第40話 命の値段
「おいおい、サトリまで何を言ってるんだ? 親切にも程がある。」
「確かに俺はお前たちに『親切は商売になる』って教えた。しかし、親切は命あっての物種だぞ。命までかける必要はない!」
ローレンは必死の形相で二人を諭した。そこにミセルが静かに割って入った。
「ローレン、お前の言うことは正しい。ただ半分までだ。命をかけてまでも守りたい、掴みたいものはこの世にごまんとある。私は主君に命を捧げた。そして部下たちは命をかけて私の退路を切り開いてくれた。いいかローレン、命は守るものではなく使うものだ。」
そして続けて「リーナ、サトリ、私も行こう。」と落ち着いた声で言った。
ローレンは動揺して「アモンはどうする? アモンも連れて行くのか?」と言った。
するとナギが「どういうご事情か分かりませんが、その御坊ちゃんが町に入るのは危険です。この村の私の知り合いに預かってもらいましょう。」
サトリ、リーナ、ミセルは同意した。しかし、当のアモンは「いやだ! リーナ姉ちゃんと行くんだ。」と駄々をこねた。仲間の三人とナギがなだめる。その横でローレンは顔を歪めて考え込んでいた。しばらく考えを巡らせていたローレンは、不敵な笑みを浮かべて言った。
「俺は行商人だ。商売となれば命をかけてもいい。ナギさんとやら、俺の命をいくらで買う?」
ナギは、そのような成り行きになることを町を出た時に覚悟していたのだろう。躊躇せず返答した。
「この母の形見の指輪ではどうでしょうか……」
ナギは左手の指から指輪を引き抜き、ローレンに渡した。ローレンはしばらく値踏みをした。そして、
「これはナギさんにとって、命よりも大事なものだろう。よし、売買成立だ!」と言い、にやりと笑った……。
次の日、町へと向かう一行にアモンの姿はなかった。代わりにナギが荷馬車に乗っていた……。




