世界の中心
貴女は私の存在に気付き、そっと振り返る。
黄金色の髪をヘッドホンで抑え、髪質のせいなのか二方向にピョンと髪の一部が逆立っている。
寝ぐせに見えてしまうのだが、それでも貴女から神々しさが消えないのは私如きでは比べ物にならない“徳”を抱いているからだろう。
髪と同色の瞳をゆっくりと細め、柔らかい笑みを浮かべる貴女。
薄紫の、背中を出す型のドレスに身を包んでいる貴女を拝んだ私はこの感情をどう表現すれば良いのだろう。
どのような言葉をかけて良いのか分からず、私は俯き沈黙する。
後数秒もすれば貴女は再び前を向くだろう。
そしてそのまま歩き去り、私から離れていく。
どうすればこの瞬間を長引かせることが出来るだろうか。
神よ、願わくばこの刹那を永劫へと変えて欲しい。
そんな私の狂おしい嘆願が届いたせいなのかだろうか。
突然一陣の風が通り過ぎ、貴女の召し物のドレスが風に揺られる。
幾重にもフリルが付いた、交差している青紫と赤紫が後方へと舞い上がった。
「……森羅万象」
私は無意識のうちにその言葉を紡ぐ。
ほのかな温かさとを恵む太陽に、声明を謳歌する周辺の草木。
そしてその中央で佇む貴女はまるで世界の中心に立っている様に思えた。
貴女は私の言葉をどう捉えたのだろう。
唇をますます横に伸ばしたその仕草から、私は貴女の心境を想像するしかなかった。
引用URL
http://www.pixiv.net/member_illust.php?mode=medium&illust_id=22006463
題名:絵師
神子巫女ファンタジア 七瀬尚




