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5.アザミ 「触れないで」

 遅くなりましたが、5話目です!

良かったら読んでいって下さい!!


強がりな女の子のお話

 泣きそうになった時に


頬に柔く触れた貴方の手が


どうしても忘れられない


 どうしようもなくて、苦しい時に


髪に、頭に、優しく触れた貴方の指が


どうしても忘れられない


 飛び上がる程嬉しい時に


一緒に肩を組んで喜んでくれた貴方の腕が


どうしても忘れられない


 貴方に触れられた箇所が


熱くて熱くてどうしようもない


行き場のない気持ちは


溢れて溢れて  溢れて


 ……


 「山田(やまだ)


彼が私を呼んだ。

なに?

振り向けば、思ったより近くに彼はいて、少しドキリとする。


 「彼女と仲直り、できたわ」


そういって彼は言葉を続けた。


 「ありがとな」


あまりにも彼が嬉しそうに笑うので、私はどんな顔をしていいのか分からない。

それでも無理やりに笑顔を作ってみせる。

うまく、笑えてる、 かな?


 「ほんとに?良かったじゃん」


 「山田に話聞いて貰ったおかげかも。なんか、ちゃんと謝ろうって思えたっつーか」


優しげに私を見つめてくる彼にやめて、と心の中でつぶやいた。

そんな目で見られたら、私、は、


 「まじか、」


なんていえばいいんだろう、ええい、とりあえず、笑っとけ。


すぅと息をすって、ニッコリしてみせる。

無理して笑っている事を、彼は多分気づいていない。

それに安堵している反面、どうしようもなく悲しいと思っている自分がいるのも確かで。


それでも、彼の前で弱いところを見せるのはいやだと思った。

そんな事をしたら、彼は絶対に戸惑うし、きっと私と距離をつくる。

それになにより、私自身が許さない。

好きな人の前で弱いところを見せて、頼るような弱い女にはなりたくない。

そう、あの子のような、弱い人には、ならない。


 「山田」


彼が、また私の名を呼んだ。


 「ん?」


 「お前が友達で、まじで良かったよ」


ああ、もう、

そんな、優しく言わないで、

お願いだから、これ以上、私を、


 「ありがとな」


そういって、彼は私の頭をくしゃりと撫でて、向こうへ行ってしまった。

彼が向かうさきには、あの子が笑って待っていて。


 ああ、


もう、


だから、


 ――――くしゃり、彼が触れた部分に熱が宿る。

私はそれを手でおさえながら、ぐっと歯を食いしばる。


 期待させるようなことを言わないで、そんなに優しくしないで、


触れない、で




 ぎゅうと目をつぶって、熱くなる目頭に気が付かないふりをして、強く、拳を握った。


 ここまで読んで下さりありがとうございました!


感想頂けると嬉しいです^▽^

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