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第21話 西へ

「おいおいローレンさん。酔った勢いでそんな冗談言うのはよしな。」


宿屋の親父が呆れたように言った。


「酔っちゃいねぇよ、親父さん。俺は本気だ!この二人にはとてつもない恩ができた。それを返さないなら、商売の神様の罰が当たるってもんだ。」


サトリとリーナは飛び上がるように喜び、口々に叫んだ。


「ローレン、本当? ついてきてくれるの?」

「ぜひ頼むよ、ローレン! あなたが来てくれたら、心強い!」


「ああ、本当さ。お前たちは最高の旅のガイドと荷馬車を手に入れたのさ!」


ローレンは二人にウィンクして応えた。


旅の準備はあっけなく終わった。そもそもサトリとリーナは旅装束のままだったし、ローレンは行商人だ。準備万端、すぐにでも出発できる状態だった。だが、宿屋の親父が強く引き留めた。


「もうちょっとだけ、冒険譚を語っていってくれよ。」


恩義のある宿だ。三人に断る理由はなかった。


しばらくの間、三人は街に滞在した。ローレンは旅のついでに行商もするつもりで、仕込みのために毎日どこかへ出かけていた。残されたサトリとリーナは、食堂が開く時間まで街を散策し、見慣れぬ大都会の景色に心を躍らせた。


ある日、ローレンは二人を役所へ連れて行った。通行手形を取るためだ。ローレンの提案で、二人は旅芸人の手形を申請することにした。サトリの笛に合わせて、リーナが剣舞を披露する──村で人気のあった演目だ。ローレンは行商の際の客寄せに使うつもりらしい。どこまでも商売に抜け目のない男だった。


冒険譚を聞きに来る客足が落ち着いた頃、いよいよ三人は旅立つことにした。


「親父さん、世話になったな。元気でいろよ!」


御者台からローレンが声をかける。


「おおよ、お前も元気で帰って来いよ! お二人さんもな!」


「はい!」

「はい!」


二人は元気よく返事をした。


「じゃあな!」


ローレンが手綱を軽く引く。荷馬車がゴトゴトとゆっくり動き出した。タンポポ亭の前では、親父とおかみ、そして娘たちが大きく手を振っている。三人は西門へと進んでいった。朝日が荷馬車を明るく照らしていた………


……さて、三人が街を離れた後、しばらくの間、街は心なしか静かになった。誰が嘘を見破る毛皮を持っているかわからないため、誰も迂闊なことを言えなくなったのだ。しかし、時が経つにつれて、人々は「びくびくしてもしょうがない」と悟り、街には再び活気が戻った。


《本物の嘘を見破る毛皮を手に入れた者が誰なのかは、誰も知らない。そして、その者の運命がどうなったのかも、誰も知らない。また、多くの者がロトのもとへと向かったが、そこでどれほどの不幸が生まれたのか──それを旅立った三人が知ることはなかった……》

ここまで読んでいただき誠にありがとうございます。旅立ち編の終わりです。嘘を見破る毛皮を聴衆に信じさせる場面は、ちょっと冗長な気がしますが、初めての執筆なので平にご容赦ください。裏話ですが、当初の構想では、ここまでしか考えていませんでした。”僕たちの旅はこれからだ!”で終わらすつもりでした。それが、あれよあれよと筆が進み続きを書くことができました。これからの物語もご期待ください!

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