうな声を出して俺を睨みつけた。
「けっ、俺みたいな不良と絡んでたらマズイって言いたげだなぁ」
「別にいいっちゃいいんだけど、後で色々聞かれると答えるのが面倒なんだ。僕バスケ部でがんばってレギュラー取ったばかりなのに、噂話で監督が怖がったら大変だ」
「けっ、そうかよ」
「あのときは咄嗟に逃げちゃったけど、僕らが仲良くなればそれで解決だと思うんだよね」
奴は突然そんな提案をしてきた。俺はまた腹が立った。
「なんでてめぇと仲良くしなきゃなんねぇんだ! あぁ!?」
「だからそんな吠えないでよ。今後きっと仲良くしないと行けないんだから」
「あぁ? なんでだよ」
奴は俺の質問に答える前に屋上の扉にもたれかかって座った。
「君、スカイスクレイパーは晴嵐さんのススメで来たんだろ?」
奴の目の色が一気に変わった。俺も冷静になって奴の話を聞くことにする。
「あぁ。そうだ」
「実は、僕は晴嵐さんの弟子なんだ。わけあって、彼と同じ能力を使っている」
こいつの能力といえば……あの不死身の炎か。あれを晴嵐の奴も使えるってことだとしたらきっともっと強い。
「晴嵐さんは君に何かを感じたからスカイスクレイパーに誘った。そして偶然にも弟子である僕が君と戦った。これは因縁めいたものがあると思わないかい?」
奴は不敵な笑みを浮かべる。俺はあまり納得いかずしかめっ面のままだった。
「まぁ、晴嵐さんも何か考えがあるみたいだし、僕からはこれ以上いえない。しいて言うなら、僕はまあまあ君を気に入っているってことかな」
「ちっ、男に気に入られても気持ち悪いだけだな」
俺は階段を降り始める。
「待って!」
それを奴は静止した。俺は振り返る。
「君、僕との戦いのとき、一瞬だけ能力を使っただろう?」
「あぁ? あの怪力が俺の力じゃねえのか?」
「いや、違う。君の能力は、もっと別の……何かだ」
「てめぇにもわかんねぇんじゃねえか」
俺はまた向き直って階段を折り始めた。
「玲央くん。今日もスカイスクレイパーに来るよね」
「あぁ、当たりめぇだろ」
「色んな人と闘って強くなれ。僕は君ともう一度闘いたい」
「あぁ、そうだな。じゃあな。陸」
俺は陸に別れを告げて自分の教室に戻った。
スカイスクレイパー内は賑わっていた。
あたりを見渡したが、晴嵐も陸も見当たらなかった。
そうこうしているうちに、対戦カードが表示される。俺の顔があるから俺は慌てて戦闘場へ向かう。
走って向かっていると、ちみっこい子供にぶつかった。
「あっ、悪いなちみっこ。大丈夫か?」
俺は倒れたちみっこに近づいた。
ちみっこは起き上がった後、俺を鋭い形相で睨んだ。
「あなた! あたしにぶつかったわね! それに今なんて?」
「あぁ? だから謝ったんじゃねぇかよちみっこ」
「ちみっこぉ!? 私ちみっこじゃないもん! クラスじゃあ結構後ろのほうだもん!」
やばい。めんどくさいガキにぶつかったっぽい。
「あぁ、はいはい。悪かったって。ちみっこ呼ばわりはやめるから」
「あなた、あたしを舐めてるでしょ! そうなんでしょ!」
舐めるも何もこんな幼稚園児みてぇなガキだしな……。
日本語上手だけど、髪色が日本人のそれじゃない外国の子か。
「だから悪かったっつってんだろ? 俺次の戦いだからまたな」
俺は走ってその子から逃げるように去った。
バトルステージに来ると、すでに対戦相手がいた。
女だった。赤いフードを被って顔がはっきりは見えないけれど、鋭い目がこちらを見ているのがわかる。
「あんた、昨日陸と闘った奴でしょ」
「あぁ? 昨日の試合見てたのか」
「うん。ちょっと今日バイトあって、ちゃっちゃと終わらせたいから。早速始めるね」
そういうと彼女は思いきり地面に向かって拳を放った。地面が割れて土砂崩れのようにビルがこちらに向かって崩壊していく。
「はぁ!? こんなのありかよ。くそっ!」
俺は必死に逃げようとするが、足場はひび割れていてとても移動できる状況じゃあなかった。
こうなりゃ……死ぬ気で、何も考えず、殴りぬけるしかねえ!!
俺は思いっきり力を込めて拳を作る。心なしか力がわきあがってきていた。
俺はそれを思いっきりビルの瓦礫めがけて放つ。瓦礫は崩壊して、俺の体に衝突することを防いだ。
「ふぅー」
一呼吸置いた後、俺は本能的に女めがけて走りだす。
俺が拳を放つと女はそれを受け止めてそのまま流れるように背負い投げで俺の背中を地面に叩きつける。
そして一発腹部にめがけて拳を放たれる。威力が強すぎる。女の力じゃ絶対にねぇ!!
この女……怪力が能力か。倒れたときにフードの中から顔がちらりと見えた。その少女は赤い瞳をしていた。
どこかでみた覚えがあると思ったが、それ以上に視界がふらついた。
やべぇ、こんなとこでまた負けるのか。どんだけ胃の中の蛙だったんだ……こんな負けてばっかで悔しさしかねえ……。くそっ、勝ちてぇ!この女に勝ちてぇ!!
そのことばかりが頭によぎって俺の頭は空っぽになっていった。
昨日、今日と久々にこちらに来てみた。
拓海やみんなに会えるかもしれないと思ったから。
けれどみんないなくて、バイト行くかと思ったときに対戦表に表示されてしまったから
仕方なく私は戦いことにした。そしたら相手は昨日陸と戦っていた男。陸といいところまで闘ったから
ちょっと期待していたけれど、私の拳一発で気絶しちゃった。早く準備しないと……。
「ん?」
おかしい、気絶したのに男は消滅しないし、勝負も決着が付かない。
「がぁぁぁあああああ!!!!」
「っ!?」
男は突然立ち上がり、私に襲いかかってきた。私はすかさず避けた。
しかし奴の攻撃はとまらなかった。私は奴に拳を放つ。
「嘘っ!? 私の拳を受け止めた?」
私は咄嗟に後退して距離を取った。目の前の男は威嚇するように声を出して
私を睨み続けていた。人じゃないまるで獣だ。
奴が拳を放ってくる。さっきとおなじように奴の攻撃を受け止めて、そのまま背負い投げで――――。
受け止めた瞬間手のひらが衝撃に耐えれなくて少ししびれてしまった。まずい!負ける!
私は奴の攻撃をまともに喰らったらまずいと思い、足を引っ掛けて転ばせる。
私が倒れた奴に向かって拳を放つと奴はそれを避けた。
拳が地面に当たり、そこが砕けた衝撃に驚いた男の動きが一瞬止まった。
その一瞬を利用して私は奴に近づく。奴が立ち上がったと同時に私の全力の拳を奴に向かって放つ。
拳は奴の頬に当たり、奴を思いっきりぶっ飛ばしてビルに激突した。奴は光に包まれた。
「はぁ……はぁ……」
私は久々に恐怖し、汗が噴出した。
アナウンスでは私が勝利したと書かれているが、勝利した感覚が薄くなるほど、暴れた奴は恐怖だった。
目を覚ますと、またベッドだった。
「いやぁ、凄かったですよ。玲央くん」
横にメアリーとそして陸がいた。
「俺の対戦相手は?」
「あぁ、バイト行っちゃったよ」
陸が残念そうに答えた。
「くっそ……また負けたのか」
「けど、今回瞳さんと闘って正解だったね」
「瞳?」
「あぁ、さっきの女の子だよ」
「……あっ!おい。瞳ってまさか赤野瞳か?」
「えっ? そうだけど……」
「赤野瞳といえばあの伝説の喧嘩屋龍二さんの後釜とも呼ばれてる『血の赤頭巾』って呼ばれてる有名な不良だぜ?俺も闘ってみたかったんだ。にゃろー、こっちにも顔を出してたのか。通りで強いわけだぜ」
俺は悔しそうに爪を噛む。
メアリーさんは「あの子、現実でも荒れてるんですかぁ」とため息をついていた。
「それよりだ。玲央くん」
話をぶった切るように大きな声で陸が言った。
俺とメアリーさんは陸のほうを見る。
「君の能力、戦いを見ていて大体わかったよ。『凶暴化』自身の理性を無くして,
パワーアップしていくってタイプなんだろうね。君はこれを鍛えていけばきっと強くなるよ」
陸の言葉を聞いて俺は自分の能力への足がかりを見つけて笑みを浮かべたと同時に
自分の記憶のない傷が疼いて、苦しい気分だった。
「それで、君に師匠になれそうな人を誘っておいたんだ。お願いします」
すると扉が引かれて俺の前に一人の男が現れた。
その男は身長は高くて、今どき珍しいリーゼント姿だった。
「俺の名前は葵龍二。ちょっとの間てめぇの面倒見てやるよ。よろしくな」
俺はなんとなく、この人バカそうだなと思った。
ご愛読ありがとうございます。
四話は六月末までには書けると思いますので、待ってくださる方がいるならお待ちください♪
四話には新キャラがちらちらと登場します。さらに前作からのキャラクター葵龍二も大人の姿で活躍♪
お楽しみください^^