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第15話 街への帰還

・・・翌朝、二人は頭も体も爽快で、まるで魔法にかけられたかのような目覚めだった。おそらく、その可能性は大いにあったのだが。しばらくまどろんでいた二人だったが、ふと窓の外に大きな影が動いていることに気がついた。窓をのぞき込むと、そこには巨大な灰色狼――ガロの姿があった。二人は驚愕し、魂が抜けるような思いで居間に飛び込んだ。


「あわてるでない、二人とも。朝の散歩の時間じゃ。」


ロトは大笑いしながら言った。


「・・・散歩?・・・」


二人には事情がよく飲み込めなかった。ロトはすっと立ち上がり、玄関へと移動すると、二人を招きながら「こういうことじゃ」とニヤニヤしつつ扉を開けた。すると、そこにはガロの巨大な顔があった。思わずのけぞる二人を見て、ロトはまた愉快そうに笑った。


「そんなに驚くでない。ガロはな、善人には極めて優しいやつじゃ。ましてや、儂の客人となれば――こうなる!」


ロトは後ろから二人を突き出した。身を固める二人。しかし次の瞬間、生暖かく濡れた感触が二人を襲った。ガロはまるで主人に媚びる忠犬のように、二人を舐め回したのだった。


「朝食にはまだ早い。しばらくガロと遊んでおるがよい。」


笑いながらロトは扉を閉めた。


残された二人は、まだ状況を飲み込めずにいた。しかし、ガロに害意がないことは明白だった。彼は子犬のようにしっぽを振り、クーンと可愛い声を出しているのだから。二人はロトの言葉を信じ、おっかなびっくりガロの眉間あたりを撫でてみた。すると、ガロは大層喜び、そこらを飛び跳ねた。その愛らしい仕草に、二人の恐怖心はすっかり消え、ロトの言いつけ通りガロと戯れることにした。


---


巨大な灰色狼と二人の若者の戯れは、まるで神話の一幕のように穏やかだった。しかし突然、二人の頭の中にロトの声が響いた。


「そろそろ遊びの時間は終わりじゃ。朝食の準備ができたぞい。」


二人は驚いたが、この家では何が起こるかわからないことを悟りつつあった。ガロと離れるのは名残惜しかったが、二人は大人しくロトの声に従うことにした。


---


少し遅めの朝食を済ませ、身支度を整えた二人に、ついにロトとの別れの時間が訪れた。ロトは玄関の外まで見送りに来てくれた。二人は心から礼を述べ、再会を誓った。ロトは二人と向き合うと、


「進め、若人よ!進めばわかる。恐れず進め!!」

「神は与えたもう、奪いたもう、聖なるかな」


と力強い声で告げると、二人の頭上で印を結び、祝福を与えてくれた。二人はその言葉に胸を熱くし、心の底から勇気が湧き上がるのを感じた。


「ありがとう、ロト様。本当にありがとう!」


二人は深々とお辞儀をし、踵を返して街への帰途に就いた。ロトが祝福を与える間、ガロは横できちんと座っていたが、二人が歩き出すと先導するように前を進み始めた。ガロは昨日の試練の場となったあたりで立ち止まると、「ワンワン」と犬のような声を上げ、ロトの家へと引き返していった。


帰り道は一度通った道である。何事もなく街へ戻ることができたのは、夕刻のことだった。宿に戻ると、事情を知っている宿屋の親父と娘たちが目を丸くして驚いた。そして、借金返済の工面をしに出かけていたローレンを呼びに行ってくれることになった。


しばらく食堂で待っていると、勢いよく扉が開き、ローレンが駆け込んできた。二人を見つけるなり、心の底からホッとしたような声で言った。


「無事だったか、二人とも!よくぞ帰ってきてくれた!」

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