風に吹かれて
本当に東方を描く絵師の方々は素晴らしい絵を描きます。
春と呼ぶにはまだ早計。
まだ残雪が所々に残っているものの、梅の蕾が膨らみ始め、地面の草原には黄色いたんぽぽが木の下で咲き始める今日この頃。
春一番に誘われた少女が髪を抑え、風が吹いた方に視線を向けた。
この少女は奇怪な姿形である。
短いアッシュブロンドの頭頂部からネズミの形をした丸い耳が突き出ており、さらにダークブラウン色のスカートから、長い尻尾が生えている。
その尻尾の先には籠があり、そこに本当のネズミがうたた寝をしているのは御愛嬌の範疇だろう。
さらに上のチョッキも地味なグレーであり、唯一の白と言えば肩から手首まで伸びた衣服だけ。
胸元に涙色のペンダントを着けているが、全体の色が色なので地味な印象は拭えない。
服装の色遣いも、その少女をネズミの獣人と呼ぶ一因である。
しかし、この少女を嫌悪する者はいない。
少女を見ていると、そんな特徴的な姿など些細なことだと思える。
スカートとハイソックスの間から見える柔らかな肌もそうだが、何よりもその大きな栗色の瞳が獣人の少女の認識を一変させていた。
悲しいのか、それとも単にボーっとしているのか、判断に迷うこの表情。
少なくとも純粋な心を持っている少女だということは痛いほど分かる。
出来れば、この心を持ったまま大人になってほしいと思うのはエゴだろうか。
そんなことを考えている内に少女は気を取り直したのだろう。
左手に持った大きなダウンジング棒がガチャリと音をたてた。
引用URL
http://www.pixiv.net/member_illust.php?mode=medium&illust_id=34182458
題名:絵師
春の湊に しょぺ
提供して頂いた絵師に無上の感謝を




