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ハルカナ  作者: ゆる


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17/25

第十七話 最強の二人

いつもご愛読ありがとうございます!

急展開を向かえた第十七話如何でしたか?

これから更に盛り上がる展開を考えていますので楽しみに待っていてください!

当然、伏線回収もしていきますからね!


七月四日 時刻十三時二十分

小樽 オルゴールの館

世界中のオルゴールが集まるこのオルゴールの館。

そんな所に恋愛詐欺師の鷹見真太郎は何をしに来たんだ。

今関係を築いている女へのプレゼントか?

何にせよ、この広さだ。人一人探すのも困難である。

更にガラスで出来た物もあり、とてもじゃないが走る事は出来ない。

静かに探し回るとしよう。


…一時間後。

時刻 十四時二十分。

一階から三階までくまなく探したが鷹見真太郎は見当たらなかった。

再度スマホのアプリを起動するも、近辺の駐車場から位置が変わっていない。

もしかすると、車のみ置いて船で逃亡したのか。

此処から小樽港までは一キロ弱、歩けない距離では無いが。

「…追うだけ追ってみるか。」

俺はタクシーを拾い、小樽港へと向かった。


小樽フェリーターミナル

「…最短で十七時発の新潟行きか。」

そうなると近くで隠れている可能性が高いな。

少し離れた所で長髪のスーツの男と中年体系のスーツの男が揉めているのが見えた。

「なんだ?」

俺は躊躇なく近付くと中年の男性は刃物を取り出した。

「近づくんじゃねぇッ!俺は詐欺師だぜ?こんな所で捕まってたまるかよ!」

長髪のスーツを着た男性は足を止め、手を上げていた。

しかし、近くまで来てみると長髪の男性はよく知る顔であった。

「…は?風見?なんでお前がここに居る。」

「…籠居か。考える事は同じだったという訳か。」

「まぁな。で、どういう状況だ。」

「見ての通り、話しかけただけでこの有り様だ。全く情緒不安定にも程がある。メンタルケアをしないからこういう事になるんだ。詐欺師ならそれくらいの強いメンタルを持っていなくてどうする。…あーだ……こーだ…」

…始まったよ。俺はこいつのこういう所が嫌なんだ。

理論上間違った事は言っていないのだが、それ今じゃなくていいよね?というのを平気でやるのが風見明義なのだ。

「うるせぇよッ!説教してんじゃねぇよッ!」

「うるさいお前が黙れ。今俺が話している。トーキングアバウトザ事件だ。」

「…何なんだよお前ッ!頭おかしいんじゃねぇのか!」


決して間違っていない。こいつは頭がおかしい。というより、人の話を聞かないタイプなのだ。自身の正義や理論を語るのは良い。何度でも言うが、今じゃないんだ。

俺は犯人が風見に向かって取り乱している間に背後へ回った。

そして、刃物を落とし遠くへ蹴った。

抵抗する間も無く、中年男性を取り押さえた。


「…な、何なんだお前達は。」

言いたくは無いが…うん、 スムーズだった。

「…時刻十四時三十二分、偽名 鷹見真太郎。逮捕。」

鷹見真太郎の両手に手錠をかける。

「…お前どうやってここまで来たんだ。」

「車に決まっているだろう……貴様、まさか。」

「…電車で来ましたけど。」

風見は大きな溜息を吐いた後、親指で車に向かって乗れと合図した。

「…てかお前といつぶりに話した?」

「知る訳ない。知りたくもない。」

こうして二人は、再び北海道警察署へと戻った。



北海道警察署

俺と風見が並んで歩くと受付や周囲からの多くの視線を感じる。花江…なんだその間の抜けた顔は。まあ、確かに珍しい組み合わせではあるだろう。あれだ、日常的にお米にヨーグルトを混ぜて食べてる位珍し……そんな奴いないか。

「…荒井さん、取り調べ。」

奥で珈琲を飲んで寛いでいた荒井さんに風見は問答無用で声を掛ける。

「…はいはい。」

次に珈琲に触れるのは明日の朝、千円賭けよう。

荒井さんと鷹見は取り調べ室へ入り、俺と風見は隣の部屋へと入った。

手錠は椅子に繋がれ、荒井さんによる取り調べが始まった。

すると、後輩の澤谷が先程の青年と少女を連れて来た。

「…おい、澤谷。」

「荒井さんの指示ですよ。鷹見の被害にあった方の知り合いだそうで。今回の事件の第一発見者です。」

「知ってるよ。青年、スマホありがとな。」

俺は青年にスマホを返すと、「どうも」と静かにお礼を言った。

「…さぁ、恋愛詐欺師さん。長年の空白を埋めてもらいましょうかね。」


荒井さんは書類を見ながら取り調べを開始した。

「鷹見真太郎…これまで何人騙した。」

「そんな事一々覚えてねぇよ。」

「あの口座開設セミナーはなんだ。」

「金になるからやった。それだけ。」

「お得意の恋愛詐欺はどうした。老けて引退したのか?」

「馬鹿にしてんのかッ!」

「あ?馬鹿にしねぇわけねえだろ。お前幾つだよ。小卒か?」

「…なんだと?」

「暴れたいなら暴れろ。骨の一、二本折れる覚悟でな。」

鷹見は、悔しそうな表情をしながら黙り込んでしまった。

荒井さん、先程まで穏やかな表情で珈琲の香りを嗅いでいた人間とは思えない程の剣幕だ。

荒井さんは、本年五十七歳のベテラン刑事。特に取り調べを学びたいのなら荒井さんと決まっている。


「…それはそうと、君たち高校生だよね?こんなの見てどうするの?」

「…知り合いが苦しんでたので。真実を知りたくて。」

「ふーん。何でもいいけど、ちびるなよ。」


「…鷹見。いや、阿久津孝介と言った方がいいか?」

鷹見は驚いた顔で荒井さんを見つめていた。

「…どうやってその名前。」

「君、親戚いるよね。」

鷹見の表情は曇り、分かりやすい程に動揺していた。

これでは黙秘も無意味であった。

「…君の親戚の男の子。高校生らしいじゃないか。弟子にしようとしてたんだって?」

鷹見は何も言えなくなっていた。黙秘…というよりは恐怖の方が正しかった。

「…話を戻そう。今回の被害者、芹沢亜由美さん。過去関係のあった人か?」

「…関係…と言っても。身体的のみで…その。」

「…富士見円との交際中の浮気相手だな?」

「…そんな事までバレてるのか。」

「そんな事?当たり前だ。お前の被害あった女性達からどれだけの捜索願が来たと思っている。どれだけの人が傷ついたと思っている。それにお前の関係者も全力で協力するってあっさり情報を売ってくれたよ。」

取り調べという名の尋問、質問攻めという名の拷問に等しかった。


結局、鷹見真太郎は全てを白状した。

本名 阿久津孝介 四十四歳。以前は役所勤めだったが、三十代半ばで退職。貯金や退職金でやりくりするも、二年で無一文。そこで出会った詐欺のバイト、それがきっかけ。様々な詐欺を繰り返す内に恋愛詐欺が向いていると一本で生きていった。自宅は既になく、女の家で寝泊まりを繰り返していた。何不自由無く過ごしていたが、年齢により恋愛詐欺師を引退。偶然思い付いたセミナーで詐欺師を再開し、本日逮捕に至る。

「…それで、一度は関係を持っていた芹沢亜由美と再会し、強姦に至ったと。」

「…そんなつもりは無かったんだ。本当に、そんなつもりは。」

なんだ?明らかに萎縮している。荒井さんが怖かったのか?

「最初は皆そう言うよ。嘘で塗り固めて罪を軽くしようとする奴がほとんど。」

「ち、違う!本当に彼女を…愛して…。」


コンコンッ


取り調べ室のドアからノックがあった。

記録係をしていた刑事がドアを開けた。

「…ニイチャン…ニイチャン…」

顔のパーツをくり抜かれた肌の黒い二足歩行の怪物がそこにいた。


「…な、な、な。」

足がすくんだ刑事に怪物は噛み付いた。

そして、激痛の悲鳴と共に部屋の中で血が飛び散った。

食べられた刑事を飲み込み、「ゴチソウサマデシタ。マダタリナイ。」

と今度は荒井さんを目掛けて飛びかかったが、荒井さんは間一髪避けた。

しかし、テーブルで滑った怪物はそのまま阿久津孝介の腕に噛み付いた。

「イヤアアァァァァアだァァァァヤメテェァアアァァァァアアア!!!!」

手錠で繋がれた右腕は噛み砕かれ、阿久津は悶え苦しんでいる。

そんな阿久津をじっくりと見つめる怪物。

「…オマエニイチャンジャナイ。」

「…へ?」

怪物は阿久津の首から順に食べ進めていた。


ヤバイヤビイヤバイヤバイヤバイヤビイヤバイヤバイヤバイヤビイヤバイヤバイヤバイヤビイヤバイヤバイヤバイヤビイヤバイヤバイヤバイヤビイヤバイ。


何が起こった。これは現実か。

俺はドアを開けて大声で叫んだ。

「全員逃げろぉぉぉぉぉぉぉぉッ!!!!!」

血だらけの荒井さんを見て職員はすぐに信用してくれた。

幾ら警察官とはいえ動揺は隠せず、悲鳴をあげながら外へと避難した。

「…あれ?ガキ共!」

俺は焦って近辺を探した。

すると、取り調べ室の前で青年と少女は怪物と見つめ合っていた。

怪物の身体は大きく、青年や少女を真下に見下ろしていた。

「…ダァレ?タベテイイ?」

「もうあなたには負けないから。」


「何をしているッ!早く逃げろッ!」

青年や少女は俺の声には全く反応しない。

怪物が少女を食べようとした時、少女は何かを怪物の口へと投げた。


怪物は悶え苦しみ、奇声をあげたのだった。


次回

十八話 まだ見ぬ世界へ

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