六七一年 16 十月十八日 十月二十九日
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十月十八日 早朝
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「……あーあ、まさか大王を御する妖怪が出るなんてねぇ」
「全くね。そのうち大王の子とか産んじゃう妖怪出るんじゃないかしら?」
「神奈子、それ笑えないよ」
「全くね、だけどそうなら良い気味だわ」
「……まだ恨んでるのかい?」
「当たり前よ。あの太陽娘は百辺殺しても足りないわ」
首を指で横一文字になぞり跳ねる動作をすると、諏訪子は少し引いて笑った。
失礼な相棒だわ。
「まあ私じゃ到底刃は届かないけど。正面から抗った父様は本当偉大ね」
「蛇よりも執念深いとは、お見逸れ致すよ」
諏訪子の声に私は乾いた笑いを上げながら、あの変な鬼の子を思い出す。
鬼らしいのに何処か人間臭い。矛盾もいいところだわ。
「……あんなとんでもない利点挙げられて首を横に振るなんて無理だけどさぁ……本当に正しいのかな」
「それこそ分からないわね。神って言っても所詮は信仰の塊。未来を知れたらそれは既に神よりも上の存在だわ」
そう、唯力が強いだけで私達は本質的に妖怪と変わりが無い。
神も妖怪も産まれは人間の畏怖や非力さ羨望渇望、違いは産みの親に優しいか優しくないか。
所詮はそれだけ。あとは由来や何かがちゃんとあるかとか。私みたいに父様に当たる神が居るとか。
「海の向こうには『GOD』って言葉があるらしいね。神よりも上、全知全能、信じれば救われる天主様って」
「眉唾ものだわ。全知全能なんて居る訳が無いじゃない。それならなぜ人間は日々進歩してるのよ」
「だよねえ、全部を知ってるなら未知も未来も余白もないもんねえ。
祈られてるのに敢て知識をわけ与えないならそいつは意地悪な妖怪と何が違うんだろうね。寧ろタチが悪いよ」
「大体仏も似たようなものよね。釈迦は人間なのにそれに祈りさえすれば死後救われるって。
待ってるのは大昔から続く閻魔の公平かつ平等かつ容赦なしの審判だけなのに」
軍神も務めているという立場柄、閻魔には比較的会うが……やはりというべきかどいつもこいつもお堅そうなやつばかり。
生真面目で融通が効かなくてケツの穴が弱そうな(諏訪子談)連中を思い浮かべると自然とげんなりする。
「私達が関与するのは生きている人間だけだもんね。死人に口無し、死体に信仰なしって」
「まあ……そう考えれば、大枝の鬼達の決断は、何かの引き金になるかもしれないわね」
「最初の一歩を踏み出す奴が一番偉いの法則だね」
「一歩目の先に道があると分かれば、あとは続くだけよね」
「神も妖怪も、現金になったねえ。産まれた名と意味を見失って利を求める様になったんだから」
「産みの親に似てきたのかしらね。笑えないわ……」
そう言い西の空を見る。最早欠片も姿が見えない可笑しな訪問者をさらに思い出した。
「まあ、上手くやれば諏訪子の分社がさらに増えて」
「神奈子の信仰もうなぎ昇り」
「ついでに大枝の鬼も安住の地と緩慢な死を手に入れて」
嘘を吐けない鬼だから、決して法螺を吹いた訳じゃないのだろうけど。
あの妙に人間臭い仕草を思い出すと勘ぐらずにはいられない。
諏訪子も同意見だったのか少し眉をしかめていた。
「……まあ、上手くいけばだけどね」
「最悪の形で失敗したら、下手したらあの太陽のじゃじゃ馬にこんがりやられちゃうわね」
「あーうー、干乾びちゃうのは勘弁だなぁ」
ぐでっと伸びる諏訪子は本当に蛙みたい。
干乾びたら諏訪子もかぴかぴのぺろぺろになるのかしら。
「まあ、もう名に賭けて誓ったからどうにもならないわね」
「そうだね、でもよっぽど不確定事項が紛れ込みでもしなきゃ崩れないだろうし」
「大枝の鬼達が自ら漏らすか、私達が口を割るかでもしない限りは大丈夫だわ。
私達には利益高々危険極小、後々枷になりそうな鬼どもはそのうち弱った所を討てばいい。本当美味し過ぎる話しね」
「大手柄を上げて、盟約で大枝、伊吹、星熊という鬼を封じて……ああっ!?」
突然諏訪子が大声を上げ立ちあがった。
驚愕に顔が歪んで、直ぐに酷く悔しそうになった。
私は相棒の良く分からない言動に首をかしげつつ訊ねる。
「どうしたのよ?」
「やられたっ、やられたよ神奈子!」
「私達、あの鬼達を結果的に守って力を付けさせることになっちゃった……!」
「え……?」
慌てふためく諏訪子の事が理解できずきょとんとなる。
とりあえず説明してもらわなきゃ。
「私達はあの鬼の名前を封じる、そして神奈子の名前だけを借りて山を渡す。これが罠なんだよ!」
「どういうことよ?」
「鬼は固有名詞が関係ないんだ! 鬼としてあるだけで力と能力を無条件で持つんだよ! つまりあの時は鬼として誓わせるのが本来の正解。
そして大枝の鬼は自分の固有名詞で誓った。大枝の鬼という名前の何かは封じられて形だけ残り、
大枝山の三鬼は名無しの何かとなって契約に縛られず、封に縛られず力を持ち続ける。寧ろ自分だった名前の残滓から力が入って来るかも知れない……」
「つまり……私達は騙されたの?」
そうだとしたら到底許される事では無いわ。
何より両者名に誓った盟、ソレに虚偽を仕込むなんて……。
怒りを露わにしながら諏訪子に向き直ると、何故かくやしそうに首を横に振った。
「ううん。そうじゃない。私達の利益は何も変わんない、上手く抜け道を作られて、私達が勝手に勘違いしただけ。
向こうに利益が薄いと勝手に思って、あの妖怪も後々攻めて本当に殺せば良いやとか考えていたら裏をかかれてたってだけ。
あーうー……これはしてやられたよ」
「つまり、騙されたけど騙されてない、ってこと?」
「うーん、どっちかといえば私達が早合点して一人芝居してた感じだね、あーうー……」
しょぼん、と項垂れる諏訪子。
だけど私の想う事は違った。悔しいとかそういうのじゃない。
「はは、あはははは!」
「か、神奈子?」
歓喜。私はこの上なく喜んでいる。
右見ても左見ても誰も彼もが甲斐性無しの根性無しばかり。
軍神の肩書だけで怯える様な玉無し共。
「素晴らしいわね! 一介の妖怪風情が神を話術で煙に巻いたのよ!?
物怖じすらせず、身一つで乗り込んで私達二人と対面しながら! 素敵な胆力だわ、最高に度胸も据わってるじゃないの!」
「うわぁ、戦闘狂の神奈子が出たよ……」
だけどあの鬼は違う。
殺される覚悟で面と向き合い、それをおくびにも出さず挙句私達を煙に巻いてみせた。
「黙らっしゃい! 諏訪子、気に入ったわ! いいじゃない、乗ってあげましょう!」
「本当にいいの? いやまあ何も損はしないことに変わりないけどさ。私もどっちかといえば存在自体があっち側だし。でも神奈子の誇りとかそういうのは?」
「有るのは妖怪に良い様にあしらわれた私の弱さだけよ、何も恥じらう事なんて無いわ!
見てなさい大枝の鬼、このツケは高くなるわよ」
「うわ……これは流石にあの鬼も予想して無かっただろうねぇ……」
呆れたように諏訪子が呟いているが知ったことじゃないわ。
私の心の中では、好敵手(勝手に認定)への凶悪な思慕の炎がごうごうと燃え上がっていた。
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十月二十九日日
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「だ、誰ですか!! 猫の亡骸を処分しちゃたのは!!」
諏訪から戻り十日。
真白のが文字通り締められ鳥鍋にされかけたり伊吹のと星熊のが一層甘えてくる様になったり何だか雰囲気がとんでもない河童に出会ったり。
大きな戦闘で仏も被害を受けた所為か慎重になり、一時的に以前の様なお山らしい平穏が戻って来るようになった。
そんなある日の大広間。
吉野の宮から戻って来たややが扉を勢いよく開けると悲痛な叫びをあげた。
「どしたの?」
伊吹のがぼくの背に抱きついたまま訊ねた。
声に釣られ大天狗や真白の、大河童も集まって来る。下っ端達も何事かと視線を向けていた。
「……病猫鬼を創っていたのに、そ、その死体が無いんです!」
「びょうびょうき? なんだぞれ」
伊吹のと静かに激しい蹴り合いをしながら場所を取り合っていた星熊のが訊ねた。
ややは今にも泣きそうになりながら説明する。
「大友皇子の傍に侍っていると邪魔になりそうな人間を殺そうと思って、猫の怨念で呪術を組んでたんです……」
「なるほど。でもなんで猫?」
未だ蹴り合う星熊のが訊ねた。
「そりゃ犬神みたいな強過ぎる呪いだとばれちゃいますし。直接するには遠いですし。
適度に弱い位……身体が弱っている人間に付けると病死させる位の呪いを組む必要があって」
「じゃあまた組めばいいじゃんよー。なんでそんな悩んでるのさ」
面倒そうに伊吹のが言うと、ややは壁をだん、と殴りつけ言った。
……ややは前衛系じゃあない筈なんだが、壁にヒビ入ったな……。
「時間が無いんですっ! 今回に丁度いい病描鬼は生むのに二十日間は要るんです!
大友皇子の体制が動き出す前に奴は絶対に殺さなきゃならないのに……うう、どうしたら……」
ややは練った計画が狂うと弱いところがあるな、ぼくはそんな事を思いながら立ちあがった。
嫌な役目だけど、こういう事態には群れを纏める長としてしなければならないことがある。
「やや、それは何処でやっていた? お前は何か注意書きや連絡をしていたのか?」
「それは当然です! そこまで間抜けでも自分勝手でも無いですよっ!
腐臭が酷いので私の個人的な住居でやってましたし、同僚にもそれは言ってありますし、第一私の住居に入るなって立て札かいてありますっ!」
「なるほど。聞く限り不備は見当たらないな。今のは本当か? えっと、睡、聞いていたか?」
適当にややの同僚の烏天狗を指名する。
指された天狗は一瞬驚き頬を染めてから答えた。……お前もか。
「はいー、大枝様。睡はややちゃんから聞いてましたよー。あと先週くらいから臭いがすごかったですよー」
犯行は外部か、或いは味方内か。
まあ外部は無いだろう。やや達の住処は宮よりもさらに山の上だ。
そこまで気付かれづに侵入できる存在というのは仏の性質的にあり得ない。
「……誰だ。誰が猫を処分した?」
つまり必然的にそれは内部の犯行と成る。
この大事な時に! 最悪の気分だ。ぼくは本気で怒気をにじませた。……だが、諏訪の神の体制から学んだ事を実践するいい機会だとも思った。
誰一人として答えない。口一つ開かない。広間は物音ひとつたつことなく、静まりかえった。
「外部はあり得ない。誰だ、誰がやった。答えろ」
「お、大枝のっ」
皆戸惑っている、とでも言おうとしたのだろうか。
伊吹のに言葉をさえぎられる。
……済まないな。群れを率いる以上、此処で引くことは絶対に出来ない。
「伊吹のは黙っていろ。最後だ、ここで名乗り出ないのならば徹底的に犯人を洗い出す。
鼻のいい狗も居る、腐臭と血の臭いからは逃れられない。もう一度聞く、誰だ」
間延びした一瞬、そして、一人の雌の走狗天狗が手を上げた。
「は……はい……わ、私です」
「連れてこい」
一声放つ。瞬く間に優秀な大天狗二体がその腕を掴み連れてきた。
「何故だ? 立て札を読まなかったのか? 読めない、分からないと言う事は無いだろう?」
「そ……その、警邏の最中にやや様の住居の前を通るんです……。それで、毎日酷い腐臭がして……。
お、御留守にしている間に……ヤマネコが入り込んで死んだのかと」
「なるほど、それなりの術の用意はしてあった筈だが、勝手に処分したと。それは独断か? 警邏隊ならば犬走の者に許可は取ったか?」
多少不自然な部分には目を瞑ろう。
少し悪いが、この天狗には人柱になって貰う必要がある。
「ど、独断、です……」
「……理由は、本当にそれだけか?」
「は、はひっ!?」
「嘘は、吐いていないな」
「つ、吐いて、いません……」
と言いながらこの天狗は少し目を逸らした。
どうやら何か感情を腹に一つ抱えているようだ。まあ、この再気にしない事にしよう。
必要なのは印象だ。
「分かった。おい、お前は右利きか、左利きか?」
「へ? あ、み、右利きです」
「分かった、左手を開いて出せ」
「あ、はい……あの、何か」
「歯を食いしばれ」
「えっ?」
きょとんとした天狗に気遣う事無く、ぼくは手刀を振りおろし、彼女の小指を叩き切った。
「ぎゃあっ!?」
手を押さえのたうちまわる姿をそのままに、ぼくは全員の方を振り向く。
ややはどういう事か理解したのだろう。ダシに使われたことに少し気分悪そうに顔をしかめているものの、ぼくを真っ直ぐと見詰めたあと一つ頷いた。
「落とし前は小指だ。次は無いと思え」
「は、はひ……申し訳ありません……」
彼女のしたことはお山の存亡に関わり赦される事じゃあない、だけどこんな、配下が勢ぞろいしている前で辱められる必要は無かった。
これも、ぼくが汚い所為だ。こうしなければ規律を導入できない位非力な所為だ。
心の中で謝りつつ、ぼくは口を開いた。
「全員良く聞け、今回の様な勝手な行動、群れの中で正当な理由無く他の個体に被害を与えた者には、以前も言ったように原則罰を与える。
今までは半ば有って無い様なものだったが、それはもう終わりだ。知らぬでは赦されない。行動することの責任は全てがそいつにある。
そして勝手な行動は、今回の様に重要な事態を妨げかねない。
ぼく達は群れを組んだ、けだものとは違う妖怪だ。それが嫌ならば、今すぐ何処にでも行ってしまえ。分かったか」
諏訪で見た守矢神のやり方だ。罪を犯した人を守矢神と八坂神が裁き罰を与える。
そうすることで共同体の中で規律を守らない個体を出さないように出来る他に、同じ規律の中で過ごす者同士で一層の連帯感が生まれ規律自体を犯しづらくなる。
諏訪では罪も数十種有ったが、お山のぼく達は今の様に全体の危機に関わる様な事や、軋轢を生みやすい理由の無い殺しに強姦、強盗行為だけを取り締まるつもりだけど。
「分かったよ」
「ん、まあ大枝のがそう決めたのなら」
最初に伊吹のと星熊のが同意したのをきっかけに、波紋のように皆同意した。
上下社会だから文句を露骨に言えないのを分かっての発言だからまあ予想通りなんだけど。
「ある種の者達には不便を強いるかもしれないが、皆頼む。あの仏共や外敵に勝つには、先ず自分たちを纏めなければ勝てないんだ。
憎しみ以外で、自分達が一つの群れであり仲間だと思えるようになる必要があるんだ……。分かってくれ、仲間たちよ」
その一言で、明らかに嫌そうにしていた部下共の眼に生気が灯った。
これも諏訪で学んだこと。此方側の存在は余程の事が無ければ格上に自然に惹かれる。頼りにされたり認められたりされる事は天にも昇る心地だろう。
……腹芸を身に付けたり、話術で誑しこんだり。本当に人間臭くて嫌になる。だが、それがぼくなんだ。
「……ありがとう、感謝する。おい、その天狗を治療してやれ」
「御意」
大天狗の一人に命じると、河童を一匹伴って出て行った。
後でぼくも詫びに行こう。その時出来れば何を隠そうとしていたのか、彼女に問おう。
それよりも今は……。
「やや、今からでは間に合わないのか?」
「そうですね……標的が再来月まで健常だと、恐らく次代の体制地盤が固まってしまうと思いますね。あと三日早く気付いていれば手の打ちようもあったんですが」
「そうか。真白は駄目か?」
ややには打つ手なし。
呪いが得意な真白のにぼくは向き直ると訊ねた。
「ふぇっ? あ、私は蟲毒法は専門外というか。仏に察知されても良いなら派手な呪い組みますけど」
「それは不味いな。分かった。痛風、お前はどうだ」
真白のは駄目な様だ。
ぼくは天狗二番手の実力者、眉目秀麗の男大天狗である痛風に訊ねた。
「申し訳ありませぬ大枝殿、某も呪殺はあまり。しかし命と有らばこの身に賭けて」
義理堅い性格の彼は星熊のへの恩義からぼくらにも従順に従ってくれる。
部下としての弁を弁えながらも壁を感じさせない気やすさを持つ部下の鏡の様な天狗である。
思いっきり前衛系の戦闘を得意とするが単純な知識量だけならばややにも引けを取らず真白のとも対等以上に戦い渡り合う実力を持つ。
女にも優しくお山では二番人気(伊吹の情報)で良く彼を女天狗や河童が取り囲んでいるのも見かける。はて、一番は誰なのだろうか……。
「いや、いい。此処で痛風を失う訳にはいかない。伊吹の、星熊のは……無理だな」
「ちょ、ちょっと!!」
「酷くないかそれ!?」
ちらと二人を見る。どちらも打撃専門系だし期待できそうにもない。
下手をしたら直接手に掛けようとしかねないし。
騒ぐ二人を意図的に無視してぼくは河童達にも訊ねた。
道具やからくりを得意とする連中だが、だからこそ何か有るかもしれない。
「河上、河城、裃、お前たち辺りでは蟲毒の真似は出来ないか?」
「申し訳ない大枝様、俺にはちょいと無理だ」
「ひゅいっ!? あ、えっと、その、……ごめんなさい」
「私も病気にさせる道具はちょっと専門外ですわ。申し訳ありません」
「いや、いい。気にするな。皆は誰か心当たりが無いか?」
どうやら彼等でも駄目な様だ。
ぼくとややが頭を悩ませていると一つ手が上がった。
「あの、大枝様。一つ案があるんすけど」
「言ってみろ」
そいつは何度か見たことのある犬妖怪、山犬の男だった。
尻尾をぶんぶんと激しく振っている。余程自信があるのだろうか。
「別に俺等の中から探さなくても、余所から連れてくればいいんじゃないっすかね?」
「余所の山から術者を探すのか?」
「それもあるっすけど、人間の中にも呪術者は居るのじゃあないっすかね? 俺等側より人間の方が量も多いっすし」
「……なるほど。妙案だ」
「あ、ありがとうございます、っす!」
尻尾がちぎれんばかりに揺れている。耳もピンと伸びて何だかさわり心地が良さそうなのでもふもふする事にした。
おお、柔らかい。
「良し、ではこうする。明日早朝、人間に変化出来る者はぼくの元へ、それ以外の戦闘部隊に所属している者で各隊上位三名は星熊ののところへ集まる様に」
「大枝のっ、私は!?」
「残った者は伊吹のの指揮下で真白のと一緒にお山の守護を頼む。技術職も穴埋めに出ること。ややは交渉役だ、星熊のに追随してくれ。これでいいか?」
「見事な判断です」
参謀役のややに訊ねると満足げに頷いた。
よかった。どうやら一応の及第点は得られた様だ。
「良し。では明日遅れない程度に、今日は好きに騒げ」
そういうと直ぐ様に活気を取り戻すお山の配下たち。
こんな奴らだからこそ、ぼくは何をしてでも失いたくない。
この居場所を失いたくない、その為には小を犠牲にすることも厭わない。
……何故だか、白が無性に恋しく思えた。
お山の規律は何だか極道のソレみたいになりました。
今回は二話連続更新だったので前話もお忘れなく




