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ハルカナ  作者: ゆる


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23/25

第二十三話 最後の闘い

いつもご愛読ありがとうございます!

もう少しでハルカナの連載が終了致します。

まだ見た事ない方もぜひ読んでみてくださいね!

「うおぉぉぉぉぉぉぉぉぉりゃあぁぁぁッ!!!」

涼太が短剣で影の動きを止め、その隙に人工太陽光を纏った皆が通る。

すると、影達はゆっくりと溶けて消えていく。

それでも抵抗してくる影には塩を投げる。

走っている最中に優が話しかけてきた。

「…なぁ、なんであいつらは塩が弱いんだ?」

「知らない。カレーが嫌いなんじゃない。」

「は?」

走り続けていると涼太が急に足を止めた。

「…おい涼太!どうしたんだよ。」

道路の中心には縦に長い人型の影が歩いていた。

「…おやおや、涼太君じゃないか。」

そこにいたのは優の影だった。

「…あれがお前の言っていた俺の影か。」

涼太は短剣を仕舞い、背中に着けていたバットを取り出した。

「…皆、先に行け。こいつは俺が倒さないといけない敵だ。」

「…でもお前。」

「いいから行けッ!」

涼太の怒鳴り声で私達は別の道から先を急いだ。

「…涼太。」

今までで一番の勇ましい姿を見送ったのだった。


「おや?また一人ですか。十二戦十一敗、あなたの勝ち目はかなり低いですよ?」

「最後は勝った。最後に勝ったって事は、そこからはもう負けないんだよ。」

「浅はかな。」

優の影と涼太はほぼ同時に飛びかかった。



一方、私達は引き続き赤い橋に向かって走り続けている。

「…涼太、大丈夫かな。」

「大丈夫さ。キリがいいとこで戻ってくるさ。」

私が心配そうにしていると、優が照れ臭そうに慰めの言葉を投げた。

すると、目の前に二つの影が立ちはだかった。

「…もう目の前だっていうのに。」

「誰!」

竜生と桃がイライラした様子で対面の二人に話しかけた。

「…竜生。俺だよ、兄ちゃんだ。」

「私はあなた。あなたは私。」

そこには竜生の兄、阿久津孝介と逢沢桃の影がいた。

「…俺の兄はもういない。兄はもう死んでいるんだ。」

「あなたが私の友達を苦しめた私の影…。許さない…。」

竜生と桃は、見た事ない形相で影を睨みつけていた。

「…美月、美希。」

私と美希は優の表情を見て、二人の背中を無言で見送った。

「…美月ちゃん、ありがとうね。」

竜生と桃は微笑んでこちらを振り返ったのだった。


赤い橋に辿り着くと、橋の外れから光り輝く階段が天へと繋がっていた。

「…これか。」

「この先に天川君が。」

私と美希が階段に登ると優は無言でこちらを見つめていた。

「優!はやく!」

「…俺は行けない。」

そう言うと優は階段に手を触れようとした…が触れられず手は通り抜けていた。

「…なんで。優!」

優はなにも言わずに背を向けた。

「早く行けよブス!お前の顔が見られなくなって清々するわ!」

いつもなら言い返す所だが、優が唇を噛み締めている横顔が私の目に映ってしまった。

「…優。」

優の背を見つめていると再び影達が集まってきた。

「…俺が相手だ。」

優は防具の光を強め、刀を取り出した。

その刀の刃は塩で白く染っていた。

「…使う事になるなんて思わなかったが。」

私は美希に手を引かれ、階段を昇って行った。

「優ー!ありがとうー!」

私は涙を堪えながら叫んだ。

そして優は刀を掲げて返事をした。

「…馬鹿みたい。あなた死ぬのよ。」

優の目の前に現れたのは桜井美月の影だった。

「…本物の美月はあっちに行かないと駄目なんだ。だからあんたは俺が責任持って面倒見てやるから。」

影の美月は頬を赤く染めていた。

「…じゃあな。」


階段を昇り続け、雲を抜けるとそこは雨雲の上だった。

雨雲は地面と同じように歩けるようだ。

少し歩みを進めると見覚えのある傷だらけの男性が立っていた。

「…あれ?籠居さん?」

刑事の籠居が棒立ち状態でいた。

「…誰だっけ。まあいいか、もうどうにも出来ないんだから。」

「…どうしたんですか?」

私が籠居さんに寄り添おうとした時、雨雲の上に雷が落ちた。

その場所は煙がたっていたが、次第に消えていき天川が姿を現した。

「…天川君。」

「…やぁ、桜井さん。もうイケメンとは言ってくれないのかい?」

初めて出会った時の彼の表情に似ていたが、あの日とはまた違う表情であることが私には分かった。

「…言うわけないでしょ。あなたが全ての元凶じゃない。私達のこと振り回して、多くの人を殺して。あなたは何がしたいの。」

天川君は笑いをこらえている様だった。

「…何がおかしいの?」

「…情けない。何度も助けてあげて、結局そんな結果で終わりか。あー勿体無い。」

すると美希は前に出て、天川に問い詰めた。

「…目的はなに?」

「目的?全ての破壊。世界を終わらせる、そして我が国として再建。目的とは違う、願いだ。」

それを聞いた美希は手を天川に翳した。

「…もういいよ。話す事はもうない。」

美希が放った光は天川の胸へと入り込んだ。

「なんだこれは!?」

「…浄化の光。お祓いとかに使う呪いみたいなものかな。私なんかじゃ大した力はないけど、あんたくらいは封印出来る。」

「や、やめろ。こんな事お前の望みじゃないだろ?桜井さんと帰るんだろ?」

美希は険しい表情のまま、沈黙を貫く。

「…ねぇ、美希。さっきから何言ってるの?帰るとか何とかって。まずはこの闘いを終わらせないと。」

「…美月、貴方と一緒に行けないのが残念。でもね、私達は心で通じ合っている。だからまた、会えるって信じてる。」

美希が一滴の涙を流すと、天川の奥に大きな扉が出現した。

「美月ッ!籠居さんッ!あの扉に走って!急いで!」

美希の大声で私と籠居さんは、困惑しながらも走り出した。

同時に美希は、光を強め天川の動きを止めていた。そして、徐々に近付き天川を抱き締めた。

「…もう終わりにしましょう。あなたと始めた冒険ももうおしまい。こんなに狂ってしまうほど、もう限界だったのよ。」

天川は苦痛の叫びを続け悶えていた。

「…あなたの本来の目的は皆を救う事。でももうそれは叶わないの。」

「…だからって桜井さんだけ行かせてはダメだ!これでは全てが終わってしまう!もう戻れなくなるんだぞ!」

「…いいの。」

美希は涙を流しながら、天川へ接吻を交わした。

次第に天川の影は浄化され、本来の姿へと戻っていった。


そして、私と籠居さんは扉の前へと辿り着いた。

扉をゆっくり開けるも、扉の先は光で包まれていた。

私と籠居さんは振り返ると、美希は翼を広げ羽衣を纏っていた。天川を抱えたまま、空へと昇っていった。

そして、私の方を見つめ、口を動かした。

何を言ったかは分からなかったが、恐らく別れの挨拶だと悟った。

私はこれまでで一番の涙を流しながら、籠居さんに支えられて扉へと入っていった。


「…やっぱりこうなったか。」

涼太は血を吐いて倒れ込んだ。

優の影が消えていくのと同時に、涼太も息を引き取った。

「…さようなら。」

竜生は桃を抱きかかえて涙を流していた。

「…。」

優は四肢を切断され、息を引き取った。

そして、美希と天川も次第に光の粒となり、姿を消した。



扉の先へと進んだ私はゆっくりと前へ歩み続けていた。

さっきまで一緒にいた籠居さんの姿はなかった。

すると、光の中から二つの影が見えた。

私は構えながら慎重に歩みを進めた。

光を抜けるとそこは霧がかかった河原へと出た。

水の音は無い。これが凪というやつなのか。

二つの影の顔は見えないが、視線は私に向いているということは分かった。

「…ノレ。」

影が指さした所にはボロボロの筏が置いてあった。

私は影の言う通りにし、筏へと乗った。

筏は少しずつ前へと進み始め、気がついた時には二人の影は見えなくなっていた。

同時に両サイドには私と同じように筏に乗っている人がいるということも分かった。

心做しか安心した私は、眠りへと着いてしまったのだった。


「…美月。ありがとう。大好き。」



次回

第二十四話 ただいま

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