6.リンドウ 「悲しんでいる時のあなたが好き 」
またまた投稿です!!
若干ヤンデレ気味な女の子のお話。
もしよかったら読んで行ってください><
おかしいのは
私
なんでしょうか
悲しんでいる時の
貴方が
好き だなんて
……
「どうしたの?」
そっとそっと、なるべく優しく、彼の肩をつつく。
「え?」
誰もいない教室で、椅子にもたれかかりながら俯いていた彼がピクリと反応し、顔をあげる。
彼の顔は、今にも泣きだしそうなくらいくしゃくしゃで、それでも泣くまいと必死に強がって我慢しているようなもので、どきん、不覚にも胸が高鳴る。
「また、あの子と何かあったの?」
自分でも驚くくらい「いい人」そうな声が出た。
本当に心配しているような、不安そうな、そんな声。
は、と彼は笑う。
まるで泣いているように、笑う。
「竹下にはなんでもバレちゃうよな」
くしゃり、彼の顔がゆがんだ。
笑っているつもりなんだろうけど、笑えていない彼が愛しいと思ってしまう。
今、ここで抱きしめてしまいたいとさえ、思う。
「当たり前でしょー、だって、」
ずっと雪村のこと見てるし、なんて言ったら多分こいつは困るだろうから、温かい笑顔で、慰めるような声色で、
「親友だし」
そういえば彼はまた笑った。
今度は本当にうれしそうな、溶けちゃいそうなくらいの笑顔。
「ありがとな」
それから少し間があいて、また、彼が口を開いた。
「実は、彼女と、けんかした。」
ぽつりと息をつくように、雪村はそういった。
え、言葉を返す前に、更に彼は続ける。
「しかも、今回はまじな方で別れるかもしんねー」
辛そうに眉を顰める彼。嬉しいと思っている私は酷い女だ。それでも、やっぱり、嬉しい。
しょんぼりと、またうつむいてしまった彼の頭に触れる。
まるで大事な大事な宝物に触れるような、たどたどしい手つきで、彼の髪をなでる。
雪村は何も言わない。
とん、
彼の頭が私のお腹のあたりに もたれ掛かってくる。
どく、鼓動が高鳴る。ぎゅうと胸が熱くなる。
どく、どく、どく、
ああもう沈まれ心臓。彼に聞こえちゃうでしょ。
…きっと、今、この瞬間だけは、たぶん私と雪村は恋人みたいに見えるんじゃないかと思う。
例えそれが偽りのものでも、私はこの瞬間だけは、雪村は自分のものなのだと自惚れてしまう。
ていうか、それくらいは許してほしい。
誰もいない教室に、雪村と私だけの特別な空間。
恋人同士ではないけれど、きっと今の私たちはそれ以上の何かがあると信じているから、だから、
何も言わずに雪村の髪をまた撫でた。
そろそろと、髪の表面をなぞるような、もどかしい手つきで、ゆっくりと。
……
悲しんでいるあなたが好き。
だって悲しんでいる時のあなたは、私に依存してくれるから。
私の存在を最も必要としくれるから。
ああもうあなたが私だけを見ているこの瞬間が在るのなら一生悲しんでいればいいよ。
ここまで読んでくださり、ありがとうございましたっ
ていうか、一応この連載「その他」のジャンルなのに、恋の話しか書いてないていう・・;
次回は恋以外の話を書くかも…
もし暇な時間がありましたら読んで下さると本当に嬉しいです;▽;
ではではm(_ _)m