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学校案内その2

その場に少しの沈黙が続くなか、急に来た疲労感に似たような物が襲い足元がふらつき倒れそうになるが、ロネスタが僕の腕を掴んでくれたお陰でなんとか踏みとどまった

「大丈夫かヴリティア……ってお前軽すぎだろ それに顔色もあまり良くないぞ」

「ごめん……怖かったから、でももう大丈夫」

不安にさせてしまったため、笑顔を見せて安心させようとする。

「全く、男子が女子に助けてもらうなんて恥ずかしいと思いなさい」

「それは、これが最後にするよ。リーベ、必ず君の信頼を得るから」

「ふん、わたくしは厳しく評価するから」

「ヴリティア君頑張ってね、私はリーベの信頼を得るのに何ヶ月かかった事やら」

プリエールは苦笑いしながら僕の肩を掴む。

「ヴリティアさんなら行けますよ、さっ一度 教室に戻りましょう。お昼も近いですし、新しい仲間が増えたのでいつもながら私の手料理を皆さんで召し上がって下さい」

「やった!あたし如月の弁当大好き!よかったねヴリティア君!」

このクラスで一番幼く見えるピスティは、ジャンプをして精一杯の意思表示を表し、如月の手を掴んでそそくさと教室へと行くのをロネスタが肩を貸してくれながら後を追い掛けた。



昼休みと思わしにチャイムが鳴った全員でセンタースクエアで昼ごはんを食べているなか、ここはイタリアを忘れてしまう風景だった。

上を向くと初めて見た日本を代表する桜の花が満開を迎えていた。そしてふろしきを解いて弁当箱を開ける如月の和服と見事にマッチしている。

「さぁ、皆さんにどうぞ召し上がれ」

箱を開けるととても美味しそうな弁当でピスティやプリエールは歓声を上げた。テレビでよく見る鮭の塩焼きや卵焼き。その他色々あるが、なかでも気になったのが、三角形に整形されたご飯に初めて見た黒いもので巻かれている代物だった。

「如月これは一体?」

「これは、日本ではお弁当の定番おにぎりです。中身にはお米に合う具材が入ってます。食べるまで何が入っているか分からないのが一つの醍醐味でもあるんですよ」

「おにぎり……じゃー如月いただきます」

近くにあったおにぎりを手に取りかぶりつく

と中から柔らかな食感がするのと同時に酢とは違う酸味が口に広がる

「わっ、酸っぱい!如月これは一体なに?」

「梅干しという漬け物です。昔からお米と共に食べられている日本を代表する食べ物です」

この梅干し入りおにぎりを美味しくいただいた後おかずと共に今度は、また違った中身の入っているかおにぎりを食べてクラスメイトとの会話も楽しんでいるとあっという間に休み時間は終わり午後の授業の為再び教室に戻った。

午後は、より仲を深めるために全員の産まれ故郷や出会いの話を沢山聞いた。特に驚いたのは、ピスティだった。クラスは僕より一個上の16歳が多いが、ピスティは僕より三つ下の13歳ということだった。見た目や言動は幼さが見えるが、龍族としての才能が非常に高く、飛び級でずっと僕が来る前からみんなと一緒に居たと言う。実際に実技試験という名の戦闘訓練では、ずば抜けてピスティが優秀な成績を収めたのだから驚きだ。この戦闘訓練は、明日僕の龍族の力、龍力を測定した直後に行うと聞かされ今更ながら緊張してきた。

「今日はゆっくり休んで明日に備えるといい、それとヴリティアは寮で生活して貰う。勿論親御さんの許可は得たし荷物も部屋に置いてある、場所はまた皆に聞くといい。うし、今日はこれで終わりだ。1日お疲れさん」

太陽が赤く燃え始めた頃にチャイムも鳴り先生は体を伸ばしながら教室を出て行った。

「ヴリティア君も寮生活か、これからより楽しくなりそうだね!それと私はここのクラスの寮のリーダーだから指示にちゃんと従うよう。それで早速行こうか、こっちだよ」

プリエールは僕の手を掴みグイグイ引っ張って行く、後ろではクスクスと笑い声が聞こえ後をついて行くのを感じた。

昇降口を出て校舎をなぞるように歩くと寮棟が見え始めた。中は、既に学校終えた別のクラスの人が息を抜くのを横目にクラス ユーべルと書かれたエリアがある。僕達の教室の名前。

「ここが、私達の同居スペースで、一人一部屋あるよ。ご飯の時になったらまた呼ぶから、今はグッスリ寝てな」

目の前にあるヴリティア・ヴリトラと書かれた扉を開けてプリエールにお礼をして内装を見ると、実家にあった僕のタンスや寝具が全て置いてあった。取り敢えず、制服から普段着に着替え、ベットに潜り込むと僕の臭いと実家の匂いがして、目を閉じるといつの間にか睡魔に襲われて眠りについた。


「……いつまで寝ているんだ、ヴリティア」

ロネスタ・コカトリスは消灯時間ギリギリまで彼を待っていた。テーブルには、ドイツの家庭料理が二つ並んでいる。

「仕方無い、今日は断念して明日にするか」

消灯時間5分前になりロネスタは、立ち上がる。目指したのは、自分の部屋……ではなくその向かい側にあるヴリティアの部屋だった。

「ヴリティア邪魔するぞ」

ロネスタは鍵穴に息を吹きかけると閉まっていた鍵が開いて難なくヴリティアの部屋に入室出来た。一度肺にタップリと空気を入れて寝ているヴリティアの側に寄った時。

「うぅ……ッ!はぁ……はぁ……」

額に汗を流しかなり魘されていた。ロネスタはハンカチで汗を拭いてあげた後に布団に潜り込むとヴリティアの左腕に膨らんだ胸を押し付けるように抱き付いて耳に囁いて

「おやすみ……ヴリティア」

ロネスタは、ヴリティアの温かい体温に甘えて一つ夜を越えた。

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