お子様ランチ
今、私のいる場所は街の近くにある丘へと続く道中。
少々勾配がきつく、疲れを隠せないがそれでも周りを見渡すと疲労など吹っ飛ぶ。
それぐらいここからの景色は心を動かすものがあった。
和洋折衷、古今東西。
私の眼前に広がる風景はこれらの言葉が当てはまるだろう。
木造建築の塔の横には石でできた回廊。
時代を感じさせる洋館の裏には石膏で作られた長方形の建物。
そして視線を遠くにすると、中心には先ほど述べた建物が密集しているのだが、少し離れると草原や森や海といった大自然が広がっているのが確認できる。
それぞれが異彩を放ち、個々の存在を主張しているせいか統一感など皆無に見えるが、その実共通点はある。
それは“文明”。
時代や地域を象徴する建物ばかりゆえに全てが洗練され、周りの景観を壊していない。
人類の長い歴史が織り成したハーモニーに私は感銘を受けた。
「どうしたんだい? 周りの景色ばかり見て」
と、ここで私の隣を歩く少女が茶目っ気たっぷりに尋ねてくる。
「珍しいのは分かるけどね、今はボクとデート中なんだ。だからボクだけを見て欲しいな」
身長の低い少女は上目使いに私を見つめ、ネズミの形をした大きな耳をピコピコと動かす。
その耳から推察できる通りこの少女は人ではない、亜人である。
アッシュブロンドの髪に黒灰色のワンピース、そしてその上に灰色のカーディガンを羽織っているその少女。
両手に持つ巨大なダウジングに目がいきそうだが、それ以上にワンピースの下から伸びている尻尾、その先端にぶら下がっている籠の方が奇天烈である。
なお、余談だが籠の中にはネズミが一匹入っていることも追記しておく。
「やれやれ、君は本当に考察が好きだね」
ああ、いけない。
どうやらまた思考に没頭していたようだ。
私は頭を掻きながら謝罪を口にした。
私と目の前のネズミ少女は種族が違う。
そして、眼前に広がる建物もそれぞれ時代が違う。
しかし、それでもこうして共存できるのはある事実が一致しているゆえだろう。
そう、この場所――地球で生きているという事実が。
引用URL
http://seiga.nicovideo.jp/seiga/im2576718
題名:絵師
文明の交差点 白嵐




