第25話 女騎士ミセル
「あっ!」「あっ!」
「騎士様、女だったのね!」
リーナはミセルの性別に驚いたが、サトリとローレンはその美しさに息をのんだ。
ミセルはそんな反応には慣れきっているのか、冷ややかに三人を見つめるだけだった。
サトリは一瞬見とれたが、すぐに我に返り、礼を述べた。
「ありがとうございました、騎…。」
「騎士様はやめてくれ。私は今、どの隊にも属していない。様づけで呼ばれる筋合いはない。」
「じゃあミセル、どうして私たちを助けてくれたの?なぜあの場にいたの?」
「ああ、弱きを助けるのは騎士の務めだからな。私も旅の途中で、偶然通りかかっただけだ。」
そう言ってミセルはわずかに目をそらした。
「お前たちは親子か?」
サトリは「いいえ」と首を振り、村を出てからローレンと旅をすることになった経緯を語った。
ミセルは横を向いたまま聞いていたが、興味津々なのは明らかだった。
「ミセル、あなたはどんな旅をしているの?」
「……仇討ちだ。」
ミセルの声が鋭く空気を裂いた。
「仇討ち?」
ローレンが眉をひそめた。「よかったら事情を聞かせてくれないか? 俺たちにできることがあるかもしれない。」
しばらく沈黙した後、ミセルは語り始めた。
「私はかつて、辺境騎士団の隊長だった。だが、闇の幹部との戦いで、一人の裏切り者のせいで隊は壊滅した。忠誠を誓った団長も……戦死した。」
彼女の拳が、わずかに震えているのが見えた。
「その裏切り者の名はエク。小柄で、特徴のない顔立ちをしている。背中に大きな傷があるはずだ。」
サトリたちはこれまでの旅でそのような人物を見聞きしたか考えたが、思い当たる者はいなかった。
ふと、サトリの目が輝いた。
「ミセル、僕たちと一緒に旅をしない? 僕たちは行商をしているから、ミセル一人よりも広く情報を集められると思う。それに、ミセルが仲間になってくれたら、すごく心強い。」
「サトリ、何言ってるんだ!騎士の護衛を頼むのに、どれだけの報酬が必要かわかってるのか?」
サトリがシュンとなる。だが、ミセルは静かに口を開いた。
彼女はふっと皮肉げに微笑んだ。
「お前たちの旅が、私にとっても有益であるなら……しばらく付き合ってやろう。」




