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ハルカナ  作者: ゆる


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6/25

第六話 何度でも

いつもご愛読ありがとうございます!

ゆるです^^

ハルカナ 第六話 !!!ようやく書けましたー泣

第七話からは更に更に盛り上げていきますので、皆さんも楽しんで読んでくださいね!

七月二日 曇り 正午過ぎ。

四時間目 現代文の授業。

私はハッと目を覚まし、息切れが止まらなかった。

何、何なのこれ…。

現代文教師の内村は、いつものつまらない自慢話を間に挟みながら授業を進めている。

その間私は変な汗をかき、過呼吸気味になっていた。

「筆者は何を訴えたくてこの文章を書いたのか。ぶっちゃけさぁ、考えたって完璧には分からないんすよ。だって…て、おい、桜井?大丈夫か?」

クラスメイト達は先生の言葉に反応し、私の方を見る。

やめて、見ないで。今…私…。

私は吐き気を催し、両手で口を抑える。

その吐き気に耐え切れず、クラスメイトの目の前で嘔吐してしまった。

「ちょっと美月!?」

美希が心配して傍に寄り添う。

「…美希。」

両手の中は嘔吐物塗れで、モゴモゴと呟く事しか出来なかった。

気持ち悪さと美希が生きていた事に、私の脳は理解が追いつかなくなっていた。

そんな中、他のクラスメイト達はザワザワとこちらを見ている。

「うわ、汚ぇ。」「桜井さん、ちょっと引くわぁ。」「吐くとか無いよね。」「可愛いと思ってたけど無理だわ笑」「体調管理も出来ねぇのかよ。」

聞きたくもない悪口が小声で聴こえてくる。

「桜井、保健室行っておいで。」

いつもウザいと思っていた内村は優しかった。

私は内村に言われるがまま、席を立ち上がり美希の付き添いの元保健室へ向かった。


キーンコーンカーンコーンッ



「はーい、静かに静かに!このまま授業終わるぞ!」

『起立〜礼〜ありがとうございました〜。』

クラスメイトがザワザワする中、内村は机上の嘔吐物を片付け始めた。


『うわぁ、先生引くわぁ。』

『よく触れんな(笑)』

『桜井と出来てんじゃね?笑』


教室の後方で机を蹴ったような大きな音が響く。

その音の方向には、クラスメイト達を睨み付ける優がいた。


『な、なんだよ。』

「…。」

優は、何も言わずに内村先生に近付いた。

そして、一緒に嘔吐物を片付け始めた。


「…竜生、桃、涼太。桜井の様子、見てきてくれないか?」

三人は頷き、教室を出て行った。



私は、今何に巻き込まれているのだろうか。

この光景を見るのは三回目だ。

最初は夢かと思ったけど、そうじゃない。

最初は川に落ちて転落死。その次は美希が死んで、私は気味の悪い怪物に食べられて…


思い出すと再び吐き気が襲う。

「大丈夫大丈夫。辛かったね。」

美希の優しさに涙が溢れてきてしまった。

私は心の中で、美希だけは必ず守ると誓ったのだった。


美希に連れられながら職員室に来た私は、富士見先生に体調が悪いので保健室に行きたいと伝えた。

富士見先生は終始心配そうに見つめていた。

ここまでで分かったこと。

それは、どんなに違う展開になったとしてもどこかで必ず元の会話内容に戻ってしまうということ。

つまり、私や美希は常に襲い掛かる死を警戒しないといけないのだ。

「…ねぇ美希。」

「なに?どうしたの怖い顔して。」

今回は、一度美希に話をしてみる事とした。

「聞いて欲しい事があるの。」


今、私と美希は赤い橋の近くの草むらに隠れている。

「…で?今から美月を殺した犯人が現れるっていうんだね。」

私は強く頷いた。

「…許さない。とっ捕まえてやる。」

私は美希に全てを話した。

今は三回目の死に戻りという事。そして、一度目は誰かに橋から落とされたという事。

流石の美希も初めは疑っていた。いや、疑いというより心配であった。だが、最終的には馬鹿にもせずに信じてくれた。

そして、犯人を突き止める為、今こうして隠れて赤い橋を見張っている訳だ。

当然無関係の人も通る為、注意して見張らなければいけない。

すると、反対側の茂みの陰から同じように誰かを見張っているような人がいた。

「…ねぇ、あの人。」

美希が指さす方向にいたのは、天川逢瀬君だった。

「天川君!?」

「知り合いなの?」

私は静かに頷き、小声で話を戻そうとした。

「…でもあの人は、私を助けようとしてくれたんだ。」

「そうなんだ。…ねぇ、あの人も見張ってるってことは何か知ってるんじゃない?」

私と美希は引き続き様子を伺う事とした。


しかし、事態は予想外の方向へと傾いた。

「…ねぇこれどういうこと?」

美希が不安そうに私に尋ねる。

「…私にも分からないよ。」

反対側に隠れている天川君も驚いた表情でそれを見ていた。

なんと目の前を通ったのは、桜井美月だったからだ。

「…なんで美月が二人いるのよ。」

桜井美月は、警戒するように周囲を確認していた。

鞄からスマホを取り出し、誰かに電話を掛けた。

その様子を見ると何やら焦っているようにも見えた。

「…誰かに電話してる。ここからじゃ聴こえないよ。」

私と美希は静かに近づき、橋の陰から電話の内容を盗み聞いた。


『すみません、見失いました。…いえ、すぐに探します。はい。』


桜井美月は学校へと戻って行った。

「…行った?」

「…うん。」

「…もう訳が分かんないよ。」

私と美希は状況について全く整理出来ないでいた。

すると、奥で隠れていた天川君が私達に近付いてきた。

「桜井さんに渡辺さん、今の見たよね?」

私と美希は小さな頷きで答えた。

「…もう隠す必要は無いか。二人共着いて来て。」

天川君は独り言のように話す。

「…天川君、何か知ってるの?」

「…一先ず場所を変えたい。」

この時の私と美希は、天川君に着いて行く事しか出来なかった。


若砂(わかさご)公園

時刻は十四時過ぎ。

三人は、若砂公園のベンチに腰を掛けた。

「…さて、何から話したものか。」

「あの、その前に…はじめまして。渡辺美希です。」

こういう時、美希のコミュニケーション能力にはいつも驚かされる。

「天川逢瀬です。よろしくね。」

二人の自己紹介が終わったのを見計らって、私は話の間に入る。

「…天川君。」

私の表情が不安そうにしていたのか、天川君は気を使って話を本題へ戻した。

そして、咳払いと共に話が再開した。

「…桜井さん。単刀直入に伺います。今、何回目ですか?」

彼は恐らく、亡くなってから特定の時間まで遡ってきたことを聞いているのだろう。

「…多分、三回目。」

「…そうでしたか。実は僕は、今四回目なんです。」

私と美希は顔を見合せた。

「待って、じゃあ天川君も亡くなってるの?」

「…そうですね。君達のいない世界に興味なんてないから。君達が死んだら、僕は何度でもやり直す。」

天川君の言っている意味がいまいちよく理解出来なかった。

すると、美希が話に入る。

「天川君、私達に分かるように説明してほしい。」

「…そうですよね。ごめんなさい。」

天川君はベンチから立ち上がり、公園で遊ぶ子供達を見つめていた。


「僕が初めて亡くなったのは、二〇二五年の七月六日。いや、正確には私だけでは無いんです。桜井美月さん、渡辺美希さん、長谷部優君、阿久津竜生君、逢沢桃さん、芹沢涼太君。この七人が同時に亡くなったのです。」

「…嘘でしょ。」

私は言葉が見つからなかった。

すると、天川君は美希に視線を向ける。

「…もう誤魔化さなくて良いんじゃないですか?」

「…。」

「…美希?」

美希は何かを知っているのだろうか。

天川君と美希の表情が全てを物語っていた。

しかし、美希は唇を噛み締めて何も話そうとはしなかった。

天川君は溜息を吐いて、私に向かった。

「…代わりに僕がこれまでの事を全て話すよ。」


賑やかな子供達の遊び声もこの瞬間だけは全く聴こえなくなっていたのだった。


次回 ハルカナ

第七話 終わらない七月

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