神の嗤い
悠久の時をかけ、自然が作り上げた鍾乳洞。
鍾乳石のつららが地面まで伸び、人以上の大きさの生物が入れない奥の場所には水上殿があり、そこから僅かな光を放っている。
そしてその場所の中央に鎮座している者は人の形をしているが、人など訪れそうにない人外魔境の地ゆえに鬼神だろう。
何故神でなく、鬼神なのか。
それはその居住まいが余りにも神々しさから外れていたからである。
古代時代における神事を彷彿させる真っ赤な衣装の上に拳ほどありそうな鏡を身に纏う鬼神。
御身の後ろには丸太程の大きさを持つ御柱と、大人の腕も大きい縄を二重に編んだしめ縄を丸い形状を作っている。
そして何より、胡坐をかいて頬杖を付き、にやりと嗤うその姿は畏怖をひしひしと痛感させ、逆らおうという気など起こせなくさせるからだ。
紅き瞳を光らせた鬼神は何を見ているのだろう。
何百何千、下手すれば何万年もその場から動いていないにも拘らず嗤うのは何故なのだろう。
……いや、そんなことを考えても無駄か。
遥かな時、それこそ永遠に近い生を生きる神々の心境など、一世紀も生きられない人の身で理解できるなど考える方がおこがましく、傲慢だろう。
ただ、事実として鬼神は嗤っている。
嗤う詳細な理由は分からないまでも、少なくとも鬼神にとって愉快なことが近い内に地上で起こるのだろう。
幸か不幸か、鬼神が嗤っている事実を地上に住む人間は知らなかった。
引用URL
http://www.pixiv.net/member_illust.php?mode=medium&illust_id=4952904
題名:絵師
脅威を以て信仰を知れ 赤りんご




