月夜の少女
一人の少女がダンスを踊っている。
紫色に光る満月をシャンデリアを見立て、古びた草を壁と模すに加えて水面をステージと置いた天然の舞踏会場で舞う少女。
金色のショートカットに札を模したリボン。
真っ黒なドレスの下には長袖のカッターシャツに赤ネクタイ、白いハイソックスに上げ底靴といったフォーマルな様相をしているのだが、悲しいかな少女の容姿は幼いゆえに淑女と称するよりかはおませさんと表現した方が正しい様に思えた。
そんなおませな少女は楽しそうに踊る。
無邪気な瞳を光らせて口を大きく開けて笑いながら両手を地面と平行に広げながらクルクルと回っている。
その舞に技術など欠片もなく、ステップの影の形も無いのだがそれでも見惚れてしまうのは、少女が心底楽しいからだろう。
少女は今、踊り出したいほど機嫌が良い。
そしてその感情を加工を加えずありのまま表現しているがゆえにため息を零してしまう。
果たして自分はこの少女のように喜びを表現することが出来るだろうか。
いや、そんな喜びや悲しみを表現する技術などとうの昔に忘れてしまっていたな。
それどころか今、自分は本当の感情を持っているのかとすら疑ってしまう。
……哀しいことだ。
そんな喪失感に苛む己など知ったこっちゃないとばかりに少女が力強く水面を叩き、それによって生まれたクラウンが月明かりを反射して多数の虹色に光る宝石を生みだした。
引用URL
http://seiga.nicovideo.jp/seiga/im979862
題名:絵師
そーなのかー ワカニタ




