宣告
天の叫び地の嘆き、そして人の慟哭。
その悲哀なる三重奏が揃った瞬間に神が降臨する。
私の目の前に出現した人物を神だと認識したのは様々な理由がある。
まず一つに、瞬きする前までは何も無い荒野だったが、いつの間にか空を突き抜けるほど高い御柱が幾つも聳え立つ神の御前が出現したこと。
二つ目に、眼前の人物の装う奇抜な服装。
全身を、手首まで覆うほど長い漆黒の礼服に身を包み、飾りとばかりに小さな赤茶色の上着を着こむその人物。
胸の辺りに丸い鏡の様な装飾品にも目が行くが、それよりもその人物の腰、右腰から輪を描いて左腰まで伸びている、荒縄で作られた輪っかが他の衣装よりも存在を主張していた。
最後には、何と言ってもその人物から放たれる圧迫感。
私の身長よりも高く、スレンダーな体型をしている。
モデルの様な肢体に乗せられたその顔は、彫刻を想像させるほど髪、瞳、目、口といった各部分が黄金律に則って彫られたかのような造形をしていた。
「我がここに来た理由などすでに知っているだろうな?」
肩口まで伸ばした髪を掻き上げ、尖った鋭利な顎に右手を添えたままその人物は口を開く。
「お前は失敗した」
琥珀色の瞳を私に向け、威厳溢れる口調のまま目の前の人物は冷ややかに告げる。
ああ、分かっている。
痛いほど理解している。
貴方が私の目の前に現れる未来を予測していた。
「異存はないな?」
そんなもの、あるわけがない。
私の手に余る役職を押し付けられ、七転八倒する日々。
ようやく解放される。
私の行く先など決まっているが、それでもこれ以上の罪を重ねずに済むことに安堵する。
「では、さらばだ……王よ」
目の前の人物――神がそう宣告すると同時に私の意識は闇へと閉ざされた。
引用URL
http://seiga.nicovideo.jp/seiga/im1098955
題名 絵師
黄昏時の古戦場 魔界の住民




