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第28話 女二人で

セルの質問を訓練のことだと思ったリーナは、にっこりと笑って答えた。


「ええ、いい調子よ。あなたの教え方は本当にすごいわ。村で守護者として訓練は受けてたけど、さすがプロの軍人さんね。」


「そうか。お前もなかなか筋がいい。もっと鍛えれば、いい戦士になるだろう。」


リーナの顔がぱっと輝いた。


「私ね、もっともっと強くなって、ミセルみたいになりたいの。そうしたら、みんなを守れるでしょう? ヘドムの時みたいな失敗はもうしたくないの。」


「私みたいになりたい、か……。」


ミセルは自嘲気味に笑い、視線を少し逸らした。そして、話題を変えるように明るい口調で聞いた。


「リーナは村の人に育てられたんだな。寂しくはなかったか?」


「お父さんとお母さんを亡くしたときは悲しくて死にそうだったけど、サトリがいたから……」


「サトリのこと、どう思う?」


ミセルはいたずらっぽく笑う。


「なにそれ? サトリは幼なじみで弟みたいなものよ。最近ちょっと見直すことは増えたけど、もうちょっとしっかりしてくれたらいいんだけど。」


「じゃあ、ローレンは?」


「そうね、頭が良くて男らしくて、それに誠実なところもあるし……とても素敵だわ!」


ミセルは少し考え込むように頭を掻いた。リーナはその意味が分からず、逆にミセルへ質問を返した。


「ミセルの家族はどうしてるの?」


「ああ、父上も母上も元気だ。弟や妹たちも私に代わって孝行してくれている。おかげで、私はこうして旅ができるというわけだ。」


「結婚はしてないの?」


ずっと気になっていたことをリーナが尋ねると、ミセルはくすっと笑いながら言った。


「ふふ、私に夫がいるように見えるか? もしそうなら、私も女としてまだまだ捨てたものじゃないな。」


「ごめんなさい……」


リーナは小さく呟いた。


こうして互いの身の上話や何気ない話をしているうちに、二人はすっかり打ち解けた。するとミセルがウィンクしながら言った。


「そうだ、甘いものでも食べよう。仲良しになった記念にな。ローレンとサトリには内緒だぞ。」


そう言って、手を上げて給仕を呼んだ。


二人が久しぶりの”栄養補給”を終えたころ、サトリとローレンが戻ってきた。二人とも中古ながら状態の良い武器を手に入れ、上機嫌だった。


「なんだ行商人、新品を買う金がなかったのか?」


ミセルがからかうように言うと、ローレンが即座に返した。


「うるさいな、俺は道具は自分の技量に合ったものを選ぶ主義なんだよ。最初から高い道具を買って宝の持ち腐れにするのは愚かだからな。」


ローレンがじろりと睨むが、ミセルは皮肉めいた笑みを浮かべるだけだった。


次の日、一行が街を出ようとしたとき、サトリとローレンは違和感を覚えた。いつもならローレンの横を定位置にしていたリーナが、この日はミセルの背中に抱きつくように馬に乗っていたのだ。


「……なんか、妙だな。」


ローレンがぼそりと呟く。サトリも不思議そうに首をかしげる。


ミセルはまんざらでもない様子で、リーナもどこか嬉しそうだった。

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