表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
42/89

第42話 豪快な医者

「先生、こちらがローレンさん、ミセルさん、サトリさん、リーナさんの四人です。」


ナギが(ほこ)らしげに紹介した。タカナミはギロッと四人を見回(みまわ)した後、


「よく来たな、この地獄の中へ!」


大声で言うと、カッと笑った。その笑いはまるで太陽のように、誰の心も温かくするものだった。


「私がタカナミだ。よろしく頼む。では早速(さっそく)、仕事に取り()かってもらおう。」


そう言うと、ナギの方を向く。


「ナギ、お前はノーラと交代しろ。もう魔法力が限界のようだ。休憩してもらおう。」


そう言うが早いか、「ノーラ!休め!」と一喝(いっかつ)した。呼びかけられた少女が、一同の方へ駆け寄る。


「ノーラ、今日はもう休め。看護(かんご)する者が倒れたら、患者にとって不幸だからな。」


タカナミがそう言うと、ノーラと呼ばれた少女は不服(ふふく)そうに口を開いた。


「でも先生、もう少しならできます。」


タカナミはにっこりと笑い、「じゃあ、もう一仕事頼む。この人たちを案内してくれ。」と言った。


そのやり取りを見ていたミセルは、静かに目を(ほそ)めた。

(この男、大したものだ。指示の的確さ、部下の掌握(しょうあく)……只者(ただもの)ではないな。)


ナギとノーラが引継(ひきつ)ぎを()ませるまで、一同は医術と魔術が交差する不思議な治療現場を(なが)めて待っていた。


やがてノーラが戻り、「さあ、皆さん、ご案内します。」と声をかける。すでに患者の治療に戻っていたタカナミが、「君たちも患者になってくれるなよ!」と冗談めかして大声を張り上げた。ノーラが恥ずかしそうに小声で(あやま)る。


「先生はちょっと無神経なところがあるんです。気にしないでください。でも、もしも皆さんが黒死病にかかっても、私たちが絶対に(なお)してみせます。」


―――


その後、ノーラはまず皆を宿所へ案内し、荷物を下ろさせると、すぐに診療所内を案内し始めた。彼女自身は休息の指示を受けているのに、その性急(せいきゅう)な動きが診療所の切迫(せっぱく)した状況を物語(ものがた)っていた。


診療所を一通り案内し終えると、ノーラは宿所に戻り、一同の前に立った。


「では、皆さんの仕事の割り振りをしたいと思います。やっていただきたい仕事は三つあります。」


「一つは、患者さんを運んだり、重い荷物を運んだりする力仕事です。患者さんの中には()くなった方も含まれます。」


「一つは、事務仕事です。食料の調達や配給、必要物資の在庫管理などをお願いします。」


「一つは、ネズミ()りです。先生は『(やまい)(もと)()たなければ、いつまでも災厄(さいやく)は続く』とおっしゃっています。」


ナギからの依頼と同じ内容だったため、一同はすぐに(おう)じた。


「戦場整理は本職(ほんしょく)だ。(まか)せるがいい。」


ミセルが真っ先に手を挙げた。


「おれは自分の商店を持つのが夢なんだ。それに関わる仕事なら、やってみたい。」


ローレンが腕を組みながら答える。


「ネズミ捕りなら、私たちがやるわ!」


リーナが明るく言い、サトリも(うなず)いた。


ノーラは頼もしそうに確認する。


「では、ミセルさんは力仕事を、ローレンさんは事務仕事を、サトリさんとリーナさんはネズミ捕りをお願いします!」

※戦場整理:戦場に残された戦死者の遺体収容や遺品回収、兵器の片付けを行う後始末

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ