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ハルカナ  作者: ゆる


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9/25

第九話 三人で

いつもご愛読ありがとうございます!

本日もお疲れ様でしたー!

また次回もお楽しみに!

天川君はこれまでの真相を全て話してくれた。

私だけじゃなく、天川君と美希までこんな事に巻き込まれていたなんて。

「…てことは美希。もしかして私の様子がおかしい事も。」

「…うん。気づいてた。美月もこっち側に来てしまったなら、私が守らないとって思った。」

「なんで言ってくれなかったの?」

「…言えるわけないよ。こんな事普通誰が信じるの。」

美希の言い分も間違っていない。現に私も、一人で抱え込んでいたのだから。

でも、天川君も美希もそれに気付いて助けてくれていたんだ。

「…天川君は美希の事覚えてたんだ?」

「僕はね、でも美希さんは…。」

「ごめん、全く覚えてない。でも、今の話は信じるよ。」

恐らく天川君と美希は、元々物凄く仲が良かったのだろう。

お互いを理解するまでの早さがそれを証明していた。

「…でも、切ないよ。美希は天川君を忘れちゃってるし、天川君は生徒でもなくなってしまったんでしょ?仲良しのクラスメイトだったのに。」

「…桜井さん。仕方ないことなんだ。それでも僕は皆とハルカやカナタを助けたいと思ったんだ。」

私は心底、天川君や美希を尊敬した。

「…でも、これからどうするの?私のそっくりさんは結局なんなの?」

「あれは僕にもわからないんだ。でも、今分かることは、桜井さんには特別な力がある。何億人に一人と言われている力を持っているんだ。…その力によるものか、時空問題なのか。」

天川君は自信なさげに語り続けていた。

そして、美希は立ち上がると背伸びをした。

「まずは、三人で協力し合おうよ。」

美希の言葉に天川君も賛同した。

「そうだね。三人で七月七日の壁を越えよう。それがハルカやカナタの成仏にも繋がる!」

「でも、まずは七月二日の今日を何とかしたいよね。」

美希は時計を見た。

現在時刻 十四時三十分を指している。

「…学校に戻っても仕方ないし。まずは美月のドッペルゲンガーについて調べようか?」

「そうだね。僕も気になっているんだ。桜井さんは何か思い当たる事はない?」

私は二人に言われ、これまでの事を思い返してみた。

「…うーん。一回目は誰かに橋から落とされて、二回目は美希に化けた怪物に食べられて…。」

「…桜井さんを橋から突き落とした犯人は逢沢さんだよ。桜井さん、死に戻り二回目の時にまた橋まで行ったよね?」

確かに、一回目と同じルートを辿って犯人を見つけようとしたんだ。そして、私は「あっ」と思い出した。

「そう、あの時桜井さんを追ってきたのは美希さんと逢沢さんだったよね?美希さんは既に死に戻り中だから犯人からは除外。すると残るは逢沢さんになるよね。」

「…そうだった。…ん?でも天川君なんで知ってるの?」

「桜井さんが橋から転落死した後、僕も死に戻りしたんだ。一人でも死んでしまったら意味が無いからね。その後、同じ時間帯に陰から桜井さんを見ていたんだよ。そしたら二人が追って来た所に遭遇したわけ。」

霧がかかっていた謎が一つ明らかになり、複雑な感情もありつつ心のどこか晴れてもいた。

「じゃあ、まず私のドッペルゲンガーについて調べるってことで。」

私が去ろうとすると美希が私の手を掴む。

「三人で一緒に動こう。何かあったら大変だからね。」

「僕もその方が良いと思うよ。」

二人の意見に従い、私達は動き出したのだった。


通学路 下向方面

「ねぇ、美希?美希が死んだ理由って何だったの?」

「…一回目は天川君と同じなんだと思う。二回目は美月が橋から落ちた時。三回目は…。」

美希は話す事を躊躇している様子だった。

「…美希さん。あなたが死んだ後、美希さんは怪物になったんだ。その怪物に桜井さんは殺された。」

「…そんな記憶は私には無い。私が死んだ後に私の死体を使ったとしか…。」

美希の表情を見つめ、天川君は更に問い詰めた。

「…君は誰に殺されたんだい?」

「…優だよ。」

私と天川君は立ち止まった。驚きを隠せなかったからだ。

「…優って。嘘でしょ美希?」

「…正確には、優に化けた誰か。」

化けた?美希は何を言っているのだろう。それに、なんでこのタイミングで優の名前が出てくるのか、私にはさっぱり分からなかった。

全ての始まりは逢沢桃の裏切り。そして、逢沢桃のおまじないによってハルカとカナタの封印が解けた。それらに巻き込まれたのが私達…だと思っていたけど。

「まさかここで長谷部君の名前が出てくるとは予想外だ。」

「ねぇ美希。訳を聞かせてくれない?」

美希は渋々頷いた。


ーーーーー


七月二日 午後十八時過ぎ

「…じゃあ私帰るけど、美月、大丈夫そ?」

「うん、心配してくれてありがとうね。」

私は美月の家から出た後、自宅へと向かっていた。

美月の家を出たら住宅街を抜けて、街中に出る。歩道橋を渡り、バス停でバスを待つ。そのバスに二十分揺られ、コンビニ前のバス停で降りる。そこから徒歩で歩いていると左手に空き地が見える。

公園でも作ればいいのに…と通り過ぎる度に思う。

その空き地を通り過ぎる頃、後方から「美希ー!」と声が聞こえた。

振り返ると長谷部優が手を振りながらこちらに走ってきていた。

「…優?何、どうした?」

優は息が荒れる中、何かを訴えている。

「え?何?」

「…だから…美月…は…大丈夫なのか…って。」

「…あんた少し運動した方が良いよ。…美月なら大丈夫だけど。」

優は安堵の表情をこちらへ向けた。

「あぁ良かった!じゃあ美希、ちょっとこっち来てくれ。」

私は優の手招きで後を着いて行った。

優に案内されたのは少し離れた所にある工事現場。

本日の作業は終了しているのか辺りに人の気配は無い。

「何、こんな所呼び出して。」

優は黙ったまま私に背を向けている。

私は無視する優に近づき、強く肩を引っ張った。

「ねぇ!何だって言うの!」

しかし、その顔は優の顔では無かった。

それはグロテスクに顔を凸凹にさせながらも変化させていた。

唯一統一していたのは、いやらしい目線だ。

まるで人をそういう目でしか見ていないような、他に例えると近付いてはいけない存在のような。

「…ちょっと、あんた誰よ。」

「…誰って…僕だ…よ…。優だよ。」

先程とは比べ物にならない程の低音声。

この世に存在してはいけない何かと遭遇しているのだと、この時瞬時に確信した。

私は全力で逃げようとするも、【それ】の動きは俊敏ですぐに回り込まれてしまった。

【それ】は私の手足を押さえ、唾液を垂らしながら私を見ていた。

「…ねぇ…美希……食べて良い?」

【それ】は、満面の笑みで私に語りけてきた。

「…いや…やめて。」

すると【それ】はスライムのようになり、私の口の中へと入って来た。

言葉にならない抵抗をするが、私の意識は少しずつ遠のいていった。

この時の記憶はあまりない。しかし、スマホを取り出して美月に電話をしようとした気もする。

どちらにせよ私はこの時、得体の知れない【それ】に遭遇し殺されたのだと思う。


ーーーーー


「…正確には長谷部君に化けた【それ】が原因だと。」

「…そういうこと。多分、美月がやられたのもそいつ。」

しかし、私は美希の言う事に疑問点あった。

「ねぇ、美希。」

七月二日の十九時頃に美希が死んだのであれば、その後私が電話をした相手は【それ】だったのだろうか。

では、自宅に帰って美希のお母さんが生存確認をしたのは?話していたのは本当の美希ではなかったのだろうか。

多くの謎が飛び交う中、私達三人は長い事頭を悩ませた。

【逢沢桃】、【ハルカとカナタ】、【ドッペルゲンガー】、【それ】

これらの共通点は何なのか、この時の私達には到底理解する事の出来ない事象であった。

しかし、未来の私達にはこれらを理解する時が来る。

いや、しなければいけないのだ。

その時の私達は、果たして全員で笑えているのだろうか。

今の私達にはまだ知る由もない。


第十話

ドッペルゲンガー

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