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出会い

よろしくお願いします。

(ヤバい、間に合え....!)

 吉野真紀は花の女子高生である。であるが、現在彼女は他所様には見せられないような形相で全力疾走の最中である。理由は大寝坊をかましたからである。昨夜、友人との長電話に夢中になっていた彼女は就寝の直前になって本日提出の課題に手を付けていなかったことに気付き、空が白み始めてきた03:00、ようやく課題を終わらせたのである。そして、そのまま睡魔に負けて...

(あと10分!!)

 このざまである。

(1限目は神田先生の古文、遅刻したら絶対ネチネチ小言を言われ続ける!絶対イヤ!)

 人間、考え事をしながら走ると注意散漫になりがちなものである。当然、彼女も例外ではなく、

 ドンッ

 誰かにぶつかってしまった。

「イタタ...」

「すみません、大丈夫ですか?」

「こちらこそ、すみませ...って、鈴木君!?」

彼女がぶつかったのは同じクラスの鈴木大吾であった。どうやら彼も大遅刻のようである。

「ひょっとして鈴木君も遅刻?」

「うん。昨日、夜遅くまで映画に夢中になってたから、それで寝坊しちゃって」


彼のクラスにおける様子は、よく言えば落ち着いている、悪く言えば地味といった様子で、自身の趣味について誰かと盛り上がっているような印象はない。

(まあ、私が知らないだけかもしれないけど。)

ふと、彼女は思った。一体どんな映画を見たんだろう。別段、彼女に映画鑑賞の趣味があるわけでもないし、鈴木と親しい間柄というわけでもない。ただ、なんとなく、なんとなく気になったのだ。

「鈴木くん、どんな映画だったの?」


授業開始まであと十分弱。ここからの距離なら歩いて向かってもギリギリ間に合うだろう。何より、自分と異なる人種と思っていた人が、映画に左程興味がないと思っていた人がその話題について話しかけてきた。そのことが新鮮だったから。

「えっと、昨日見た映画は.....」


学校へと歩く二人。会話はそれなりに弾んでいるようである。普段特に会話をすることが無かった二人。

この物語はそんな二人の青春ストーリー


などではない。


(イチャコラしやがってぇ....!!)


この物語は、偶然この場に出くわし、その様子を物陰から、血の涙を流しながら見ていた男子高校生 阿島保やその周囲の人物の日常を描く物語である。

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