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ハルカナ  作者: ゆる


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24/25

第二十四話 ただいま

いつもご愛読ありがとうございます!

いよいよ次回完結です!


目を開けるとそこは見知らぬ天井であった。


真っ白な天井。

真っ白な空間。

真っ白なベッド。


視界が狭い。全身が痛い。息をするのも辛い。

私…何が…あったんだっけ。


すきま風は自然の香りを連れて来た。

その匂いだけが、私の心を穏やかにした。

時折聞こえる波の音は、どこか懐かしく感じた。

私はそっとそのまま目を閉じた。



「…美月。」

そこには見覚えのある大好きな友人の姿があった。

「美希!?あれ?ここは?」

湖のような所だが、私達は水の上に立っていた。

そして、その水は赤く染まっていた。

透き通った赤い水の中には見たことの無い魚達が泳いでいた。

「…ようやく物語は終わった。美月、あなただけが未来へと進む事ができるの。」

「…あまりよく覚えてないんだよね。何があったのか教えてくれる?」

美希は頷き、「少し歩こっか。」と手招きした。


「…そっか。私が見ていたのは生死の狭間の世界だったんだね。」

「…そう、美月はあの世界から生還した。目を覚ませば、そこはもう本当のあなたの世界だよ。」

「美希や皆は、どうなるの?」

美希は切ない表情で波打つ水面を見つめていた。

「…あの世界を彷徨い続けるか、一生をあそこで過ごすかしかないかな。」


私は少しずつ何があったかを思い出した。

二〇二五年 七月六日。私達は学校で謎の大爆発に巻き込まれた。

学校は崩壊し、多くの犠牲者を生み出した。

教師や生徒は勿論、その際学校へ来ていた人物まで巻き込まれてしまった。

校内にいた大半の人物は死亡が確認され、辛うじて息の残っている人物はたった十人だった。

十人の生存者は病院へと搬送されたそうだが、未だ意識不明の重体者ばかり。


「今回巻き込まれた影と【ハルカナ伝説】の関係性は結局なんだったの?」

「…ハルカナ伝説は実際にあった虐待事件なの。私達の世界に何故迷い込んだのかは分からないけど、もしかしたら天川逢瀬が引き連れてきたのかもしれない。でも、天川はもういない。」


「「そのとおりー!!」」


突然目の前にハルカとカナタが現れた。

「ハルカ!カナタ!」

二人の笑顔を見た私は、嬉しさを抑えきれなかった。

「美月、ごめんね。無断であなたの意識に入ってきちゃって。」

「カナタは止めたんだけどね。」

ハルカとカナタは穏やかな表情でじゃれ合っていた。

「二人はもう成仏できそう?」

二人は顔を見合せて、気まづそうな表情をしていた。

「実は私達から美月に謝らないといけない事があるの。」

「私達は天川逢瀬に操られていた。そのせいで貴方や美希を巻き込む事になってしまったけれど、全てはそこが原因になっていたの。」

二人の間に入るように美希が会話に参加してきた。

「…美月。天川逢瀬は消えた、それは間違いない。ただ、過去の天川逢瀬は残っているの。」

私は頭を抱えていた。そう、全く理解が追い付いていなかった。


「…えっと、つまりね。全て解決はしたんだけど、それは今であって…。過去には天川逢瀬は残ったままなの。」

「あ、そゆことか!」

「「美月ってちょっと馬鹿?」」

私は二人の顔を弄り回した。

「…過去の天川逢瀬を消さないと、ハルカとカナタは成仏できないの?」

二人は曖昧な表情で頷く。

「もう二人も分からないのよ。天川逢瀬によって時間軸まで狂わされているから。」

「…でも過去の天川をどうやって止めるの?」

ハルカとカナタは手を繋いで歩き始め、美希もその後を着いて行った。

私も声はかけたが三人は振り返らないため、訳も分からず後を追った。

暫く歩くと、赤い水の先は滝になっていて、赤い水は下へと流れ落ちていた。

その下には私達がいた世界への入口があった。

水面にはこれまでの私達の映像のようなものが映し出されているが、私の姿はどこにもなかった。

「…そっか。皆の記憶から私の姿は消えちゃったんだ。」

美希は私の背中を擦ってくれた。

「…私や皆はあの世界を彷徨うって言ったでしょ?つまり過去を何度も行き来するの。そうすれば、天川逢瀬を止められる。」

「ちょっと待ってよ。それってつまり…」


「「無限ループ。美希や皆は永遠にあの世界で天川逢瀬を捕まえ続ける事になるの。天川逢瀬が存在している限り、私達も成仏する事はないの。」」


私は落胆した。皆が必死になって、私だけでもと現実世界に戻してくれただけだったのだ。

皆も帰りたいはずなのに。


「私も…」

「駄目だよ。」

私が話そうとした時、美希が話を止めた。

「…もう会えないとしても、私は美月の事を忘れない。心の中でずっと生きてるから。」

私は涙を堪えるも抑えきれなかった。

「…これから現実に戻ると、辛い事が沢山待ってると思う。でも美月なら大丈夫、必ず乗り越えられる。強く生きて。」

そう言うと美希は私から離れ、滝の下へと落ちていった。

「美希ー!!!!!」

下を覗き込んだ時には既に姿はなかった。


泣き続けていると、ハルカとカナタはそっと私に寄り添った。

「…ハルカ。カナタ。お願いがあるの。」



二〇二五年 七月七日


久しぶりに迎えた七月七日は、思っていた以上にも残酷であった。

私は顔から足先までの火傷、そして肋骨と右前腕、右足首の骨折。

激痛に襲われるも、全く身動きを取れない。

私の意識が戻って数日、私の妹と警察が来た。

妹は中学生で学校も違った為、何の被害も無かった。私が生きていた事で妹は大号泣。

「…お姉ちゃんまで…いなくなったら…私…。」

そう、私達の両親は人身事故で亡くなっている。当時の事はあまり覚えていないが、その時両親を引いた男性が不気味な笑みを浮かべていた事だけは覚えている。

そういえば夢の中で父と母には会ったが、妹には会わなかった。やはり、あの世界は既に亡くなっているか死が真近の人物だけが会える世界だと悟った。


警察に寝たまま事情聴取をされ、色々な事を教えてもらった。

まず学校の爆発に関しては、爆弾が仕掛けられていたという事。

その脅迫があり、刑事五名が学校へと行っていたらしい。

五名の内三名は死亡。籠居、澤谷という刑事だけが生き残ったそうだ。

そして、渡辺美希、長谷部優、逢沢桃、阿久津竜生、芹沢涼太も意識不明だが生存しているとの事だ。

他にも富士見 円先生、阿久津孝介、芹沢亜由美という人物も生き残っているそうだ。

その中でも意識が戻ったのは、私と籠居刑事だけとの事だ。

今回の爆破事件の犯人も未だ行方不明だそうだ。

使われた公衆電話にも指紋一つ残っていなかった。

崩壊した校舎の残骸から証拠も探しているらしいが、燃えてしまって何の情報もないらしい。


しかし、爆破事件の犯人はこう名乗ったそうだ。



【ハルカナ】と…。



次回

第二十五話 遥か彼方へ

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