第一話 すっごく恥ずかしい死に方をしました
突然だが、すっごく恥ずかしい死に方をしました。
この死に方…流石に滑稽すぎる。
親がこれを見たら泣いてしまうなぁ…と頭からアイスを被って倒れている自分自身の死体を眺めながら思った。
さて…ではなぜ私は、こんな恥ずかしい死に方をしてるいるのか。
…思い出すのも恥ずかしいが、情報整理のためだ。 仕方ないが思い出してみよう。
私は伊東 渚。年齢は24歳。
一般企業に勤めるしがないただのOLだ。
この場合だった…だろうか?
まぁ、そんなのは置いといて…私という人間はそんな普通の人間だった。
そして、亡くなってしまった今日という日も、特別な日だったというわけではなかった。
いつも通り仕事をして、家に帰って、ご飯食べて…お風呂に入ってなんてよくある日常だったと思う。
ああ、でも…今日はちょっといつもより浮かれていたかもしれない。
浮かれていた理由は、仕事帰りに寄ったスーパーで繁忙期を乗り切った私にご褒美として買ったアイス。(普通のアイスじゃなくて、ちょっと高いアイス)
それを楽しみにして浮き足立っていたとは思う。
お風呂上がりにいただこうと思って、お風呂に入ったところまではよかった。
問題はここから。
あろうことか私はまだちょっと濡れた足のまま、アイスを取りに行ったのだ。
それが良くなかった。
冷蔵庫からアイスを出して、さぁ、いただこうとソファに向けて歩き始めた…。
その時だった。
私は足を滑らせ、頭を強く打ちつけた。
濡れた足で歩いていたから、それはもう綺麗に滑って……キッチンカウンターの角に頭を打ちつけてしまった。
滑って勢いがついていたこと…そして恐らくだが打ちどころが悪かったこと。
この二つの要因が合わさって、私はご臨終してしまったわけである。
…滑った拍子に手からすっぽ抜けたアイスを頭に被るというオプション付きで。
いやぁ…それにしても即死だった。
痛みを感じたと思ったら、直ぐにその痛みは引いていって…何でだろうなと思っていたら、隣に自分自身の身体…。
お察しの通りお陀仏していたというわけである。
……思い返してみても、凄く滑稽な死に方だ。
こんなのが私の死因だなんて…恥ずかし過ぎて死んでしまいそう……いや、死んでるんですけどね?
それでも、羞恥心で死んでしまいそうになる。
この死体が誰かに見られるのも恥ずかしいし、こんな死に方をしたのよって言われるのも恥ずかしい。
…それにしたって、いつまでここに居ればいいのだろうか?
人間は死んだらすぐに黄泉の国とかに行って、死後裁判を受けるものなのだと思っていたのにね…。
いつになったらあの世と言われる場所に行けるのだろうか?
そして、私いつまでこの滑稽な姿の私と一緒に居ればいいのだろう…。
一応、こんな恥ずかしい姿で死んでしまったという後悔はあるけれど…これってそんなに強い念なんですかね?
これって未練に該当するんですかね?
あー、本当に恥ずかしい。
何でこんな死に方しちゃったんだろう…。
そんなことを考えてたら、不意に視界がぼやけてきた。
やっとお迎えが来たのか…。
死後の世界って…一体どんなところなんだろう…。
そんなことを考えながら、私は…ゆっくりと目を閉じた。