伝家の宝刀
ここはこの世で無い何処か。
水底まで見通せる澄み切った川の端では花々が百花繚乱の様相を呈し、その上を光り輝く蝶が舞っている。
吊るされたランタンが朝焼けの光で役目を終える時、一人の少女が川辺にある岸の上で座していた。
座っているゆえその少女の正確な身長は分からないが、おそらく私の首ほどしかあるまい。
フリルのついた緑のワンピースに胸のリボン、黒タイツと革靴の組み合わせからも、目の前の少女を少女と形容する所以である。
だが、見た目通り受け取ることは出来ないだろう。
その少女の髪は若々しい黒でなく、老年を思わせる純白。
瞳には静謐な色を浮かべ、表情は悟りを得たかの様に淡々としている。
それだけでも警戒に値するのに、私が述べた特徴全てひっくるめても存在感が勝る物は、その右手に携えた長刀。
素肌の見える華奢な腕の先になるのは漆塗りされた漆黒の刀。
まるで封印を施しているかの様に真っ赤な紐で刀全身を縛っている様子は、業物を越える何かを感じさせる。
すぐに抜けなくしていることから、この刀が真の姿を現すのは砂漠に堕ちた宝石の如く稀だろう。
だがしかし、滅多に見せないからこそ抜いた時が恐ろしい。
一度解き放たれたあの刀は一体どのような活躍をするのだろうか。
ただ、私は想像するしかなかった。
引用URL
http://www.pixiv.net/member_illust.php?mode=medium&illust_id=33416544
題名:絵師
あやかしのゆめ とりのあくあ




