2.コリウス 「叶わぬ恋」
第2話です><
連続投稿((゜д゜;))
良かったら読んでいって下さい!
決して許されるものでも
決して叶うものでも
決して喜ばれるものでもない
そんな恋なのに
それでも私は
貴方が、好きなのです。
好きなのです。
……
「徹、さん。」
彼の名を呼んだ。
それは、私の姉の、彼氏の名前。
それは、私の、大好きな人の名前。
「なに?」
彼が振り向いた。
堅実そうな瞳に、よく似合う黒縁眼鏡。
キリリと引き締まった眉毛、男の人なのに、綺麗な黒い髪。
「なんでもないです」
悪戯っぽく笑ってそう言えば、彼の表情が少し緩んだ。
あぁ、この表情。
本当に好き。
「明日、ですね。結婚式。」
ぽつりと言葉を零す。
彼が嬉しそうに微笑んだ。
胸が、痛む。
「うん、薫ちゃんのお姉ちゃんの事、絶対幸せにするから」
優しく、けれども真剣な顔で、彼は言った。
私も笑おうとしたけど、上手く笑顔が作れない。
何か言おうと思ったけど、口を開けば泣いてしまいそうで、何も言えない。
「はい。」
それしか、言えなかった。
それでもこれが精いっぱいの言葉で。
どうしても、お幸せに。だなんて言えなかった。
まだ、そんないい子にはなれない。
「ありがとう。」
彼が笑う。
止めて。
私は、貴方にお礼を言われる程いい子じゃない。
本当は、明日の貴方と姉の結婚式をぐちゃぐちゃにして、貴方と姉の仲を引き裂いてしまいたいと思っているの、ごめんなさい。
「明日の結婚式、」
上手くいくといいですね。
とは、やはり言えなかった。
何となくあやふやに言葉を濁して、彼から視線を外す。
これ以上、まっすぐな彼を見ていられない。
「…それじゃあ、明日の準備があるからまたね。」
そういいながら、彼が立ち上がる。
何か言わなくてはと思いながらも、何も浮かばない。
「あ、あの」
後の言葉が浮かんでこない。
彼が振り向く。
目が合った。
綺麗な黒い瞳。
見ているのは、私だけれど、私じゃない。
「また、明日。」
こんな事しかいえない自分が歯がゆかった。
もっと、何か言う事はあるはずなのに、なにも見つからない。
「うん、またね。」
ドアの閉まる音が聞こえる。
残ったのは、私と静寂だけ。
…明日は、うまく笑えるだろうか。
そう思いながら、目を閉じた。
……
絶対に叶わない恋なのに、
それでも、
あぁ
貴方を想うと
また
ほら
深く
おちていく。
ここまでよんでくださりありがとぅございました!
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