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進化

二か月振りの投稿ですいませんでした

「い、一体何が起きてるの?」

目の前には、撃退または、殺害対象であるフレイヤの泣き崩れていた。

「分からないわ、急にこうなって……」

リーベは、息をゆっくりと整えつつ答えた。

僕たちみたいにこの3人で激しく戦っている形跡があった。壁と天井は、木の根っこが生い茂り、床は、草原が広がっていた。さっきから泣いていたフレイヤだが、少しづつ言葉を発した。

「お兄様……お兄様……」

お兄様と確かにフレイヤは言った。さっき僕たちと戦闘して、ロネスタが召喚したコカトリスに生命を吸われた双子の兄だろう。

「残念だけど、あんたの兄は私が殺した。どう?身内を殺された気分は?生きる気力が無くなるでしょ、死にたくなるでしょ。私は、あの神に全てを奪われた。この死は当然の報いよ」

ロネスタの怒りは止まること無く、フレイヤに凍てついた言葉が降り注ぐ。こうなったら昔から一緒だったリーベ達も手が付けられないのか、仲裁に入るそぶりを見せるが、誰も口を開くないものはいなかった。

    徐々に小さくなるフレイヤの泣き声。そして小さく聞こえてくる笑い声

「何で笑っていられる?お前は、兄を殺されて悲しく無いのか?あんなに泣いていたのに」

 フレイヤは、顔を上げてロネスタを見た。その顔は、口が吊りあがり狂気にも見えた。

「お兄様を殺した?アハハハ!!何言っての?そんな鳥如きに殺されるなら神なんて辞めてるわ!そうよね?お兄様」

 フレイヤは窓を見た。それに釣られるように僕達も見ると、太陽と被るように腕を組んで浮かんでいた。

「なんで……さっき吸い取ったはずだ」

「龍は、本当に学習能力が無いな、前から言っ出るだろう。それはダミーだって、お前らにはもう飽きた。ここで灰と化せ」

 フレイは、太陽を掲げるように両手を真上に上げた。

「メテオ・レイン!」

 フレイは溜めた魔力をいっきに解き放った。空から轟音が鳴り響く、恐る恐る空を見ると無数の隕石が降り注いでいた。逃げないと、でも、動ける気力が無くなっていた。僕達とは、強さの次元が圧倒的に違った。

「逃げなくていいの?まぁ、そのまんま焼き死んでくれた方が私達的には嬉しいけど」

 隣にいたフレイヤは、窓から飛び出して、フレイの元へと浮遊して行った。

 そうしてる間に隕石は、徐々に近づいてきた。しかし、やはり体が動かない。それは、戦闘慣れしてるサジェスも同じだった。

「諦めないで下さい!!」

 聞き覚えのある声が校庭から響いた。声がした方向を見ると、召喚をしようときている如月がいた。外傷はかなりのもので、体のいたるところから痛々しく滲んだ血が付着していた。となると助けに行った先生もいるはず。

「カグツチ!もう一度私に力を!」

 如月を囲む召喚陣から蛇型の龍カグツチが豪炎と咆哮と共に飛び出し、僕達を庇うように巨大な図体を横に倒す。

「フン、共に消えろ。和の龍よ」

 隕石は、カグツチの横腹に容赦なく降り注ぐ。当たるたびに苦しそうな声を上げるが、主である如月が励ます声をかけると、体勢を崩してま底力か、忠誠を誓った主の命令かカグツチは隕石に立ち向かう。

「みなさん行きましょう。如月だけにあんな負担はかけさせません」

 リーベを筆頭に全員装備をして校舎から飛び降りて、如月の横に並ぶ。

「如月あとは、私達が引き継ぎます。カグツチを休ませてあげて」

「……その言葉は、気持ちとして受け取ります。私もカグツチもここまで来て引くなんて出来ません。一度この槍を出したらどちらかが死ぬまで収める訳には行きません。それが武士という者です」

「そうでしたね、では行きましょう。特にヴリティアとサジェス2人には期待してるから」

 サジェスはそれを肯定するように1人の足を一歩進めた。

「ならあの隕石は全て私が破壊するわ。そしてどちらか1人は殺す。それと……みんなは手を出さないで、ここは私とヴリティアでやるからさ。お父様から命だから」

 サジェスは、1人の翼を羽ばたかせてカグツチの前に立ち降りかかる隕石に自分の身長の倍ある剣を片手で振り回す。

「……っ本当に龍王の命令なのですね」

「あったりまえでしょ!娘が言ってるのよ」

「仕方ありません……でも出来るだけのサポートはさせて貰います」

  隕石を全て、打ち砕くとフレイは微笑みながら僕に近づく。フレイヤはサジェスに近づく。

「そこまで抗い続けるか、龍は本当に学習しない哀れな種族よ、貴様らに似合った死に方を送ってやろう」

「そうですねお兄様。私今までの演技疲れちゃったから本気でいかして貰うわ!」

 フレイヤの手が下から上に勢いよく上がった。何の変哲も無い校庭から突然巨大な木がドリルのように回転しながらサジェスの背後から迫ってくる。さらに枝が四方八方に飛散する。それは、人族が使用するクラスター爆弾に限りなく似ていた。

 無数に飛び散る枝をサジェスは、体を捻り、ギリギリで回避する。だけど口元は笑っている。

「いいじゃないの、久々に血が騒ぐわ!」

 サジェスの目の色が変わった。純金のような綺麗な瞳が、左目が黒くそまりオッドアイになった。その瞬間、感じる龍力がより一層強くなり自然と僕も体が反応する。

「ヴリトラ、僕にもっと戦い方を教えてくれ」

(承知した。その代わり、主の体を少々借りさせてもらう)

 その瞬間、体の奥からじわじわと何かが侵食するような感覚が襲う。

(心配はいらん。主はただ、我の戦い方を体の中から見てれば良い)

「ま、待って……ヴリ……ト……ラ……」

 次第に暗くなる視界に抵抗出来ずに僕は、ヴリトラに全てを託して眠りについた。




 頭から降下するヴリティアに最大限のスピードで追いかけて手を伸ばす。指先が触れるが手が掴めないのが歯痒い。あと少し!グッと腕を伸ばして彼の手を掴もうとする前にヴリティアの赤い目が私を見た。

「ヴリティア!しっかり!」

 翼を思いっきり広げて空中で停止する。

「そこをどけ、バハムートの娘」

 聞こえた声はヴリティアのとは全く違った。それに雰囲気も違う。まさかとは思うが

「ヴ…….ヴリトラ様?一体どうして?」

「今は、主の体を借りてこうして出ている。あの神は我が片付けるからそこで見てろ」

 ヴリティアの体を借りたヴリトラ様は猛スピードでフレイとフレイヤに近づいて、攻撃を仕掛ける。しかし、それは勝負にならなかった。

 肉食動物が無抵抗の草食動物を襲うように、ヴリトラ様はあっという間にフレイとフレイヤを切り倒して行った。

 そしてヴリティアの体が光った。それは龍が進化したこと表すものだった。対神龍族からヴリティアは今

……滅神龍族めっしんりゅうぞくへと進化した。その強さは、計り知れないものだ。

 下からは、大きな歓声が上がり、校舎からも歓喜の声が上がるなか、ヴリティアの体が少しぐらつくと再び、逆さになって落ちていく。

 今度は、しっかりとキャッチすると、先程の雰囲気は消えて、いつも通りの女顔のヴリティアだった。

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