スカイスクレイパーⅡ 二話
遅くなりました。二話です。今回は神埼玲央VS辰巳陸の対決をメインに書きます。
バトル描写を最近読めていないので上手くかけてるか疑問です(言い訳)
まぁ、楽しく読んでいただければ幸いです。
「お待ちしておりました。神埼玲央サマ。
スカイスクレイパーへようこそ。コチラでは、登録された方にはそれぞれ、ひとつの能力が付与されその能力を駆使して対戦相手に指定された相手と戦っていくシステムです。武器を所望するのであれば、この中から好きなものをお選びください」
対戦用の部屋に移動すると、さまざまな武器が並ぶ倉庫のようなところに出た。
そこで、アナウンスの声が響く。俺は辺りを見渡してさまざまな武器を見て心が躍った。
日本刀、ハンマー、弓、銃、さまざまなものが揃っていた。
「だけど、そうだな。俺は……いらねぇかな」
どれを見ても、心は躍るがしっくり来るものがなかった。
「ナシという選択肢をとる方も多いデス。でしたらそちらの扉から、アナタの能力はアナタが闘っていくうちに気づいていくことでしょう。それでは、スカイスクレイパーをお楽しみください」
その声と共に扉が光る。俺はその扉を開ける。
広がった光景は、広いスクランブル交差点だった。
周りは高いビルに囲まれていて、なんともいえない威圧感があった。
「君が僕の相手か」
辺りを見渡していると声がする。その声のほうを見ると、一人の男がいた。
背はそこそこだが、なんつうか強そうに見えねえ普通の優男って感じだった。
この手のタイプの男は俺みてえなヤツの風貌を見ると少しビビるんだが、こいつにはそれがなかった。
なんつうか落ち着いていた。さてはこいつ、初心者じゃねえな。
「あぁ、面白い喧嘩が出来るっつうんで来たんだが、お前、俺をがっかりさせんなよ」
「うん。その心配はいらない。この闘い。僕を見ている人はきっと多い。だからこそ、初心者の君に負けるわけにはいかないんだ」
優男はそういって俺を鋭い目で睨んできた。表情こそ柔かいままだが、その目の奥に威圧してくる力がある。
面白い。この段階でもうそこいらの不良たちとは違うものを持っていやがるのがわかる。
「じゃあ、はじめさせてもらうぜ!」
俺は地面を蹴り、思いっきりヤツに向かって飛び込む。
自分の力が増しているのがなんとなくだがわかる。身体がいつもよりも軽い。
この空間ではこういったパワーアップがされているのか? それともこの力自体がさっき言っていた付与される能力なのか。
優男はまるで俺を受けとめるように両手を出して俺の飛び込みパンチを思いっきり食らった。
ヤツはぶっ飛んでビルの壁に思いっきり衝突する。土埃が舞ってどうやらビルの壁に皹が入ったっぽい。
やべぇ……俺こんなにパワーアップしていたのか。あいつもうノックアウトしたんじゃね?
俺やっぱりここでも強かったかぁ。なんつうか、嬉しいようながっかりなような……。
「なんでそんながっかりした顔しているのかな?」
その時、土埃の中が光っているのが見えた。さっきの優男だ。
アイツが姿を現したとき、傷はひとつもなく、身体は炎で包まれていた。
「へぇ、それがてめぇの能力か」
「正式には僕の能力じゃないけれどね。じゃあ、今度はこっちの番だよ!」
優男はこっちに向かってその炎で翼を作り一気にこちらとの距離をつめてくる。
ヤツの拳が飛んでくるのを俺は両腕で受けとめる。しかし、威力が強すぎて俺は靴底を地面に擦らせながら後ろへと飛んでいく。ヤツの連撃は止まらない。こっちはそれを避けるしか方法はなかった。
ヤツの拳が俺の顔に向かってくる。俺はそれを右手で掴み、自分の頭をヤツのデコめがけて思いっきり頭突きをする。一瞬怯んだヤツの隙を突き、ヤツの横っ腹を思いっきり蹴る。
そのまま掴んだままの手を左腕を絡ませて一気に地面まで背負い投げのように叩きつける。
倒れたやつをすかさず俺は缶を蹴るように思いっきり蹴り飛ばして距離を開ける。
倒れているやつの身体からまた炎が噴出されて、ヤツはなにもなかったかのように立ち上がる。
「くっそー、なんだよありゃあよお!」
ニヤリと微笑みながら優男が俺に向かってとび蹴りを放ってくる。
さっきより威力が上がっていやがる! 俺はビルの壁に思いっきり身体を叩きつけられる。
「さっきの仕返し……かな♪」
炎をまとった優男は微笑みながらそういってきた。
よくわからねえが、あの炎。どんどん大きくなりやがる。そしてその度に強くなりやがる。
「へっ、へへっ」
やべぇ……笑いが止まらねぇ。こんなにやばいヤツがいるのか。俺の知らない世界には!
「この状況で、笑うんだ。なんだか、晴嵐さんみたいだな」
楽しくて仕方がない。笑いが止まらねぇ。こいつみたいなのがもっといる。
晴嵐はこいつよりも強いのだろうか。あいつよりも強いやつがいるのだろうか。
「なぁ、お前は。この世界で一番強いのか?」
俺は思わず目の前の優男に問いかける。優男は「はぁ?」と首をかしげた後、答えた。
「そんなわけないじゃないか。僕なんて弱いほうの部類だと思うよ」
その言葉を聞いてさらにテンションが上がった。
「そうか。だったら、決めたぜ」
なんとなく、自分の中のモヤモヤしたなにかが消えた気がした。
「ん? なんだ、あの黄色の光は?」
「俺は、この世界の誰よりも強くなってやる! 全員ぶちのめしてやる!!」
俺は思いっきり叫んだ。すると気のせいか身体の痛みが少し引いた気がした。
アドレナリンってヤツか。あぁ、まだだ。まだアイツと闘い飽きてねぇ!
俺は思いっきりやつに向かって攻撃を仕掛ける。ヤツに向けた蹴りをやつは腕を盾に防ぐ。
「さっきよりも威力が増している!?」
優男はなにかに驚いているようだったが俺はなにも考えずそのまま身体を捻ってヤツの腹部目掛けて
もう片方の足を放つ。モロに食らったヤツは息が止まったかのように苦しそうにしていた。
その隙を逃してたまるかと俺はヤツの脚を掴んで自分の身体を回転させてヤツの身体を浮かして遠くへ放り投げる。俺は宙に浮いているヤツを追いかけて思いっきりジャンプ。一度ビルの扉を足場にしてもう一度ジャンプしてヤツの頭上まで飛び、足を伸ばして踵をヤツの腹部目掛けて思いっきり落とす。
優男は思いっきり地面に叩きつけられる。俺も着地してヤツに近付く。
ヤツに復活させる時間を与えちゃあダメだ。ヤツが復活できないようになるまで徹底的に攻め続けてやる。
「確かに、この能力相手にそうやって回復の隙を与えずに攻撃するのはいい判断だよ。だけど!」
俺は脚を掴まれて引っぱられた勢いで背中を思いっきり地面にぶつける。
「一方で、力が徹底的に溜まった相手に迂闊に近付くのは、よくないよ!」
優男は既に俺を殴ろうとしている構えに入っていた。そしてその身体は大きな炎に包まれていた。
まるでこの炎に俺自体が飲み込まれそうな勢いだった。
「くっそぉぉぉぉぉぉぉ!!!!」
巨大な炎に包まれたその拳が俺の腹部を貫いた。
「目覚ましたか、初試合お疲れ」
目を覚ますと、そこには俺をこの世界に晴嵐の姿があった。
どうやら俺はベッドで横になっている状態だそうだ。
「あんま説明してなかったから今から大事なことを話すぞ。
この世界で受けた痛みは実際の世界に戻ると少しだけフィードバックする」
「すんません。フィードバックってなんすか」
「あぁー、語彙力ない若者か。えっとだな。要は筋肉痛みたいに痛くなるぞーってことだよ」
なんとなくイメージできた気がした。用はここでは万能ってわけではない。
「あれ? ここで死んだ場合は?」
「まぁ、死ぬほどの痛みになると、この世界にいる段階で立てないとかあるから
しばらくこっちで療養して向こうに帰るとかしたほうがいいかもな。そのまま還ってくるわけじゃねぇから。
割合は適当だけど、十分の一くらいか?死ぬほど痛いものを現実に持って帰ったら、死なない程度には痛い」
「無理は禁物ってことっすか?」
「まぁ、そんなとこだな。お前なんか変なところ真面目だな」
「ゲームを強くなるにはまずはルール把握だからな」
親父の受け売りだけど、何事にもルールがある。ただ腕っ節が強いだけでは意味がない。
そこにあるルールをしっかり理解した上でどこまで強くなれるかが重要だ。ルールによっては闘い方が強いってタイプもある。って親父はすごい話してくれていた。
「まぁ、うちには優秀なお医者さんがいるからあんまり心配はいらないけどな。今は痛みあるか?」
晴嵐にそう聞かれて少し戸惑った。確かに痛みはない。しかし、元々どれほどの痛みがくるのかも知らない俺にとっては比較対象もないからなんともいえねぇ
「そういえば、俺と戦ったやつは?」
「あぁ、アイツは慣れてるから大丈夫だよ」
「知り合いか?」
俺は晴嵐を思いっきり睨みつける。
晴嵐はそんな俺の威圧などどうとも思っていないように飄々とした笑みを浮かべている。
「まぁな。知り合いも知り合い。大親友よ」
「年齢俺と同い年くらいだろ? あいつ。そいつを大親友って、友だち少ないのか」
「ちげぇよ! 多いよ! なんだったら結婚してんだからな!」
「はぁ!?」
俺が素直に驚くと晴嵐はなぜか偉そうに腕を組んで誇らしげに笑っていた。
「で? 結局てめぇは俺をなんでここに案内した?」
「んー、、お前がここを求めてそうだったからだよ。他にも理由はあるが、まぁ、もうちょっとてめぇがこの世界を満喫してから話してやる」
そういうと晴嵐は立ち上がって部屋を出ようとした。それと交代するように部屋に青い髪の綺麗な女が入ってきた。俺は思わず生唾を飲んだ。可愛らしさと美しさを両立させたようなそんな女性だった。
「あっ! 晴嵐さんお久しぶりですね。もう帰られるんですか?」
「あぁ、今も優に追われてるからな。あぁ、後。玲央」
去ろうとした晴嵐は俺に声をかけてきた。目の前の女性を見つめていた俺はハッとなって晴嵐のほうを見る。
「その人も夫いるから、惚れるのはやめとけよ」
「なっ!」
「いやぁー、そうですねぇ~♪私の旦那恐いですからねぇ~♪」
そういいながら目の前の女性はとても嬉しそうに身体をもじもじさせていた。
俺は少し図星だっただけに顔の辺りが熱くなってくる。
その様子を見た晴嵐はニヤニヤ笑いながら部屋を去っていった。
「晴嵐さんもお冗談が好きですねぇ。えっと、玲央くんですよね。もう怪我は大丈夫ですか」
「あっ、はい。痛みはないです」
なんか、この人の持つ雰囲気が苦手だ。
明らかに風貌は日本人じゃねえ。だけど日本語も上手だ。童顔なのに身体付きは母性を感じて年上の女性のはずなのにそう見えないものがある。
「私はメアリーといいます。一応ここではお医者さん。みたいなことをしてます♪」
メアリーさんは晴嵐が座っていた椅子に座って自己紹介をした。やっぱり外国人だった。
「あんたが俺の怪我を?」
「はい。初戦なのにすごい頑張ってましたね。あの陸くんといい勝負していましたし」
「陸ってぇと……さっき俺が闘ったヤツか」
「はい♪ 辰巳陸くん。初めてこっちに来た大我くんはわからないかも知れませんが、こっちではちょっとした有名人なんですよ」
その後メアリーさんは「実は私もちょっと有名なんですよ♪」と大きな胸を張って威張っていた。
「あの、ちょっといいすか?」
「なんですか?」
「晴嵐。あいつはどうなんすか」
「あの人は……とっても有名人ですよ」
「そうか。だったらひとまずアイツを最初の目標に――」
「この世界で最強になるって言うやつですか?」
俺の言葉を遮るようにメアリーさんは言葉を挟んだ。
その疑問に俺は思わず声をなくしてメアリーさんの次の一言を待ってしまった。
「彼を倒すことは出来ませんよ。彼はもう闘える状況じゃあありません」
そういうとメアリーは椅子から立ち上がった。
「怪我もなんともないようですたら、後はお好きにしていてください♪
一応私が治すことは出来ますが、だからと言ってあんまり無理した闘いはなさらないように、ですよ♪」
メアリーさんはそういい残して俺を置いて部屋から出て行った。
晴嵐の話をしているときのメアリーさんはどこか遠くを見つめていた。
明知晴嵐には俺の知らないなにかあるのだろう。彼の後ろにある大きな威圧感の正体もそこにあるのかも知れない。おっさんを見てると、自分の親父と同じ空気を感じた。
「ちっ、あのおっさんと闘えないならまず最初は陸だな! 俺はあいつをいつかぶっ飛ばしてやる!」
一人の病室で俺は今までのつまらない日常とは違う。目標がしっかりした日々を送るのだという期待感に胸を膨らませて天井に向かって思いっきり拳を突き上げた。
次回からはさらに新キャラを混ぜてお送りしたいと思います。
前作キャラも多数登場。前作を読んでくださっている方は是非期待しててください♪♪