理解と真実
私はその生首を見ていて気付いた。
その首も驚愕している事に…
私が右眉を上げると彼女も上げる。
私が顔を顰めると彼女も顰める。
私が舌を出すと彼女も出す。
声を出すと彼女も同じ口の動きをする。
そうして理解しました。
この首は、私なのだと…
という事は、この寝そべっている身体は私のだろう。
試しに立ち上がってみた。不思議な感覚だけど身体は立ち上がった。首の付け根からは青白い焔が立ち昇っている。
途端に私は自分が何者か、この身体はどう扱うかを理解した。
違う。私が理解した訳じゃない。
頭に、心に、そしてその身体に宿る魂に…
大量の情報が、雪崩れ込んできた。
それはまさに知識の奔流でした。
その時の痛みは凄まじく、身体もその場で崩れるように倒れ、のたうち回りました。
私自身も泣き叫び、何度も発狂しかけました
そうして、俺は知った。
この身体の製作者は魔王呼ばれる者だった。
彼は、異世界から迷い込んでしまった、しがない一人の技術者であった。
彼は只管この世の平和を願っていたと知った。
しかし、彼は裏切られた。最も信用していた女に…
その女は女の国の初代女王。
勇者を召喚し魔王を討伐、世界を平和に導いたとされる女。
愛しい人を狂気から解放したと言われている。
なんとくだらない事か…
なんと愚かな事か…
だから俺は誓った。
彼奴らを殺そうと…
俺をこんな目に遭わせた彼奴らをもっともっともっともっともっともっともっともっともっともっと残忍な方法で復讐しよう。
俺を造ったあの人には悪いと思う。けどこれはけじめだ。
別にあの人への敵討ちでも俺自身の仇討ちでも無い。
俺に巻き込まれた人々への手向けだ。
俺は立ち上がって頭を拾い上げると身体の上に載せた。
首と頭の付け根には“ジッパー”と云う遥か昔の魔法も魔物も居なかった時代の器具が付いていた。
俺はそれの歯を噛み合わせ閉めるようにして固定した。
そうしてから、頭の置いてあった直ぐ隣に置かれていた“太刀”を掴むと腰に差した。
さぁ行こう。
貴様ら勢員俺の最高のショーに歓迎してやる!
「くくくっ」
嗚呼、笑いが止まらない。
「あはははははははははははははははははははっ!」
そうだ、楽しい楽しい#復讐__うたげ__#はこれからだ…