第22話 新緑の中で
私の小説に目を留めていただきありがとうございます。この話から第31話までが”仲間との出会い編”です。どうぞ楽しんでください!
新緑が眩しく輝く山間の小道を、一台の荷馬車がゆったりと進んでいく。御者台には、男盛りの風体をした銀髪の男が手綱を握り、その横には赤い服を着た少女がしなやかな体を寄せるように座っている。荷台には緑の服の少年がぽつりと寝そべっていた。まるで父親が子供たちを連れて旅をしているかのような微笑ましい光景だった。もちろん、それはローレン、リーナ、サトリの一行である。
彼らの目指す先は、西の果て――ノーマンズランドだった。
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出発前の話である。彼らは旅の計画を練っていた。
「さて、ノーマンズランドはここから西の果てにあるが、人が住んでいないため情報が極端に少ない。行商人の俺でも詳しいことはほとんど知らん。だから、行商しながら西を目指すしかない。まっすぐ向かうなんて思わないでくれよ。」
ローレンがちびりと酒を飲みながら言った。
「ニンフは『今すぐ』って言ってたけど、仕方ないわね。サトリ。」
「うーん、しょうがないかな……」
サトリが口ごもる。その隣で、リーナが目を輝かせながら提案した。
「それなら、旅の途中で海を見れないかしら?私たち、山育ちだから海を見たことがないの。一度くらいは見てみたいわ!」
「リーナ、それはさすがに……」
サトリは渋るが、彼自身も興味があったため、返事は曖昧になった。
「なら、あそこに寄るか。ちょうど大口の客がいるんだ。西への街道からそう外れないし、悪くない選択だな。」
ローレンが二人の思いを汲み取るように決を採った。
「決まりね!ああ、楽しみ!今夜は眠れそうにないわ!」
リーナは弾けるように喜びを表現した。
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こうして旅は始まった。これまでの道中は穏やかそのものだった。ローレンが盗賊や闇のモノが少ない道順を熟知しており、立ち寄る村や町での行商も、サトリたちの芸による客寄せのおかげで盛況だった。時には、二人の演目だけで路銀を稼げるほどだった。
「ねえローレン、城塞都市では結局どれくらい儲けたの?」
ある時、リーナが興味津々に尋ねた。
「ああ、実は大したもうけにはならなかったんだ。ほとんど借金の返済と倉庫代に消えちまったさ。ただ、この旅に困らない程度の利益は出したけどな。」
ローレンは笑いながら答えた。
「どうしてもっと大儲けしようと思わなかったの?」
サトリが不思議そうに尋ねると、ローレンはふっと笑って答えた。
「分不相応の金を持つのは、災いの始まりだからな。」
その言葉の意味を、サトリとリーナは完全には理解できなかったが、ローレンの言葉には妙な説得力があった。
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そんなのどかな旅路を続ける一行だったが、そろそろ野営の準備をしようかという矢先、思わぬ異変が彼らを襲った――。




