3.マダガスカル 「二人で遠くへ旅を」
久しぶりの投稿です><
短めなので、暇つぶしに読んで貰えると嬉しいっす(≧∀≦)☆ミ
七月の後半になって、私の高校もそろそろ夏休みに入ろうとしている。
夏休みという甘い響きに、クラスの皆も若干浮足立っているのが分かるし、かくいう私もその一人であったりする。
何しろ、今年は去年とは違い、大好きな彼氏がいるのだ。
海、花火、旅行…
想像するだけで顔が緩んでしまう。
頬杖をつきながら、一人でにやけていると、友人の「美代」が、私の頬を軽くつねってきた。
「リア充め…
アホ面晒しちゃってさ、いいね君は幸せそうで。」
ちなみに美代は、この前彼氏と別れたばかりだ。
彼氏の浮気現場に遭遇してしまったらしい。
「み、美代はん、つねる力が本気ひなってきてる気がふるんでふはが…」
「夏休み前っていうのに彼氏がいない私の気持ちも理解したまえ。
そんな時に、ニヤニヤしてるリア充を見たらつねりたくもなる。」
まぁ言えてるっちゃ言えてるかもしれない。
憐みを込めて美代を見ると、更につねる力が強くなってしまった。
「ちょっ、まひ痛いっへ!!」
…ようやく、美代が手を離してくれた頃には、私の頬は赤く腫れていた。
女って恐ろしい…
……
「悠里、彼氏が待ってるよ~」
放課後、長い長いHRが終わり、バックの中に荷物を詰めていると、美代が若干恨みのこもった声色でそう言った。
「はーい」
慌てて教科書を詰めこんで、ドアの方へ駆けていく。
ばたばたと教室を抜けると、ドアによりかかりながら、私の彼氏、信也が、たっていた。
自分の彼氏ながら、格好いいと思うのは、やはりひいき目というものなのだろうか。
いや、違うだろう。
だって本当に格好いいもん!
「ごめんね、待った?」
少し申し訳なさそうにそう問うと、「だいじょぶ」と笑んだ。
その表情にドキリとしつつも、「じゃあ行こっか」と言って、歩き出す。
彼が私と歩幅を合わせて歩いてくれる事が妙に嬉しい。
「そういやさ」
そうきりだすと、彼はこっちを振り向いた。
付き合って4か月経つけど、やはりいちいちドキドキする。
「うん?」
「そろそろ夏休みだねー」
「だな」
「夏祭りとか、たくさん行こうね!」
「うん」
彼がはみかみながら笑った。
つられて私も笑う。
幸せだな、って思う。
「あのさ、」
今度は彼が話しかけてきた。
「なに?」
「俺、バイトして、結構金たまったからさ、夏休みになったら、遠くへ旅行したいなって。」
、彼はそういって、少し照れたように、それでもちょっぴり得意げに笑った。
「遠くへ?」
「うん、知り合いとか誰もいないようなとこ」
そう言われて、彼と自分だけで旅行している姿を思い浮かべた。
「海が近くにあるとこがいいな」
そうして、二人で泳ぐのだ。
綺麗な魚がいたりしたらいいな。
海の見えるホテルに泊まったりして。
「うん」
「迷子になっちゃったりしてね」
「主に悠里がな」
「なんでよ」
「冗談、ちゃんと手繋いで行こう。そしたら、迷子になったって二人一緒。」
二人で笑った。
幸せで、笑った。
そうだね、二人なら、迷子になったってきっと幸せだね。
そう言って、また笑った。
愛の力は最強だからな。
また、笑う。
---君と二人で遠くへ旅をする。
なんて、素敵な事だろう。
早く、夏休みに、なれ。
ここまで読んでくださり、ありがとうございました!!