表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
29/30

第29話 港町

・・・それから一行の旅はとても平穏だった。早朝に訓練をし、朝に出発して村や町で行商し、夜は翌日の準備をする。そんな毎日を淡々と過ごしていた。しかし進めば目的地が近づくのは道理である。一行はとうとう港町に着いた。


関所を抜け、高台に出ると、サトリとリーナはその光景に息をのんだ。湾曲した海岸線に沿って、色とりどりの建物がぎっしりと並び合い、その隙間を縫うように細い路地が迷路のように走っている。山肌にそって家々が立ち並び、まるで箱庭のような美しさだった。


そして海!


海は深い青をたたえ、穏やかな波がキラキラと夏の太陽を反射して、まるで宝石を散りばめたように輝いていた。港には大小さまざまな船が停泊し、白い帆を広げた漁船や、威厳ある帆船が静かに浮かんでいる。


「海よ!海だわ!」


リーナがはしゃいでサトリに言った。


「そうだ!海だね!」


サトリも興奮して叫ぶ。


二人の様子を、ローレンとミセルは微笑ましく見守っていた。


リーナが「早く海に入ってみたい」と言うので、ローレンは宿に入るのは後回しにして、噴水広場に荷馬車を止めた。リーナは駆け出すように砂浜の方向へ走っていく。ミセルも笑いながら後を追った。


サトリもそれに続こうとしたが、ローレンの無慈悲な声が飛ぶ。


「サトリ、すまんが荷馬車の番を頼む。俺はお得意さんのところに顔を出さないといけないんだ。」


「・・・」


サトリは思いっきり膨れたが、いろいろと世話になっているローレンの頼みを断るわけにはいかない。


「わかったよ、ローレン。」


サトリはしぶしぶ荷物番を引き受けた。


噴水広場には市が立ち、大層な賑わいだった。涼を求めてやって来るのだろう、子供の姿も少なからずある。夏の強い日差しがサトリを照りつけ、じわりと汗がにじんだ。


頭がぼーっとしてきた、そのとき——。


「ねえ、お兄ちゃん!」


幼い男の子の声が、サトリに届いた……。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ