学校案内
「さぁ、ヴリティア君朝の挨拶も終わったら事だし今から学校を紹介するね」
プリエール並びに如月、挨拶できなかった3人
リーベ・ティアマット
ピスティ・エイブラ
ロネスタ・コカトリス
と握手を交わしてクラス全員としっかりと挨拶が出来て一安心するのだが、、リーベ・ティアマットは僕の額に指を当てて
「まだ、貴方はクラスメイト見習いよ!まずは私達の信頼を得てたら本当のクラスメイトよ、浮かれないようにね!」
「え、あ……分かった」
リーベの勢いに圧倒されて頷く事しか出来なかった。
「リーベさんはの信頼を得るのは難しいので頑張って下さい。まずはヴリティアさん学校案内でいいですね、でも私達の制服ってありますかね?」
如月が発した最後の疑問形に何か重大な問題でもあるか、尋ねようとする前にピスティ・エイブラ手を上げて
「大丈夫!あたしちゃんと持ってきたよ!」
バックを手探りで探して取り出したのは綺麗に畳まれた服だった。
「ピスティありがとう。では、学校案内のためにまずはこちらに着替えて下さい。更衣室は教室を出て直ぐ右にあります」
如月から服を渡されて言われた通りに教室を出て右を向くと直ぐ更衣室があった。
「でも、なんで制服が渡されたんだろう」
さっきから着ていたコートをハンガーに掛けて今着ているブレザーとワイシャツとズボンの代わりに、模様が違う如月から渡された制服のズボンから履き始め、ワイシャツも着ようとしたが、鏡に映った翼がふと目に入る。いつ見ても白と黒いろで綺麗に別れている。
「この翼を見た時本当にみんなは僕を受け入れてくれるだろうか」
今更疑う気持ちは無いが、やっぱり毛嫌いされてしまいそうな不安がよぎる。待たせるのも悪いし急いでワイシャツに腕を通した時だった。鍵を閉めていた筈の更衣室の扉がゆっくりと開く、僕はなるべく扉から離れて
「誰!どうやって入ってきたの!」
電気をつけていなかったため、少し暗めの部屋。奥から少しずつ現れたのは
「やぁ、ヴリティア。少し様子を見に来てな」
プラチナブロンドの髪をなびかせて、碧色の瞳
先程挨拶を交わしたロネスタ・コカトリス
「ロネスタか、どうやって入って来たの?鍵は閉めたのに」
僕の問いにロネスタは人差し指を頬に当てて首を傾げてとぼけるように
「鍵?掛かってなかったがそれより……ヴリティアかなり体細いけどご飯はしっかりたべてるのか?」
「ご飯は毎日3食しっかり食べてるよ、ただ太りにくい体質なんだ」
喋りながら背中に生えている翼をなるべく見せないようにワイシャツとブレザーを着る
「ふぅ〜ん、そうか早めに来いよ外で待ってるからな」
「大丈夫、もう服はもう来たから行くよ」
更衣室の扉を開けるロネスタの背中を急いで追いかける。見た目は、とても美しいのだが、言葉使いのせいで僕より男っぽい。
「あっ!ヴリティア君!こっち〜……ってあれ?ロネスタなんで一緒にいるの?」
廊下ではプリエール達が手を振っていた
「ヴリティアの様子を見に行ってたんだよ。それより行くんだろとっとと行こうぜ」
ロネスタを先頭に歩き出す僕達。それと同時に僕の制服を準備していた様子のピスティの隣に着いて
「ねぇ、なんで僕は制服を着替えたの?」
「ここの学校は、クラスによって制服が違うの。そしてその制服を着ている時あたし達は仲間意識が高くなるの」
「みんなと同じ……」
これまでの生活では絶対に聞くことが出来なかった言葉に僕は再び泣きそうになるのをなんとか堪える。
5階建ての校舎で僕達のクラスは一番上の階にある。まずは、5階のフロアは基本的に教室がズラリと並んでいた。4階、3階、2階はそれぞれの授業で扱われる教室だが、1つ気になる作業をしていた。
水晶に息を吹きかける行為を目にした。
「あれは私達、龍族の力を測るテストです。私の父親は、和の国で有名なカグツチという炎を纏う龍族です。その力を授かった私はあの水晶に息を吹きかけたら透明だった水晶は、燃え盛る赤色に変化しました。きっとヴリティアさんはあの水晶は黒色に染まると思います」
「へぇー、あれで僕の力が分かるのか」
お父さんのように強くなれる嬉しい気持ちもあるが、半分神族である自分の力では、本当に闇に染め上げる事が出来るか、色々な不安が僕の頭の中でグチャグチャになる。それに察したのか、プリエールは僕の前に来て
「学食も教えないとね!ここのご飯はとっても美味しいんだよ。さっ、行こ!」
プリエールが僕の手を引っ張って急いで急いでと急かす。
「わっ!待って、行くよ行くから」
彼女の元気の良さには、これからもお世話になると思う。落ち込んだ時や悲しい時にね水晶の授業は2階で行われていてその下の階は、基本的に食料が置いていた。特に学食では、イタリアの料理だけでなく懐かしいドイツ料理やスペイン料理フランス料理など、ヨーロッパ各国を代表する料理が並べられていた。時に昔ドイツに住んでいたので、ジャーマンポテトやソーセージにはそそられた。
「わぁ〜、懐かしいなぁ」
食品サンプルだが、見た目は慣れ親しんでいる料理だった。すると僕の肩に手を置く時に髪の毛がフワッと舞って今まで嗅いだ事の無い甘い香りに夢中になりそうになった。
「そうか、ヴリティアはドイツ生まれか、奇遇だな私も同じだ」
「そうなんだ、僕はミュンヘンの郊外で住んでたけどロネスタはどこに住んでたの?」
「私は、テューリンゲン州で雄大な森と一緒に成長した。今は、ここで寮生活たがたまに木々の香りや鳥のさえずりが恋しくなる」
「寮生活、ここにはそんなものまであるんだ。凄く施設があるんだは」
テレビなどでよく見る寮生活には、また変わった楽しみがありそうだった。更にロネスタと故郷の話に花が咲いているなか、後ろからプリエールの小さな悲鳴が聞こえた。
僕とロネスタは、急いで悲鳴が聞こえた所まで駆け寄ると、見た感じ歳上の生徒6人に僕とロネスタ以外の仲間が絡まれてた。
「貴様ら!何をやっている!」
ロネスタは怒りの叫びと共に駆け寄る、少し遅れて僕も走って向かい間に割り込んだ。すると標的を変えるように全員の視線がこちらに向く。昨日と同じ汚物を見るような視線に僕に恐怖が襲い掛かり足が震える
「お前か転入生は、歳上に挨拶もしないでよくこんな所をウロウロ出来るな。一回痛い目に遭わないと分からないか?」
胸ぐらを掴むと持ち上げて僕の自由を消す。抵抗しようとしても、相手の絶対的な力の前になす術も無かった。……また始まった。
僕は、静かに目を閉じて次にくる蹴りと殴りが来るのを覚悟をして待ったが、しかしいくらたっても僕には痛いという刺激が来ないため、ゆっくり目を開けると、僕の顔から何やらバリアのようが張り巡らされていた。視線だけを動かすと体全体に覆われていた。
「なんだこれは……舐めてんじゃねぇぇ!!」
再び飛んできたパンチはやはり僕を守るバリアに炸裂した。
「くっそ!今日だけは許してやる」
僕を突き飛ばして、他の人もどこかへ行った。
突然の出来事に僕は、戸惑うしか無いが、昨日の手紙を思い出した。学校生活での安全は、命を掛けて保証する……その内容に僕はこのバリアを作ったバハムート様に心のなかで感謝すると、
「ヴリティアよ、我がお主を守ろう。だから、龍族全てを守る希望の光となれ」
突如聞こえたバハムート様の声に首を動かして辺りを見ても仲間達の騒然とした顔しか無かった。






